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MÖSHI
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4月20日にMÖSHIがデジタルリリースした1stフルアルバム『BABEL』。また、『MÖSHI & Kou Yanga EXHIBITION 2022』をLIQUIDROOM KATAで開催し、4月22日にはオープニングパーティを行い、ライブを披露した。かねてより、MÖSHIの動向はお届けしてきた通りだが、改めて、このアルバムが自身にとってどんな作品になったのかを振り返ってもらう。
※『MÖSHI & Kou Yanga EXHIBITION 2022』オープニングパーティで開催されたライブの模様
ー『MÖSHI & Kou Yanga EXHIBITION 2022』のオープニングパーティがあったわけですが、いかがでしたか?
MÖSHI:展示の準備もあったんで大変だったんですけど、やっぱり楽しかったです。今回は以前に制作した洋服も展示しているんですけど、せっかくの機会なんで自分の好きな世界観をしっかり表現したいと思って。それで準備もギリギリまで頑張ったんですよね。ライブもすごく良い雰囲気だったんですよ。もちろん緊張はしていたんですけど、aTTnやKEMURI×Kou Yangaが空気を作り上げてくれて、自信を持ってステージに向かえました。
※『MÖSHI & Kou Yanga EXHIBITION 2022』の展示一部
ーライブではゲストでASOBOiSMさんも出演されましたよね。
MÖSHI:そうなんです。中盤に入ってきてもらって「Connected」をやって。初共演だったんですけど、すごく貴重な機会をもらえたと思っています。
Talk Session: MÖSHI×ASOBOiSM “Connected feat. ASOBOiSM”で歌う対話への疑問と葛藤
ーこの『MÖSHI & Kou Yanga EXHIBITION 2022』開催前、4月20日には1stフルアルバム『BABEL』がデジタルリリースされましたね。そのコンセプトは旧約聖書に登場する“バベルの塔”や映画の『バベル』にも見られる(ミス)コミュニケーションを現代に照らしわせた部分にあると、前回のトークセッションの際にお伺いしました。作品のテーマとして、人とのコミュニケーションに着目した理由について教えてくれますか?
MÖSHI:みんなが思っていることでしょうけど、コロナ禍でコミュニケーションの取り方がすごく変わったのが現象として捉えると面白いと感じていたんです。実際に会わないでオンラインで人とのコミュニケーションが完結してしまうなんて、以前だったら考えられなかったじゃないですか。
ー本当にそうですね。今はオンラインでの打ち合わせやリモートワークが主流になりつつあります。
MÖSHI:ええ。あとは自分の経験に絡めて言うと、僕はあまり外に出ないタイプで、ずっと自宅で制作をしている方だったんですけど、こうしてミュージシャンになって同業の友人が増えてくると、やはり実際に会いたくなってくるし、知り合ったアーティストのライブを見たいと思う気持ちが久しぶりに湧いてきて、そういった環境の変化もあったと思います。人と会う機会が減った時代に、僕は人とコミュニケーションを取りたいと思うようになった、そんな心境の変化もあって作品のコンセプトの根幹に現代におけるコミュニケーションの在り方を置いたんです。
ーMÖSHIさんの心境が変わっていった大きなキッカケと言えば、どういうことが思い出されますか?
MÖSHI:やっぱりアーティストの友人が増えたことがキッカケなんですが、フィーチャリング曲の制作経験は自分の中で大きかったですね。それこそ「Connected feat. ASOBOiSM」では、リリックの一部を自分じゃない人に託すというのも初めてでしたから。ASOBOiSMさんの話を聞いて、もっと人と関わりたいと強く思うようになっていきましたし、どうしたらうまく人とコミュニケーションを取れるんだろうってことも考えるようになりましたし。そういう意味ではアルバムのコンセプトを象徴する曲なのかもしれないですね。
ーアルバム収録曲を振り返ると、1曲目の「Babel」、タイトル曲ですが、まるで映画が始まるときのような高揚感を覚えるオープニング曲だと思いました。
MÖSHI:僕も「Babel」を気に入っていて、ちゃんとアルバムのイントロダクションとしての役割を果たしていると感じていますね。抽象的な音で表現しているんですが、コンセプトをギュッと落とし込めたんじゃないかと。この曲で作品の大まかなテーマを提示したうえで、その後の曲で具体的に物語を展開させるような構成にしたんです。
ー『BABEL』は全15曲収録のアルバムですが、曲ごとに表情が異なっていて、実にバラエティ豊かですよね。
MÖSHI:そこは意識していて、なるべく色んなジャンルを織り交ぜつつ最終的にポップな形へ昇華しようとしたんですよ。その方が物語性が際立つし、リスナーにとっても色んな光景が思い浮かぶんじゃないかなと思って。本当に曲ごとに違うエッセンスを取り入れようとしたんです。
ーそのジャンルのクロスオーバー感について。楽曲を例に少し説明してもらえますか?
MÖSHI:例えば、終盤の「Credit Roll」のビートはUKドリルの要素を取り入れていますし、その後に続く最終曲「I Just Wanna Be Like You」は一転してバラード調にしています。何か統一したジャンル感をイメージしたわけではなく、僕が好きな音楽の要素を各楽曲ごとに落とし込みつつ、ポップに仕上がるように意識して制作していったんです。
ー「Credit Roll」から「I Just Wanna Be Like You」はアルバムのラスト2曲にあたりますが、この流れがすごく綺麗ですね。先ほど仰っていた物語性を強く感じます。
MÖSHI:映画のような流れになったらいいなと思ったんですよね。だから「Credit Roll」はエンドロール的な立ち位置で、最初はラストに持ってきて映画が終わった感じにしようかと思っていたんです。だけど、映画を観終わった後にこう感じたよ、という余韻を出したくて、やはり「I Just Wanna Be Like You」に最後に持ってこようとなって。全体的に曲順は悩んだんですけど、結果的に自分が表現したい世界観をうまく作れて良かったです。
ーちなみに、アートワークもMÖSHIさんが作られたのだとか?
MÖSHI:そうですね。バベルの塔をモチーフとして軸に使いつつ、僕が今まで作ってきたものや、撮ってきた写真を細かくコラージュして1本の塔になるように表現しているんです。
MÖSHI:アートワークはアルバムに限らずシングル曲も自分で作ることが多いですね。まだ構想段階ではあるんですけど、どのデザインも完成に至るまで何個も途中過程のパターンがあって、せっかく自分が作ってきたものなのだから、どこか発表の機会を作っていけたらと考えていますね。
ー楽曲からアートワークから。MÖSHIさんの考え方が作品として表現されたアルバム『BABEL』となったわけですが、現代はサブスク時代。アルバムという単位で音楽を聴く人も少なくなってきています。そんな中で、アルバムというフォーマットはMÖSHIさんにとって、どんなものですか?
MÖSHI:たしかに今はアルバムという単位で音楽を聴く人は少ないですよね。『BABEL』は全編を通して、1つの物語性を持ったアルバムとして作ったわけなんですけど、リスナーが気に入った曲だけを飛ばし聴きする分には、僕は全然構わないんですよ。ただ、僕はこれまでファッションデザインやアートをやってきて、自分が決めたテーマをしっかり表現したいと考えながら、ものづくりを行ってきたので、しっかりと作品として自分が表現したい世界観を提示したいという思いがあるんです。そこに必要だったのが『BABEL』に収録されている15曲だったんですよね。そういう意味では、3曲で自分が表現したいことが伝わるのであれば3曲でリリースしても良いと思っているんですよ。だから、アルバムというフォーマットにこだわっているわけでもないです。大事にしているのは、自分が伝えたいメッセージ性なんです。
ーこうして1stフルアルバムをリリースして。今後はどういう活動をしていきたいと思っていますか?
MÖSHI:実はもう次の作品を作り始めているんですよ。その制作も進めつつですが、やっぱり『MÖSHI & Kou Yanga EXHIBITION 2022』のオープニングパーティでやったライブ空間はすごく楽しかったんですよね。自分で好きな人たちを呼んで、納得いく形でファッションなど音楽以外のカルチャーも織り交ぜたインスタレーションというのはやっていきたいことの1つとしてあります。どんなライブでも、どんどんやっていきたいんですけど、ああいう機会が大事だし、しっかりと準備をしてやることで、自分が表現したいことを人に伝えることができると思うんですよね。いつになるかは未定ですが、またこういう企画をしっかり用意してみたいです。それが自分の強みを届けられる形なんじゃないかなと思っていますね。
ー今後、NFTストアの開設もご準備されていると聞きましたが、その辺りのお話も伺ってもよろしいでしょうか。
MÖSHI:まだ詳しいことはお話しできないのですが、僕のクリエイションに価値を見出してくれる方々に世界に一つだけの作品をデジタルで届けたいと思ってNFTへの参入を考えました。最初はグラフィックデザインの方向からアプローチを考えておりますが、今後は音楽やファッションもNFTとして販売できる物を検討しています。