MUSIC 2021.11.24

[Interview]Age Factory
気骨稜稜たるロックバンド

Photography_Ryutaro Izaki, Text&Edit_Akinobu Nagasawa
EYESCREAM編集部
EYESCREAM編集部

ロックバンドであることの意味についてストレートに向き合ったアルバム『Pure Blue』が本日リリースされた。湧き出る初期衝動を纏ったサウンドと情感あふれる言葉は、20年代を懸命に生きる人々のもどかしさに寄り添う光のよう。Age Factoryが陰鬱な時代のカウンターとなる。

“誰が触れても
温度を感じる音楽をやっていきたい”

ー疾走感溢れるロードムービーのようなアルバムでした。バンドとしての表現方法やその意味と向き合ったアルバム、ということですがAge Factoryのルーツは何でしょう?

清水:系譜的には90年代のUSエモやオルタナティブ、ハードコア色のあるものが好きで。地元奈良のバンドLOSTAGEや、bloodthirsty butchersのスタイルに特に感化されました。

西口:個人的な根本を辿ると、世代だったASIAN KUNG-FU GENERATIONや、ELLEGARDENなども挙がるけど、バンドの音楽の方向性や根源としては英介が言う流れが大きいです。

-タイトルに込めた意味について教えていただけますか?

清水:こんな普通じゃない状況って、未来のことは想像し辛いじゃないですか。でも逆に過去の思い出や当たり前だったことが、余計に綺麗やったなって思うんです。だから『Pure Blue』には、自分のもとになった思い出や、初期衝動みたいなキッズ感を込めています。昔の自分がいるから今の自分がいるって再認識するというか。そういう意味では全体的には今までのテーマ感よりは陰鬱なのかもしれないですけど、内面に向かっている感じですね。ジャケットのデザインもリバイバルっぽい感じのテーマで、Age Factoryっぽいエモの象徴、みたいな世界観を表現できたんじゃないかと。

-ジャケットはMassive AttackやThe Prodigyなどにも、どこか通ずるような雰囲気が感じられました。

清水:まさに、時代背景的にはその辺りにリンクする部分はありますね。

-リバイバル的な要素は楽曲にも表れていると思います。制作はどのように進めたんでしょう?

清水:前作のリリース時点でライブも思うようにできない状態やったんで、断トツにしんどい制作でした。でも足を止めたくなかったし、ピュアに曲が生まれることに抗うことなく、形にした方が今の俺らの体に良いと思って進めました。タイトルトラックの「Pure Blue」がなかったらアルバムとして構築できなかったと思います。

ーバンドとして音を鳴らし続けることで吹っ切れたと。その「Pure Blue」はどのようなアプローチで制作されたんでしょう?

清水:前作からどう進化させようか考えながら先行で4曲出したあと、その時点ではアルバムのテーマも全く決まっていなくて。

増子:初めは『EVERYNIGHT』の時のように構成を練りながらアプローチしていたんですけど。難しくなって詰まった時に、バンドやねんから、まずはガチで演奏しようやって集まって。『LOVE』『GOLD』の時のように、原点回帰して初めからセッションして。

西口:それで細かい部分のアレンジがABパターンできて最後まで意見が割れてたんですけど、いざ録ったら謎のCパターンが急に出てきたりして。

清水:今までなら突飛なものに対してこれイケてる?って絶対止まってたんですけど。今回は俺らが選択したものに対する自負というか、全員が良いと思うならこれで良いんじゃないってシンプルに受け止められるようになって。そこからはスムーズに進んだっすね。試行錯誤した部分と、バンドのフィジカルだけで向き合った部分、どっちのアプローチもできるようになったのは成長だし、だからこそ10曲通して良いバランス感があると思う。

ーJESSEさんをフィーチャリングに迎えた「Light off feat.JESSE」はどうでしたか?

清水:痛快だったっすね。JESSEさんがしっかり歌いたいって言ってくれたので、それならこれやな、っていうデモが俺の中では最初からあって。肝心の歌詞は、レコーディング当日にメンバーの顔を見ながら考えるわ、って言ってくれたんですけど、案の定レコーディング当日に詰まって(笑)。それで散歩に出たら“曇天”で、それがそのまま歌詞に。どうせやるなら激しい感じとかもイメージできたと思うんですけど、俺はJESSEさんのネイチャー味というか、叙情系の感じがめちゃくちゃ好きだから、それがマジカルにハマって。言葉にフォーカスがある曲になりましたね。

西口:アルバム全体としても音の情感を特に大切にして、どう訴えるかをみんなで意識しました。吠えてるとかっていうわけではないけど全体的にはそういう耳触りの。

―なるほど。その情感はどのように表現していますか?

清水:大事にしているのはAge Factoryらしいワードやフレーズのチョイスですね。個人としてではなく、一緒に作詞をしているRYON4やメンバー含め、共有しながら作詞しました。

―Age Factoryが歌うことで映える言葉ってあると思います。そのインスピレーションは何でしょう?

清水:日常の中で気になったのものはメモしていて。友だちが「日記つけてんねん」って話していて“日記”って言葉なんかやばいなとか(笑)。バンドとして、違う言葉に聞こえそう、みたいなものはできるだけ集めていて。あとルーツの話ではないですけど、アジカンやエルレとかを今しっかり聴くと、これくらいストレートに言ったり、フレーズのノリで歌えるんだなって気づいて。俺らにも存在意義があるから、それを信じて歌詞を書こうって改めて思ったっすね。

―では、3人が考えるAge Factoryというバンドの存在意義や、その世界観ってどのようなものでしょう?

清水:昔は、どんだけやばい凶暴なライブをできるかみたいなところで考えてましたけど、10年以上バンドをやってる中で紆余曲折あったっすね。今は誰が触れても温度を感じる音楽をやっていきたいなって思います。チルでなければ、鼓舞するわけでもないけど、聴く人の日常のシーンにそっと寄り添えたら良いなって。俺らはもうティーンではないし、ロックバンドとして光を照らせるような存在でありたいって感覚にはなってるっすね。

西口:僕は昔から直接応援されるのが嫌いなんですよ(笑)。だから誰かのことを想って歌ってますって曲よりも、自分の生活のことや、自分の想ってることを歌ってる方が結果的に自分に回ってくる気がして好きで。Age Factoryは3人にとっても支えになっている部分があるので、僕らが大切にしているものがみんなの大切なものになるっていう意味では、希望になるってことなのかなって思いますね。巡り巡ってというか、もし自分のまわりを大事にできていなければ“大事にしろ”ってお客さんには言えないし。

あとバンドの世界観として距離感はすごく大事だなって思っていて、例えば“LINE”とか“既読無視”みたいな距離が測れるようなワードを僕らは使わなくて。逆に英介の生活圏内の中のこととか、まつわるワードが出てきた時、急にその人の生活に近づける瞬間があって、そこにリアリティがあるというか。消費されない、インスタントじゃない人との近さ、みたいなバランスを表現できているんじゃないかな。

増子:二人が言うように直接的なワードをあまり使わずに聴き手の想像力に働きかけることで、Age Factoryの世界観は拡大するし、だからこそピンポイントではなく、人それぞれ温度や生活感みたいなものが感じられると思います。

INFORMATION

Age Factory
4th Album『Pure Blue』

2021/11/24 release

品番:UKDZ-0214
価格:¥2,500(税込価格)
JAN:4514306018776
DAIZAWA RECORDS / UK.PROJECT INC.

01. OVER
02. SKY
03. Say no more
04. Feel like shit today
05. My own world
06. AXL feat.JUBEE
07. Light off feat.JESSE
08. Sleep under star
09. Blink
10. Pure Blue

https://agefactory.lnk.to/pureblue

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