For All Time Story With PUMA SUEDE 進化し続ける人の、変わらない2つのメソッド#04 ermhoi

1968年に発売されて以来、変わることのないクラシックなデザインが、ストリートを中心に支持され、新たなムーブを生み出してきたPUMA SUEDE。本企画では、その不変のスタイルにフォーカスし、時代を動かす4名のキーパーソンから、変わらない2つのメソッドを探る。
令和の時代に突入し、これまでの日常から“変わること”が求められているいま、“変わらないこと”の大切さを見つめ直す。

先日、満を持してファーストアルバムをリリースしたmillennium paradeのメンバーのひとりであるermhoi。これまでソロや3人組ユニットBlack Boboiなどの活動を重ねた経験によって確かなセンスを発揮している。その感性のルーツや音楽に対する考え方に迫りつつ、ermhoiが持つ昔から変わらないスタイルを尋ねてみた。次世代の音楽シーンを担う彼女は、PUMA SUEDEが誇るクラシックのどこにシンパシーを感じるのだろうか。

クラシックモデルだからこその
柔軟性を感じる

—PUMAはどんなイメージですか?

ストリートファッションのイメージが強いです。PUMAと中国のブランドsankuanzとのコラボレーションモデルを持っているんですよ。衣装以外の日常で履いている、唯一のスニーカーです。SFっぽいデザインでとても気に入っています。

—今日ご着用いただいたのがPUMA SUEDE VTGです。1968年にリリースされたオリジナルモデルのディテールを限りなく忠実に再現しています。

見た目も触った感じも上品ですね。様々な国で長く愛されてきたクラシックモデルだからこそ、いろんな服に合わせられる柔軟性を感じます。ストリートはもちろんですけど、シックなスタイルにも合うと思います。タンのロゴが緑色でポップさも感じるのがいいですね。いろんな着こなしに合わせてみたいです。

—PUMA SUEDEは発売当時からほとんどデザインが変わりません。ermhoiさんには“変わらないこと”はありますか?

これが好き、こっちのほうがかっこいい、という強いこだわりを持つことは昔から変わりません。どんな時も、それがあるから今の私がいると思います。

—それは音楽制作においても当てはまることですか?

もちろん。多様なジャンルに触れていても、ソロで作る音楽の根幹はブレないという自信に繋がっています。いろんな音楽に触れて影響を受けていると、ブレちゃうかもしれないって不安になったこともありました。こんなにたくさんの音楽を聴いていたら、おもしろい音楽を作れないんじゃないかと感じたこともあったけど、いつも自分なりのこだわりを捨てないでいたから、今までブレたと思ったことはありません。

—制作においてこだわっている部分はたくさんあると思いますが、特に大事にしているのは?

音楽を内面から出すというか。このジャンルを作ってみようとか、取り入れてみようって考えるんじゃなくて、自分の内側から出てきたものを音にする、みたいな感覚です。最初は無意識だったのですが、徐々に意識するようになりました。

—意識するようになって気づいたことはありますか?

音楽の聴き方が変わりました。以前は全体で聴いていたけど、ディテールに注目するようになりました。このスタンスは変わらずに続けていこうと思っています。

—そもそも、音楽に興味を持ったのはいつ頃ですか?

親が音楽好きなので、幼少期から触れています。海外の音楽や文化に触れる機会が多くて、日本の音楽っていうより海外のジャズやクラシック、ロックやフォークを聴いていました。確か、3歳くらいからピアノ教室に通っていて、小学校からトランペットを吹いていて。演奏したり歌ったり、小さい頃からシームレスに音楽に触れています。

—パッと思いつく限りで構いませんが、音楽に関連した一番古い記憶を教えてください。

The Cranberriesっていうアイルランドのバンドを車の中で聴いていた記憶があります。多分、まだ3歳くらいだったんじゃないかな? 子どもの頃、なぜだかはっきり覚えてないけど、夕日が怖かったんですよ。日が暮れる時間帯に、車で流れていたのがThe Cranberriesのアルバムだったのでよく覚えています。

—子どもながらに、The Cranberriesからどんな印象を受けましたか?

すごくパワフルな音楽性と、アイルランドならではの歌い方や声が特徴だなって思っていました。アイルランドは母のルーツでもあるので、それも覚えている理由だと思います。

—そんな昔から身近にあった音楽ですが、意識的にこれでご飯を食べていこうと決意しましたか? それとも自然な流れ?

大学を卒業してから、一度レールに乗って会社員をやっていたことがあるんですよ。それでも音楽を続けていて、生活の中での優先順位は絶対的に高かった。そしたらいつのまにか、音楽で食べていかなきゃ! と思うようになって。あと、辛い経験があって、時間は無限じゃないと考えるようになったのもきっかけのひとつです。とりあえず自分がやりたいことを考えた結果が音楽で、徐々にシフトしていった感じです。

私にしか作れなかった音を生み出したい

—幼い頃からピアノやトランペットなどの楽器に触れていて、今はデジタルを中心に楽曲制作していますよね。現在のスタイルになったのはいつぐらいからでしょうか?

大学に入ってからです。周りの友達たちがパソコンで音楽を制作していたのを見て興味を持ったんですよ。でもその当時は、エレクトロミュージックが特に好きってわけじゃありませんでした。ただ、バンドを組まずとも好きな音楽を作れる、妄想を具現化できるってところが楽しかったんですよ。やっていく中でエレクトロのおもしろさを感じて広がっていきました。

—制作で譲れないポイントを教えてください。

私じゃない違う誰かでもいい、みたいな音は作らないようにしたいと思っています。めちゃくちゃ個性的ってわけじゃなくても結果的に、私にしか作れなかった音を生み出したいと思っています。

—難しい部分でもありますよね。

今の時代の音楽って、ゼロからイチを生み出すのは難しいと思うんですよ。もちろんそれに抗うのが使命ですけど。今までたくさんのジャンルの音楽を聴いてきたので、私が作る音楽のどこかに、必ずそれが組み込まれているはず。だから、これまで培ってきた音の蓄積を私のフィルターを通してみたら、こんな音になりました、ってことが私にしか作れない音だと思うんですよ。そこにおもしろみを感じています。

—曲も歌詞もミックスも、さらにはジャケットまでも、ご自身で手掛けたりもしますよね。

かっこいいと思うものを、できる範囲は自分で作りたくて。

—周りには才能溢れる人も多いと思いますが、そこに頼らず自分でこなす理由とは?

私はまだ、考えを言語化するのが下手だと思っています。自分がこうしたい、自分の世界観はこういうもの、ってすべてを伝えられるほど言葉が巧みじゃないって感じるんです。だからまずは、自分で作れるところは自分で作ることによって理解してくれる人が現れてほしい、と期待している部分もあります。今は自己表現を積み上げていっているところです。

ー2月19日にEP『E』、3月5日にはシングル『Thunder』と、ソロの2作品リリースしますね。『Thunder』には「Thunder!」と「Better stay there」が収録されていますが、ともに以前からライブで歌っている曲なんですよね?

『E』は昨年作った比較的新しい曲達ですけど、「Thunder!」は原型を5年前くらいに作っていて、個人的に思い入れのある曲なので、ブラッシュアップして改めてリリースします。ミレニアムフープっていう2000年代半ばからのヒットチューンで使われている、歌詞のないメロディだけでサビを歌う手法があるんですけど、「Thunder!」と「Better stay there」は、私なりにミレニアムフープを表現したものです。まだいつになるか分かりませんがアルバムをリリースする予定で、それに向けて他にも制作しているところ。私なりのクラシックを詰め込んだアルバムを作りたいので、楽しみにしていてください。

PUMA SUEDE VTG
COLOUR_Peacoat-Puma White

ermhoi

シンガー、トラックメイカーとして活躍するアーティスト。2015年にファーストアルバム『Junior Refusee』を発表して知名度を獲得。自身の活動と合わせながら、ブランドや企業に楽曲を提供する。2018年には小林うてなとJulia Shortreedの2人とBlack Boboiを結成。King Gnuの常田大希が率いるプロジェクトmillennium paradeにも参加し、先日リリースした『THE MILLENNIUM PARADE』が話題になっている。
Twitter:@Dooonermhoi
Instagram:@ermhoi

PUMA HPでは、ermhoiとPUMA SUEDEとのサイドストーリーを展開中だ。ぜひ、こちらよりチェックを。

For All Time Story With PUMA SUEDE archives!
#01 Yohei Uchino
#02 Takashi Kumagai
#03 BASI

INFORMATION

PUMA SUEDE

https://jp.puma.com