MUSIC 2022.12.01

Interview: GOLDEN TYME 世界を目指す第一歩を記した初EP『SUNSET』

EYESCREAM編集部
EYESCREAM編集部
Photograph RK, Edit&Text_Ryo Tajima(DMRT)

2000年生まれの大阪発アーティスト、GOLDEN TYMEは2022年に本格的なアーティスト活動をスタートさせたばかり。11月には6曲入りの1st EP『SUNSET』を発表し、次世代による新たなブラックミュージックを表現している。ルーツにK-HIPHOPがあるというGOLDEN TYMEはどんなアーティストで、どのようなスタンスで音楽を表現するかをインタビュー。

GOLDEN TYMEのスタート地点的作品『SUNSET』

ー1st EP『SUNSET』がリリースとなりましたが、自身にとってどんな作品になったと思いますか?

GOLDEN TYME:この作品はGOLDEN TYMEとしてのスタート地点であり、初めの1歩と言える作品ですね。しっかりとアーティストとして音楽を制作をしたのは『SUNSET』が初めてなんです。音楽活動自体をスタートさせたのは7年ほど前なんですけど、その頃はタイプビートを使ってラップを乗せる程度のものだったので。

ーそもそも音楽を好きになったのは、どんなきっかけがあったんですか?

GOLDEN TYME:中学の頃はスポーツをやっていてオリンピックに出るのが夢だったんですけど、あるときに身体を故障してしまって、その競技ができなくなり夢が中断してしまったんですよ。けっこう落ち込んでしまって、他に何か全力を注げるものがないかを探していて。ちょうど、その頃に好きだった女の子がBIGBANGを聴いていたので話を合わせようかなと思って聴き始めたら、自分の方が思いっきりG-DRAGONにハマっちゃったんですよね。

ーそれで、音楽をやってみようとなったんですね?

GOLDEN TYME:はい。G-DRAGONを明確な目標にして音楽を始めたんですけど、当時は他の音楽を全然聴いていなかったのでレコーディングスタジオに行っても知識がなくてバカにされたりしていたんです。それがめちゃくちゃ悔しくて、日本語ラップからR&B、ソウル、ファンクと色んな音楽を勉強して、自分の音楽を作れるようになっていったんです。

ーでは、ルーツで言うとG-DRAGONになりますね。

GOLDEN TYME:まさにそうです。もちろんそれだけではなく、メラニー・マルティネス、ポスト・マローン、エミネムといったシーンを代表するアーティストの要素も色濃く自分に影響を与えていて、今まで聴いてきた音楽を自己流に昇華して音楽を表現しています。そこが僕の音楽的な生い立ちであり、基盤だと思います。

ーそういった音楽性は『SUNSET』収録の6曲を聴いても感じられます。制作期間で言うと、ここ最近になりますか?

GOLDEN TYME:いえ、2曲目の「LUSH」は3年ほど前に出来ていた曲で、他の楽曲はこの2年間で制作したものです。レコーディング自体は半年ほど前という状況ですね。なので、EP『SUNSET』は、この3年のストーリーを込めています。

ーその内容について概要を教えてもらえますか?

GOLDEN TYME:まず、「LUSH」、4曲目の「RAINY DAY LOVE」、表題曲「SUNSET」は一連のストーリーで繋がっているラヴソングです。僕の恋愛観の話ですね。メロウなトラックではあるんですが、各々違った形で表現しています。例えば「LUSH」はどこか溶けていくような甘さを表現していたり、「RAINY DAY LOVE」であれば、ちょっと悪い自分をラフに表現して宗教ちっくに落とし込んだり。「SUNSET」は聴き馴染みの良さも意識して歌詞のわかりやすさも考えた曲になっています。

ーでは3曲目「BACKPACK」と「DENSE FOG」は、ちょっと毛色の違う曲になるということですか?

GOLDEN TYME:この2曲に関しては、僕が音楽をやるまでの話であったり、ここに至るまでにつまづいた話を、逆にわかりにくいリリックで歌っています。「BACKPACK」のリリックでは<京セラドーム>や<G-DRAGON>というワードが出てきますけど、本当に僕が観たライブの話でもあって、これから自分がラップをやっていく姿勢を示した内容になっています。「DENSE FOG」は、少し言いにくいブラックな内容を裏テーマに、聴きやすい言葉で表現した曲ですね。よし、やるぞと思って音楽を始めても誰もがスターになれるものではないじゃないですか。いつの間にかいなくなってしまった音楽仲間たちへ向けた思いも込めています。普通に聴いたら、聴きやすい良い曲だと思うんですけど、そんなダークな要素も含ませているんですよ。この2曲は、自分にとって真剣に音楽に向き合う決意の歌とも言えると思います。

世界に出て色んな人に自分の音楽を届けたい

ーリリックに関しては、わかりやすくリスナーに届けたいという思いがありますか?

GOLDEN TYME:時と場合によるんですが、僕のスタンスとしては、ダイレクトな言葉を使うというよりも、多様な意味合いを持たせた言い回しにしながらリリックを構築していくことが好きだったりするんですよね。真意を隠した表現をする技法を取ることがありますし、そこにこだわっています。あとは前後の繋がりを見ながら違和感が出ないように、一言一句見直しながら組み立てていますね。それだけ、自分のメッセージを自分の世界観で届けられるように配慮しています。一方でメロディに関しては耳馴染みの良さも意識しています。というのも、曲の第一印象は大事だと思っていて、パッと聴いて口ずさめるようなものをやりたいんですよ。そういった思いは、先ほどお話ししたラヴソング3曲に表現されていると思います。こういう歌詞表現にも、やっぱり根源的にはG-DRAGONからの影響があると自覚しています。

ープロデュースにはZEEBRAさんやAK-69さん、SALUさん、Doberman InfinityなどそうそうたるHIPHOPアーティストとも楽曲を制作しているRYUJAさんが参加されているのだとか?

GOLDEN TYME:そうですね。これまでビートメイカーの知り合いがほぼいなかったんですが、色々な繋がりから紹介していただいてプロデューサーとして参加していただきました。制作の面では、リリックに合わせてトラックを調整してもらったり、逆にRYUJAくんからアドバイスをもらってリリックを差し替えたりといったセッションを繰り返しながら進めていきました。今、振り返ってもめっちゃ楽しかったですね。アイディアがお互いにポンポン出てきて、すごく良いレコーディングになりました。

ー今作は1st EPということで、リスナーに対しても名刺的な作品になったと思います。今後、未来を考えたときに、どんなアーティストへなっていきたいと考えていますか?

GOLDEN TYME:せっかく音楽をやって色んな人と出会ったり、一緒に制作できるのあれば、やはり世界に標準を合わせてやっていきたいと思っています。その道中で「BACKPACK」で歌っているようにソロで京セラドームに立ったり、色んなフェスのヘッドライナーになるっていうのは、何なら僕がやらなくちゃいけないことなんじゃないかなと考えているんですよね。自分しかいないんじゃないかって。だから、今後、認知度が上がっていって、ある一定の層に受けいられたとしても、中途半端な状態で着飾って自分を大きく見せるようなことは僕の中で違うんじゃないかなって思っていますね。もちろん、MVなどの演出としては、そういう要素も大事ではありますし、実際にやると思うんですけど、僕が音楽を始めた目的は世界に出て色んな人に音楽を聴いてもらうということなので、今はまったくの無名ですけど、その目標を達成できるように、ひたすら真摯に音楽をやっていきたいと思っています。

ー世界を目指すうえでアジア人として海外に進出したいと考えている、ということになりますか?

GOLDEN TYME:日本人アーティストとして、アジア代表として世界に出たい気持ちがあります。世界中に名を轟かしているアジア発のアーティストがいると思うんですけど、その枠を目指していきたいですね。海外の大舞台に日本人が立つという波を作っていきたいというのが、未来を見据えたビジョンになります。

INFORMATION

GOLDEN TYME 『SUNSET』

『SUNSET』
発売中
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Photograph RK

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