Crosstalk 山中拓也/THE ORAL CIGARETTES × 松岡那苗/NERD UNIT JAPAN CEO ストリートと音楽が密接に交差し合う今について

Photography_濱村健誉, edit_Ryo Tajima

Crosstalk 山中拓也/THE ORAL CIGARETTES × 松岡那苗/NERD UNIT JAPAN CEO ストリートと音楽が密接に交差し合う今について

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“もと居た場所。昔の感覚を大切にしなくちゃいけないと思う”
ー山中拓也

“自分の中でストリートの感覚を忘れないようにしなくては”
ー松岡那苗

音楽とファッションで提示する自己表現

ーストリートの“自由に自分らしくクリエイトしていく”というマインドはバンドにも共通している感じがしますね。

山中:そうだと思います。人が何か創造して成功していくには、悔しいけれど過程があるわけじゃないですか。バンドで言えば、それが路上ライブ→小さいライブハウス→レーベルから声がかかる→「大人なんて信用できない!」とか言って断る(笑)。っていう一連の流れがあると思うんですよ。でも、名前を多くの人に知ってもらうにためには、自分たちらしく頑張らなくちゃいけない。ファッションブランドも同じだと思うんですけど、“もの作り”においては、あんまり縛られたくないと僕は思うんです。自由に創造していきたい。そういう意味でストリートファッションも音楽も、時代を切り拓いていくことの根底にある考えは同じなのかもしれないですね。

松岡:本当にそうですね。でも、自分の意志を貫いていくことは難しいことだと感じることもあって。みんなが同じ方向を向くことが正しいとされる風潮があって、同じレールの上に乗らされるように感じるときがあります。絶対に正しいんだっていう信念を、自分のスタイルで訴え続けるっていうのはファッションにも音楽にも言えることだと思うんですが、本当に大変なことだと感じますね。その根源となる力がユース層にあるんだろうと感じています。時代をより楽しくするために、絶対にこうあるべきだっていう意志が、今の若い世代にあると思う。

ーそういった、ある種の“自由が利かない”風潮の中で、松岡さんはブランディングを手掛けられているわけですが、そこには色々な障壁がありそうですね。

松岡:私はブランディングという言葉自体に、あまりピンとこないんですよね。ブランドはブランディングされてできるものじゃないですから。でも、ビジネスとしてやらなきゃいけないことがあるのは事実で、ブランドとして伝えなきゃいけないことはあるんです。例えば、今の若者の憤りやストリートであるべき姿とか。引いてはアジアのカルチャーシーンにある憤りだとか。世界的に見るとアジアのストリートシーンはまだまだ下に見られている部分もあると思うので、それを大きくしていくということはミッションとして感じています。でも、大きくして有名になるために何をしてもいいとは思いません。知られるということと、伝えたいことのバランスをうまく均衡を取りながらやっていかなくてはいけないから難しいですよね。

山中:ときどき、自分の古巣に帰らなくちゃいけないと感じることはないですか? 自分が元々支持されていたグループに戻るという作業、それって絶対必要な作業だと思うんですよ。新しいグループの中に自分が受け入れられたときに、元々支持してくれていた人達から見放されちゃったら自分は終わりだな、と感じます。昔を大切にできなくなっちゃたらダメだな、と。僕には昔から仲良くしているクリエイターチームがいるんですが、そいつらは黒い服しか着ないんですよ。だから、僕もそのグループの人に会いにいくときは黒い服装で行くようにします。どんなに華々しい世界の人と知り合って、そのグループの中にいたとしても、結局1番落ち着く場所は仲間のところなんですよね。メジャーシーンばかり攻めていてもダメですし、アンダーグラウンドのことを知っていないとメジャーシーンのことをより知ることができない、という感覚を大事にしています。

松岡:そうですね。本質はホームかもしれないですし。どうしても大きな資本が動いて作られたものには、ビジネスの香りを感じちゃいますからね。売れ線やトレンドを意識するのも分かるんですが、真の意味でカッコいいというものはアンダーグラウンドやストリートから生まれてくるものだ、という認識を自分は忘れないようにしなくちゃいけないと思っています。ずっとメジャーシーンにいて、業界の中にいると、自分がもともと居た場所を忘れちゃって、いつの間にか自分が商売道具になっていく気がして怖くなることもあるんですよ。

山中:僕らで言えば、自分たちが、もともと居た場所を広げたくてメジャーシーンに飛び込んだから、最初に感じていた感覚を忘れてしまったらメジャーシーンに来た意味がなくなってしまうんです。だから、定期的に自分が居た場所に戻らないとダメだなって。

松岡:自分がホームで形成してきたカラーをメジャーで表現するうえで、自分らしさを色褪せさせないための行動ですよね。

山中:そうですね。メジャーシーンに来て、色んな人に出会って思ったんですが、すごく強い人間が多いんです。そこには、ちゃんとリスペクトを持たないといけないと思うんですよ。僕としては、このシーンでまず自分が頑張ってみて、仲間達に対しては「待ってろよ、まずはオレが行くわ」って感じで考えています。そこで色んなすごい人がいることを知ったうえで「僕がもともと持っていたカラーはこんな色なんですが、どうですか?」 ってことを提示する。そして、それを理解してもらえるように作業したうえで、カッコいいと認めてもらえたら、自分の仲間も紹介する。そんな風な感覚です。自分の世界観を人に知らせていく作業を先頭にたって、どんどんやっていくというのは、僕自身の音楽にもファッションにもある気がします。

松岡:まさにカルチャーの架け橋となるような行動ですね。こういう話が聞けてすごく面白いと思いました。また是非、音楽の現場でも色々とお話していきたいですね。

山中:そうですね。よろしくお願いします。

PROFILE

山中拓也
THE ORAL CIGARETTESのVo&Gt。そのファッション感度の高さも知られるところ。9月にリリースしたシングル『BLACK MEMORY』が映画「亜人」の主題歌に抜擢されるなど、バンドの活躍は目覚ましい。12月6日に1st LIVE DVD&Blu-ray『UNOFFICIAL DINING TOUR 2017 at 日本武道館』をリリース予定。
http://theoralcigarettes.com/

松岡那苗
ストリートブランド、NERD UNIT(ナードユニット)を手掛けるNERD UNIT JAPANのCEO。ナードユニットは2011年にサンフランシスコで誕生。現在はマレーシアを中心にイタリア、イギリス、台湾など、述べ9カ国にブランドを展開している。そのプロダクトに見られるグラフィックは現代のストリート感を包含したものばかり。
https://www.nerdunit.jp/

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