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INNOSENT in FORMAL 「my peaches feat.PES」
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https://lnk.to/my_peaches
9月1日にリリースされたINNOSENT in FORMAL(以下、イノセン)の新曲「my peaches feat.PES」。イノセンは現在コラボ楽曲を連続して発表しており、本作はその第2弾。今回、客演で参加したのは、なんとPES! 一聴すると軽快なドライブソングに仕上がった本楽曲だが、2人のラップが巧みに絡み合う1曲となっている。作詞はぽおるすみす(Vo)とPESが2人で共作したものだが、どのように制作し、何が歌われているのかを語り合ってもらう。
ぽおるすみす / INNOSENT in FORMAL(Vo)
PES
ー今回「my peaches feat.PES」(※以下、my peachesで表記)で共作されたわけですが、お2人はもともと繋がりがあったんですか?
ぽおるすみす(以下、ぽおる):今回が初ですね。PESさんは憧れの存在だったんです。「One」(RIP SLYMEの3rdシングル)を買って聴いてたんです。今回の「my peaches」もラッパーとコラボする予定で、最初に誰とやろうかをチーム内で話し合っているときには候補にも挙がってなかったんですよ(笑)。それは知り合いじゃなかったっていうのもあるし、誘っても受けてくれないだろうっていうのもあったので。
ーそこから、どのようにPESさんの参加が決まっていったんですか?
ぽおる:プロデューサーがPESさんと交流があって、「どう?」って言ってくれたので、「できるのならば是非お願いしたいです!」と。そしたら秒でOKの返事を返してくれたんですよ。
PES:即決でしたね。というのも、そのプロデューサーは昔からの知り合いで、前々からいつか一緒に仕事したいね〜」なんて話をしていたんですよ。そんな彼からお誘いをもらったんで、「よくわからないけどやる!」って(笑)。でも、イノセンのことは『IWGP』(TVアニメ『池袋ウエストゲートパーク』 エンディングテーマ等をイノセンが担当)で知っていたし、バンドなのにボーカルが本格的なラップなんだなってことで気になっていたんで。でも、あれって随分前のことだよね?
ぽおる:そうですね、3、4ヶ月前です。
PES:先の話だなーなんて思ってたら、あっという間にレコーディングの日になって。でも、スッとすぐに打ち解けてやれたよね。
ぽおる:1番最初にお会いしたときは緊張してたんですけど、PESさんが昔からの知り合いのように接してくれたお陰で、すぐにお話できるようになりました。
PES:そういうの得意だからね、オレ。
一同:笑。
ぽおる:PESさんがリラックスした空気を作ってくださって、リリックのやり取りをしているときも楽しく制作させていただけました。ある程度バンドの方で楽曲を詰めていった後に、実際にどういうテーマでラップしていくかってことを、プロデューサーの自宅にある”良い地下”で一緒に作業させていただいて。
ー……”良い地下”?
PES:そう、多分行ったら、みんな「良い地下だな」ってなるよ。
ぽおる:今、思い出しても「良い地下だな」って思います。
PES:「悪い地下だった」って言う人は見たことない。
ー気になる(笑)。そこでリリックについて、どんな話をされたんですか?
PES:ゼロから2人で作ったっていうよりは、ある程度ぽおるの中に感覚的なテーマが決まってたんだよね。だから「そういう感じね! オッケ〜」って(笑)。こういうストーリーで、この順番でやろうっていう細かな話は一切なかったんで、逆にオレから、「この部分は男の子目線? それとも女の子?」とか。「都会っぽい感じ?」とか。そういうことを聞き出していく作業だったかな。何言っても、ぽおるは「そんな感じっす」って言うから(笑)。『おいおい、どんな感じだいっ』ってことを自分の中で消化しながらだったんですけど、やりとりはスムーズで。だから制作はすんなり進んだよね。
ぽおる:PESさんがスタジオに来て、ちょっとお話したら、スルスルとバースを書かれていましたよね。早いなぁと思っていました。
PES:これ、そういう制作ならではなんですけど、その場で同時にバースを書いていると「my peaches」みたいにラップの掛け合いが細かくなっていくんですよ。即興性があるものの方がじっくり考えたものよりも良かったりして、その場で生まれたものは大事なんですよね。後で聴いて考え直しても、パッと出てきた言葉の方が良いなって。っていうか、そういうテーマだもんね?
ぽおる:そうですね。それに、そういった即興性を大切にする制作はずっとやってみたことだったんですよ。住んでいる場所も同じ東京ですし、会いやすい環境でもあったので、即興的な感じで会話をしながら作っていきたいっていうのは確かにテーマの1つとしてありました。その新しい試みが良い方向に転じて良かったなと。それに、「やっぱりPESさんは間違いない、すごい!」と思い知らされましたね。
ー実際にリリックは耳に残る特徴的なワードが並んでいますよね。PESさん的に思い出されるのは、どのバースですか?
PES:「天国 梯子 酒と ATM」かな。これは、ぽおるが予め作っていたバースなんだけど、この間のMV撮影のときに忘れちゃってて。それで、現場で「舌回んねえな〜。何だ、これ!」と思いながら何回も練習しながら撮ったんで。だから覚えちゃいましたよね。
一同:笑。
ーここは、すごく色んなことを考えさせられる一節ですが、ぽおるさんはどういう意図で?
ぽおる:「Night cruising」というイノセンの楽曲があって、神田から秋葉原を経由して隅田川沿いを歩いて最終的に浅草の浅草寺で疲れ果てるっていう散歩コースが僕の中にあるんですけど、そこを歩きながら恋人との思い出を回収していくという、失恋を彷彿させるストーリーを落とし込んだ曲なんですが、それを踏襲したものにしたいというのがあって。
PES:そうなんだ? そういうの言わないんだもんな〜(笑)。
ぽおる:いや、あんまり僕から説明し過ぎちゃうと参加してもらうアーティストの自由度を奪っちゃうじゃないですか。せっかくコラボしているのに、その人の良さが出てきにくい状況を作るのがイヤで。それで、あんまり言い過ぎないように、と。
PES:そういう作戦かぁ。
ぽおる:作戦ってほど大仰なことではないですけど(笑)。でも、本当に自由に解釈してやっていただきたいなと思っていたので。で、「天国 梯子」は作家の村山由佳さんが雲の切れ間から光の線が伸びてくるのを「天使の梯子」と表現してらして、同じ情景を隅田川沿いで見たことがあって、その風景を描写しているんです。対して「酒と ATM」ってすごくリアルな表現じゃないですか。お金がなくてコンビニを梯子しながら飲み歩いているような。そんな自分と目の前に広がってる神々しさのコントラスト、というシーンが記憶に残っていたので、今回リリックにしたんです。
PES:なるほど。「my peaches」は、いわゆる純粋なHIPHOPにおけるラップと違って、ラップを利用した音楽性を持つ楽曲だなと思って。全編通してさーっと聴きやすいのにテクニカルなことをやっていたり。複雑なんだけど表面は柔らかな詩世界で包まれていると言うか。その構図がいいよね。「天国 梯子 酒と ATM」みたいに深い意味がある言葉もあって、意外と立体的な楽曲だと思う。
ーそこは、イノセンというバンドサウンドにおける、ぽおるさん独自のラップだから、普通のHIPHOPとは違う表現になっていったという?
PES:そうですね。逆にHIPHOPのラッパーとなるとこういう表現って難しいと思うんですよね。ちょっと抽象的であったり比喩的であるっていうのはバンドサウンドだから聴きやすいんだと思うし、リリックがどういう意味なのかを考える時間がカジュアルに過ごせる気がする。今作にしてもそうですけど、やっぱり音が耳に入ってきたときの心地よさが大切だったりもするので。
MV「my peaches feat.PES」撮影現場より
ー軽快なグルーヴが心地よい「my peaches」はドライブソングとしても最適だと思います。実際にMVもそういう世界観が描かれていますよね。
ぽおる:そうですね。「Night cruising」が散歩だとしたら「my peaches」はドライブ、その対比を描きたかったんです。ちょうど自分の車をゲットして乗っている時期に制作を進めていたこともあったし、色々とタイミングが重なったのかなと。
ーお2人は実際にドライブは好きですか?
PES:車の運転だけしようとはならないですけど、僕はサーフィンをやっているので普通の人よりドライブしている時間は長いと思いますよ。あと、自分の曲は車で聴きます。カーステレオの音が家で聴くのと違って、また良いので。メロディも昔から車内で作ることが多いかな。
ぽおる:僕もそうです。作った曲を車でもう1回聴いて、良いか悪いかジャッジするみたいなところあります。昔は散歩しているときや電車で移動しているときにやっていたことなんですけど、今は車で。歌詞を考えたりもしますね。
PES:わかる。ながらでやるのが1番体に入るんだよね。
ぽおる:そうなんですよ。1人で運転することが多いんですけど、側から見たら変な光景になっちゃってると思いますよ。ずっとぶつぶつ言ってるんで。
PES:あー、オレもそう。ずっと何か言ってる。そう考えるとドライブの時間、大事だね。
ぽおる:僕は夜にドライブして曲のことを考えることが多いんですけど、PESさんはどうですか?
PES:昼夜は考えてないかな。強いて言うならサーフィンに行く最中だから朝が多いかも。車の中って音の感じがクオリティ高すぎず低すぎずじゃん。それが、きっとリスナーの環境とも近いと思うんだよね。そこで「この部分、変に音が出過ぎだな」とか「この辺、どうしようかな」って考えるのは良いことだと思っていて。それに、ライブのセットリストを体に入れる作業を運転中にしたりするかも。ちょうど1時間半くらいのセットリストが海に行くまでの時間に、ちょうど良かったりするんだよね。だから往復2回、その作業をやってるね。
ぽおる:僕もライブのセットリストを考えたりすることがありますね。走りながら気持ちいいメロディを探したりとか。たまに本気でシャウトしたりしてますよ(笑)。
PES:してるしてる(笑)。ライブで出るかな? これって。試してみるよね。道歩いている人に見られたら電話してるふりするけど。
一同:笑。
ーそういう意味では「my peaches」のサビのリリック「neo tokyo emotion」は、すごくドライブ的ですけど意識されました?
ぽおる:意識しましたねー。
PES:意識してないでしょ、絶対(笑)!
ーあはは!
ぽおる:これは、イノセンが映画の世界から出てきてネオ・トーキョーを舞台にしているという世界観があるので、そことリンクさせて書いたリリックですね。エモーショナルなことが多い昨今なので、エモーショナルを添えてみたという。
PES:「ネオ・トーキョーにエモーショナルを添えて」。どこで出してんの? その料理(笑)。
ぽおる:ふふふ。ここは受け取り手それぞれに託すというか。ここもPESさんには深く説明することはなかったんですけど、本当にすんなり作業進みましたよね。
PES:そうだね。掛け合いの部分作るときにどうしようか? みたいな話をしたぐらいだったもんね。
ぽおる:そこでちょっと大喜利みたいになりかけて。互いが出したラインに、どういう感じでくるかを詰めていって本線から良い意味でズレていったり。
PES:あったね〜! エロくなったり(笑)。たった8小節くらいを作るだけなのに何回も脱線するっていう。
ぽおる:でも、1回脱線しといて良かったなって思ってます(笑)。あそこで良い塩梅が見えてきたので。そういうのも普段の制作ではなかったことですし、掛け合いでやったことがなかったので新鮮に感じました。
PES:今さ、ないでしょ、(ラップの)掛け合いって。ライブもテクニカルになるし、シンコペーションも難しいから。2、30年前はそういう人たちばっかりだったじゃん。デ・ラ・ソウル(De La Soul)とか。それこそリーダーズ(LEADERS OF THE NEW SCHOOL)とかめちゃくちゃやばかったでしょ。練習どんだけすんのってくらい掛け合いが。それを聴いてたから自然にできたんだけど、今はそういうグループもいなくなってきたからね。そういう意味でも聴く人にとって新鮮なんじゃないかな。
ーわかりました。では「my peaches」。今後、もしかしてライブで一緒にやることも考えられる?
ぽおる:えーっとですね、これ言ってもいいのかな……。
PES:やるの? やるのね!? やるときは早めに言ってね! 練習しとくから。MVのとき忘れてて大変だったんだから!
ぽおる:はい!
一同:笑。
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