古川太一(TA-1)率いるバンドKONCOSと、アパレルブランド EACHTIME. を手がける仙台在住のデザイナー伊丹雄介が共同で企画した移動式のPOP UP SHOP「EZ DO MARKET」。約2年間日本全国を回る中で、EZ DO MARKETは仙台の二日町でセレクトショップとして形になった。
そして同じく仙台に位置するストリートの名店、Deliciousの佐野弘之が加わり、Journal Standardにて実現したコンセプトショップが、「EZ DO MARKET」ならぬ「EZ D MARKET」だ。参加アーティスト、ブランドともに、国内外のニッチなカルチャーシーンを押さえた高感度なラインナップ。ここでは、飽和した東京のシーンに一石を投じるような、ローカルエリアの新鮮で熱の込もったアティチュードが感じられる。
そんな「EZ D MARKET」を作り上げたキーパーソン3名による鼎談をお届けしよう。
分かってくれる人にだけ届けばいい
ーまずは、「EZ DO MARKET」そして「EZ D MARKET」の成り立ちについて教えてください。
TA-1:もともとは僕がKONCOSってバンドをやってるんですけど、その全国ツアーの時に仙台でEACHTIME.伊丹さんと知り合って、そこから一緒に物を作るようになりました。それを東京で売れないかなって思って、僕の先輩がKit galleryってギャラリーを原宿でやっていたので、場所を借りて、EACHTIME.と KONCOSでEZ DO MARKETってPOP UP SHOPがスタートしました。それを2〜3年続けていたんです。
伊丹 :そしたら、ありがたいことに、だんだん多くの人に見られるようになってきてね。
TA-1:僕らのツアーで回った全国各地のお店でもPOP UPをやるようになっていきました。そんなEZ DO MARKETを続けていく中で、僕と伊丹さんのブランドEZ DO by EACHTIME.ができて、別注をDeliciousさんがやってくれたんです。伊丹さん佐野さんの二人が仙台同士で繋がったのが、EZ D MARKETのきっかけですよね。
古川太一(TA-1)/KONCOS
伊丹 :そこからはもう畳み掛けるように佐野先輩が、こういうのやりましょう!やりましょう!と。それに食い気味でOKを出していきました。
ーちなみにEZ DO MARKETっていう名前の由来はどんなところから来たんですか?
伊丹 :名前の由来というか、意味は特になくて(笑) もともとEZ DO PANTSっていうイージーパンツを作ってそれを太一くんが気に入ってくれてライブの度にボロボロになるまで履いてくれてたんだよね。何か臭う名前だとは思うんですけど、、
佐野:あの『EZ DO DANCE』とは関係ないんですか?
伊丹 :完全に語呂だけのネーミングですね。イージーパンツだからっていう。
佐野:EZと来たら DOだろ!みたいな?
伊丹 :そうですね。それで、太一くんとPOP UPの名前考えなきゃねってなった時も、EZ DOしかないでしょ!という流れになりました。
伊丹雄介/EACHTIME.
TA-1:イージーってCommon Senseの『Take It EZ』とか、ちょっとヒップホップ的な要素も感じさせるし、キャッチーな言葉だなって。
伊丹 :気楽に行こうぜってね。それで今回は、佐野さんがEZ DO MARKETの“DO”をDeliciousの“D”にして、EZ D MARKETをやりましょうというアイディアが生まれました。
佐野:伊丹さんが持ってる仲間とおれたちDeliciousが持ってるものを組み合わせたら面白いことができるって思ったんですよ。同じ仙台で活動してても、微妙に守備範囲が違くて、例えば、 DeliciousはDJをやっている友人が多いんですけど、伊丹さんはバンド界隈と繋がりがあったりとか、これはクロスオーバーさせたいなって思いました。
ー東北の中心でもある、仙台のストリートカルチャーは今、どのように盛り上がっているんでしょうか?
伊丹 :ストリートカルチャーのアンテナっていうとやっぱりDeliciousが飛び抜けてますからやっぱり佐野さんの存在ですよね。
佐野:いやいや、そこに関しては、おこがましくて何も言葉にできないです(笑)ただ、僕は、COMMON MAGAZINEっていうフリーペーパーを2006年から8年間ぐらいやっていたんですよ。東北のカルチャーを世界に発信していく活動を通して思ったのは、東北の人たちってかなり職人気質で、のめり込む人たち、オタクというかコアな人たちが多いのは間違いないです。個々の名前を出すとキリないんですが、各ジャンルですごい方や成功者は沢山いると思います。なので、仙台カルチャーってよりかは、個々ですごい人はいっぱい居ると思います。
佐野弘之/Delicious
TA-1:僕は東京に住んでいるので、外から見てもすごい面白い場所だと思います。全国100箇所をバンドでツアーしていた中で、仙台は音楽とファッションがめちゃくゃ面白かった街だから、こういう取り組みをするようになったんですよね、そもそも。そして、一番仲良くなったのが仙台のみんなでした。
伊丹 :太一くんが全国の中で仙台という街に引っかかってくれたのはすごく嬉しい。まさか、こんなに仲良くなるとは。
TA-1:仙台からオリジナルのクリエイティブを発信する伊丹さんの洋服や、Deliciousのやってることのクオリティがすごく高かったんですよ。なんだこれ?オリジナルなんだ!すごいな!って物が本当に多かった。それに、東京で着てたらかっこいいじゃないですか。東京では手に入らないし、これぞリアルストリートっていうか。ローカルってことが、着る一つの理由として面白いとも思ってます。
伊丹 :太一くんは昔からずっと「仙台だからいいんですよ!」って言ってくれてたもんね。こんなに反応してくれるんだーって驚くぐらい好きでいてくれて(笑) まぁでも、こっちだと周りにやる人があまり居ないから目立っちゃうってのもあるんだけどね。もっと皆ガンガンやればいいのに。そうすればさらに盛り上がるんですけど。
ーそんな皆さんのクリエイションが凝縮された今回のポップアップのコンセプトは、“部室”なんですよね?
佐野:EZ DO MARKETのシンボルとして、ロッカーがあって、Deliciousはオープン当時からこのベンチを使ってるんです。ロッカーとベンチと来たら、もう部室しかないでしょう。
伊丹 :できちゃったね。ハマっちゃったねって。すぐ決まりました。
佐野:多感な学生生活の中で、僕は部室に全てがあったんですよね。全てのカルチャーの原体験が詰まってた。部室には、音楽もあったし、雑誌を見て好きな服の話をしたり、人として先輩後輩の上下関係を学んだりとか、エロもあれば、煙草吸ってたのも部室だったし、なんでもあった。だから部室っていうテーマは、好きなものを表現する箱としては、完璧かもしれない。
TA-1:でも、僕らぐらいまでですよね? 部室で煙草吸う世代は。僕は82年生まれで、高校の時にかなり部室でクラった世代なんですけど。最近はみんな良い子だからな〜。
伊丹 :もうないのかな? ヤンキーも見ないし。でも、今でもあったら嬉しいよね。
ーすごく分かります。やんちゃさは変わっても、部室がカルチャーを吸収する場所であることは、いつの時代も、きっと変わらないんじゃないですかね。そんなコンセプトのもと、ここにはどんなアイテムが並んでいるのでしょうか?
佐野:見どころとしては、今回の為に皆が出してくれたデザインやグラフィック。オンリーワンなものしかないってことですね。どれも、EZ DO MARKET、EZ D MARKET、Deliciousでしか買えないものです。
伊丹 :いろんな方に協力してもらってのアイテムなんで。まとまりがないと言われたらそれまでなんですけど。
佐野:そこもまた良いんですよ。いろんなタレントがいるからさ部室には。この事を説明するのも野暮というか、説明すると恥ずかしい感じになっちゃうので、正直、分かんない人には分かんなくてもいいやって思ってます(笑) お!マジで!このコラボ! って思ってくれる人にだけ届けばいいかなって僕は思います。
伊丹 :これ、なんですかって? 聞いてもらえるのも嬉しかったりするんですけどね。
佐野:しかし、大きい会社がこういうローカルをフックアップする動きって面白いし、すごくありがたいですよ。
TA-1:びっくりしましたからね。こんなに大きいことになる? っていう、予想を超えた広がりでした。
伊丹 :本当ですよ。Journal Standardって、普通に生きてたら絶対に知ってるじゃないですか? まぁ、良い悪いは見た人が決めてくれればいいので、僕たちが呼ぶだけじゃ来られない人たちの目に触れる機会がもらえることがありがたいです。
ー今後については、海外や台湾なんてワードもちらっと聞こえているのですが、
佐野:台湾でやろうかって話があって、それは是非やりたいねって感じなんですけど、これを機にEZ DO MARKETがもっと広がればいいなと。またどっかでDもできればいいよねって話してます。
TA-1:そういうところにKONCOSがいるのも不思議なんですけどね。一応バンドなんで(笑)
伊丹 :でも、太一くんなしではなかった企画だから。デザインも楽器もだけど、本当になんでもやっちゃうから面白いよね。だって、もともと自分がドラムなのにメンバーにドラム入れちゃってるし(笑)
TA-1のハンドドローイングによるグラフィックTシャツ
ー海外編も楽しみにしています。それでは最後に、今回のEZ D MARKETを通して、一番伝えたいことはなんでしょうか?
佐野:自分たちがやってることって、アンダーグラウンドなシーンで起こってることを拾っているので、どうしても、たくさんの人には伝わらないんですよね。かっこいいって思ってくれる人たちが少人数居るだけって感じ。だから僕らに共感してくれたうえで、Journal Standardと一緒にできたことはすごく意味がある。かっこいいことを追求していく程、それを上手く見せることは難しくて、この行為自体もかっこ悪いことになりかねないし、「ブレたね」って取られることもあるじゃないですか。でもそこを飛び越えて、やってみた結果、新しい出会いが生まれればいいなと考えてます。
INFORMATION
EZ D MARKET
日時:
期間:2019年6月7日〜7月7日(日) 11:30~20:30
会場:神南坂 JOURNAL STANDARD
東京都渋谷区神南1-18-2
tel_03-5457-0700
@jinnanzaka_journalstandard[Ig]
2019年7月12日(金)〜
会場:JOURNAL STANDARD 仙台店、福岡店
・JOURNAL STANDARD 仙台店
宮城県仙台市青葉区中央1-2-3 仙台パルコ 2F
tel_022-212-5810
・JOURNAL STANDARD 福岡店
福岡県福岡市中央区天神2-11-1 福岡パルコ 2F
tel_092-235-7161