[Photo Report]ハプニングをも武器に変えるバンド・BREIMEN。ORIGINAL LOVE・田島やTENDRE、BIMらを迎えた特別編成での「FUJI SESSIOONe」 @『FUJI ROCK FESTIVAL ’22』

「ハプニングが人生を彩る」。高木祥太(Vo, Ba)がそう言ったのは、『FUJI ROCK FESTIVAL ’22』出演4日前、彼らのドキュメンタリー作品『BREIMEN 映画 “DOCUMENTALY?”』の一夜限定上映会でのこと。上映当日、“だーいけ”こと、いけだゆうた(Key.)が新型コロナウイルス感染症に罹患したことを発表し、その日予定を急遽変更して、だーいけ以外の4人編成でアコースティックライブが披露された。

ハプニングの波及は7月31日(日)に出演したフジロックにも。初出演となった今回、苗場食堂で彼らがみせたのは、だーいけを除くBREIMEN4人と、5人のゲストを迎えたBREIMEN史上初めての特別編成セッションライブ「FUJI SESSIOONe」。その様子を写真とともに振り返る。

BREIMENのライブでは慣例となった、だーいけの会場アナウンスからライブはスタートした。ステージ上手に設置された、だーいけの躍動感あふれる等身大パネルも相まって、まるで彼が苗場食堂にいるかのように錯覚する。だーいけの軽快なオープニングトークを終えるとともに、高木、サトウカツシロ(Gt.)、ジョージ林(Sax./Fl.)、So Kanno(Dr.)らBREIMENの面々が登場。BREIMENと時を同じくしてGREEN STAGEに出演していたTom Mischの「Disco Yes」のセッションを披露し、高木が「こんばんは、Tom Mischでーす!!」と言い放った後にHerbie Hancockの「Hang Up Your Hang Ups」を続けて演奏した。インストのセッションを2曲続け、セッションバンドとしての姿を苗場に示すと、続いて高木が1人目のゲストを呼び込んだ。

最初に登場したゲストは、前日にGypsy Avalonのステージに出演していたシンガーソングライターのさらさ。実はさらさのライブで今回サポートドラムを務めたのはKanno。井上陽水の「傘がない」のセッションは、ソウルフルなさらさの歌声と高木の色気あるコーラス、そして歌い上げるような林のソプラノサックスの音色が混じり合い、苗場食堂はムーディーな雰囲気に一変した。

続いて高木が普段サポートベースを担当しているTENDREが登場。TENDREをキーボードに迎え、高木のベースのサウンドからイントロが始まると唐突に現れたのは、同日にPUNPEEのステージにも立ったBIM。こちらもKannoがライブでのサポートドラムを務めている縁で、出演が決まったという。BIMの楽曲「KIRARI Deck」を披露し、緩やかなビートでフロアを揺らした。BREIMENのライブではなかなか目にしない観客の揺れるさまをみて、改めて「2度とない特別な編成だな」との思いを強める。

BIMがステージを去ると、4人目のゲスト、パーカッショニストの松井 泉が姿を現す。この日にYOUR SONG IS GOODとして急遽出演した彼を迎えて演奏したのは、高木同様松井もサポートを務めるTENDREの楽曲「HANASHI」。TENDREのライブの定番曲に、BREIMENがいつもと違う一味を加える。特にサトウカツシロのギターソロは、この曲の温度を上昇させるようなサウンドを奏で、苗場食堂は熱気に包まれた。

そして最後に登場したのは、前日にGREEN STAGEでパフォーマンスを披露したORIGINAL LOVE・田島貴男。長年に渡り愛され続ける名曲「接吻」をBREIMENとセッションした。まさかの人物の登場に、観客の「やばい…!」との声が漏れ出し、他エリアからも人々が続々と集まってきた。BREIMENとゲストに田島、TENDRE、松井というあまりに豪華なセッションで、会場を沸かせた。

田島が手を振りステージを去った後、ここまでのBREIMENの楽曲を一切披露しなかった彼らが、TENDRE、松井 泉とともに最後に披露したのは、自身の楽曲「棒人間」。彼らがメンバーチェンジを経て新体制となったのちに初めて発表した曲であり、BREIMENのライブでは定番となったファンおなじみの1曲だ。〈君の帰りを 只々待っている〉と歌った際には、ライブ中終始ステージ上手にいただーいけの等身大パネルを高木が指差すシーンも見られ、「だーいけ含めてBREIMEN」という思いが垣間見えた。

だーいけの不在に、辞退も考えたが出演を決めたというBREIMEN。特別編成で披露した40分間のステージは、自身の楽曲を1曲のみ披露した異例のセットであったが、それは「この5人でなければBREIMENではない」という思いと「音を止めない」という意思が交錯しているような彼ららしいパフォーマンスだった。各々が数多くのアーティストのサポートアクトを務めているからこそ、そしてハプニングあってこそ実現されたこの日は、バンドにも観客にも間違いなく記憶に残る特別なステージだったと言えるだろう。

「棒人間」演奏前、高木はMCで「来年のフジロックに絶対出たい。今日は最高だけど、本来のBREIMENも最高なんで。本来の最高なBREIMENでも出たいなと思ったのでよろしくお願いします」と語った。この日のステージを目にし、加えて高木のこの言葉を聞き、本来の編成でのBREIMENをフジロックで目にする日は近いと確信した。というか、絶対に観たい。5人揃ってフジロックのステージに立つ姿が待ち遠しい。

INFORMATION

BREIMEN『FICTION』

7月20日(水)リリース
¥3,300(税込)

<収録曲>
M1.フィクション
M2 ドキュメンタリ
M3.CATWALK
M4.苦楽ララ
M5.MUSICA
M6.D・T・F
M7.あんたがたどこさ
M8.綺麗事
M9.チャプター
M10.エンドロール

ツアー情報
BREIMEN 3rd ALBUM “FICTION” RELEASE ONEMAN TOUR “NON FICTION”
2022年9月17日(土)大阪府 Shangri-La
2022年9月18日(日)愛知県 CLUB UPSET
2022年9月29日(木)東京都 Spotify O-EAST