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chilldspot
「get high」
発売：2022年12月16日（金）
配信：
https://lnk.to/get_high
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chilldspotが12月16日に新曲「get high」をリリースする。この曲は2023年1月6日公開の映画『恋のいばら』の主題歌として書き下ろされたもので、感情のうねりを壮大に表現した、バンドの新たな一面が見える楽曲に仕上がっている。同曲に込めた想いや今秋に開催した初の全国ツアー「One man tour “Road Movie”」の手ごたえ、そして2022年の振り返りまで、メンバー4人にじっくり語ってもらった。
──chilldspotは9月から10月にかけて初の全国ツアー「One man tour “Road Movie”」を開催しました。まずはこのツアーの話から聞かせてください。ツアーの手ごたえはどのようなものでしたか？
玲山（Gt）：うーん……、何言おうかな。
小﨑（Ba）：「どれ話そうかな？」って？（笑）
玲山：うん。「これはジャスティンが別の取材で言ってたな」とか思っちゃって。
──別のインタビューで、本当は言いたかったけど、他のメンバーに言われちゃったみたいなことでもいいんじゃないですか？
ジャスティン（Dr）：それいいじゃん。
玲山：じゃあ、そうします。ツアーを通して、メンバー間ももちろんですけど、スタッフの方とも一緒にごはんに行ったりして、チーム全体でどんどん一つになれてよかったなと。
ジャスティン：俺と丸々同じこと言ったね（笑）。
比喩根（Vo, Gt）：そうだね。すごいね。
──逆に言うと、みんながそう感じていたということですよね。
ジャスティン：確かに。
──チームの仲の良さは、ライブや制作に影響してくるものですか？
玲山：そうですね。気持ち的に安心してできるみたいなところはある。良いことだと思います。
ジャスティン：僕らが若いぶん、周りのスタッフさんは年上の人が多いので、初めはどうしても緊張しちゃって。でもコミュニケーションを取っていく中で、「この人、意外とこんな面もあるんだ」とか知れるとうれしくなって。よかったよね。
玲山：うん。
ジャスティン：僕は、アーティストの先輩から「地方によってノリが違ったりしてお客さんの地域性がある」みたいな話を聞いていたんですけど、実際に初めて行った土地も多かったので「こういう感じの曲が好きなんだ」とか「最初から盛り上がってくれるんだな」とか、そういう各地のお客さんの空気感を知ることができたなと思います。次に行くときには、「前回行ったときはこんな感じだったからこうしてみよう」みたいなことも考えられるだろうし。今後にも繋がっていくと思います。
小﨑：ツアーをやる前とやった後で、chilldspotとしての熱量が変わった感じがしていて。練習中でも「もっとこうしたい」「ここはこうしたらもっとよくなるんじゃないか」みたいな意見が増えてきたり、ツアーのパフォーマンスに関しての話し合いも増えたりして。バンドとしての熱量が増えた気がしますね。
比喩根：今までのライブはどちらかというと保守的というか、自分たちがうまくやっているところを見てほしいという感じがあったんですけど、今回のツアーでは、お客さんの反応をきちんと見ることができるようになったなと思います。そのぶんメンバーの動きも大きくなったし、“ライブをしている”という感じがメンバー同士でも伝わってくるようになって。お客さんもジャンプしたり手を上げたりしてくれるし、それが振り付けじゃなくて、本当にジャンプしたくて、手を上げたくてやってるというのを何度も感じて。さっきも出ましたけど、メンバーともスタッフさんともお互いに思ったことを話す機会が増えたので、ライブの良し悪しをいろいろな角度から判断できるようになったのも大きいなと思います。
──バンドにとって、ツアーはすごく大きい経験だったんですね。
比喩根：そうですね。ライブもガラッと変わったし、自分たちの心境や日々の目標も少しずつ変わっていっている気がします。本当に大きい経験でした。
──目標が変わったというのは？
比喩根：具体的にとか、最終的な目標とかはまだわかっていないけど、「chilldspotとしてどう見せたいか」という考えを一人ひとりが持つようになったというか。
ジャスティン：バンド全体の見え方を、各々が以前よりも考えるようになった気がします。
比喩根：そうだね。
──そして12月16日には新曲「get high」がリリースされます。この曲は映画『恋のいばら』の主題歌として書き下ろした楽曲ですが、『恋のいばら』から何を感じてどう楽曲に落とし込んでいったのでしょうか？
比喩根：台本を読ませていただいて、単純にはジャンル分けができない作品だなと思いました。ミステリーもあるし、恋愛もあるし、いろいろな要素が混ざっている。だからこの映画の1から10までを曲にするというよりかは、どこかに焦点を絞ろうと思って。主人公の女性は、一つのすごく大きな感情を持って行動を起こすのですが、たった一つの感情でここまでできるのかと驚くほどに大胆な行動もするんですね。ピュアで美しいけど、すごく危ないことでもある。その感情にフォーカスできたらと思って、この曲を作りました。
──うねりをもたらした大きな感情にフォーカスを当てたからなのかもしれませんが、ボーカルも今までよりも深みが増しているように感じました。ボーカルで意識したことはありますか？
比喩根：曲自体もキラキラしているというよりは危なさがある感じなので、どっしりとしていて、でも凛としているという歌い方にはしたかな。それと同時に主人公の葛藤も表現したかったので、「どうしたらいいんだ」という感情が後半に進むにつれてどんどん高まるように裏声と地声を使い分けて。後半になるにつれて苦しくなっていくというか、必死さは出せたらいいなと思って録りました。
──まさに私が感じたものでした。危うさがありつつも、強さもあって。
比喩根：やったぁ！ うれしいです。
──J-WAVE 「THE KINGS PLACE」での初オンエアの際には、ジャスティンさんが「いろいろな太鼓を叩いている」ともおっしゃっていましたが、それぞれのパートの聞きどころやこだわりを教えてください。
小﨑：空間の広がりを感じさせる壮大な曲なので、ベースは動き過ぎず、支える感じにしました。ベースの低音を聞いてください。
玲山：ギターに関しては、途中にソロみたいな部分があるんですが、そこで主人公の荒れている心情が表現できたかなと思います。あと、ピアノの音がいいですね。僕じゃないんですけど（笑）。でもこの曲に関してはピアノが結構重要な役割をしている気がします。
比喩根：ピアノ、良いよね。
ジャスティン：僕はラジオで言った通り、いろいろな太鼓を叩いています。知り合いのパーカショニストに、大量の民族楽器や100年前の太鼓とかを持ってきてもらって、その場で試してよかったものを入れていきました。毎回ドラムの音作りはこだわっているんですけど、その中でも今回はトップクラスにいろいろなことを試したんじゃないかな。映画館で聴くとさらに面白いと思います。
──ちなみにどのような太鼓を叩いたんですか？
ジャスティン：車にパンパンに詰め込んできて、僕ちょっと引いちゃったんですけど（笑）。それくらいたくさん持ってきてくれて。「アフリカで買いました」みたいな、ヤギの革をそのまま張った太鼓とか、一斗缶みたいな素材にジャラジャラ何かがついている手作りの何かとか。面白かったですね。
──音作りにおいて、映画の主題歌ということで特別に意識したことはありますか？
比喩根：“映画のエンドロールで流れる”ということはずっと意識していましたね。あまり速過ぎず、明るいというよりはちょっとウェッティで、サッと終わるというよりは映画を丁寧に包み込むようなイメージで。アレンジにおいては、プロデューサーさんと「映画の主題歌だから壮大さは欲しいね」という話をしましたね。映画の内容自体は、世界を救うとかそういう壮大なストーリーではないですが、やっぱり映画の説得力を持たせるには、空間が広くて壮大な感じがいいんじゃないかって。結果的に、今までのchilldspotにはないような曲がまたつくれたのでよかったです。
ジャスティン：もうすぐで全員が20歳になるので、そんなchilldspotなりの大人のカッコよさが出せたんじゃないかな。衣装も今回はちょっとシックだし、大人っぽい一面も出せていたらいいなと。
比喩根：メンバーの成長と共にそれぞれの色気もどんどん出せるようになるのかなと思うので、大人になっていくにつれてさらに変化していくのが今から楽しみです。
──12月なので、今年の振り返りもしてもらえたらと思います。2022年はchilldspotにとって飛躍の年になったのではないかなと思いますが、皆さんはどんな1年だったと感じていますか？
玲山：俺、もう記憶ない……。
ジャスティン：記憶ないんだ（笑）。
小﨑：でも記憶がないくらい、本当にあっという間でした。いろいろなイベントがあったり練習があったりして、365日ずっとchilldspotのことを考えていた1年でした。
ジャスティン：それまではライブがコロナでなくなったりしていたので、今年やっとバンドらしい過ごし方ができて。その過程でいいこともあれば、もちろん悪いこともあったけど、その中で結束が深まった1年でした。これまでは「これから先がちょっと心配だな」と思うこともあったけど、今は、これからやっていくことに対して希望が持てるというか……いや、ちょっとカッコつけ過ぎだな……。
比喩根：いいよ、いいよ。持っていこうよ、希望を！
ジャスティン：プラスに考えられるようになったというのはすごくいい変化だなと思います。
──それぞれが2022年に触れたカルチャー作品の中で、特に自身に影響を与えたものがあれば教えていただきたいです。
玲山：俺はゲームかな。もともとあまりヒップホップとかは聴いてこなかったんですけど、ゲームの影響で「意外とこういう音楽もカッコ良いんだ」と思うようになって。ゲームで使われている音楽だけじゃなくて、大会とかゲーム配信とかで使われていたり。ゲームをきっかけに、聴く音楽のジャンルが広がりました。
ジャスティン：たくさんあるけど、今年で言ったら踊Foot Worksのアルバム『Master Work』ですね。昔から踊Foot Worksが大好きなんですけど、このアルバムのタイミングでコメントを出させてもらえることになって。そのときにメンバーの皆さんが「傑作ができた」「めちゃくちゃ自信がある」と言っていたんです。もちろん傑作なのは間違いないんですが、そこまで言えるのもカッコいいなと思って。ライブも見させてもらいましたけど、本当にカッコよくて、自分ももっと頑張ろうと思いました。すごく刺激になりました。大好きです。
小﨑：僕はインディーズの音楽を聴くのが好きで。特に今年はすごくディグっていろんなインディーズの音楽を聴いていましたね。特に海外のインディーズの作品って独特なものが多くて。すごく尖った音や耳に馴染みづらい音を出していて新鮮なんです。ベースのフレーズにしても変なフレーズだったり、あえて音を外していたりするんですけど、「こういうのもアリだな」と参考にさせてもらっています。
比喩根：私もいろいろなものに影響を受けていますけど、今年は特に、メンバーやスタッフさんからの影響が大きかったですね。去年よりもメンバーと一緒にいる時間が多かったんですよ。みんなが聴いている音楽を教えてもらって、カッコいいなと思ってプレイリストに入れるみたいなことも多かったし。私はもともと怠け癖があって、自分に厳しくできないタイプなんですけど、スタッフさんが限界までストイックに仕事をしている姿や、メンバーの努力や成長が、いい意味で自分を焦らせてくれるんです。「みんながこれだけやっているんだから、私ももっといい曲つくらなきゃ」って。今年は特に、そういう気持ちで頑張れた瞬間がたくさんありました。
──メンバー同士で刺激を与え合えるのは、すごく素敵ですね。
比喩根：私はみんなに与えているのか分からないですけど。
玲山：与えてもらってますよ。
比喩根：よかった。みんな、これからも私に刺激をたくさんくれ！
玲山：タバスコあげるよ（笑）。
比喩根：それはいらない！（笑）
──では最後に、バンドにとって2023年をどのような1年にしたいか聞かせてください。
比喩根：やりたいことをやる1年にしたい。今までのchilldspotには「どうしてもこのステージに立ちたい！」とかそういうものが、良くも悪くもあんまりなくて。「出させていただけるなら全力で頑張ります」という気持ちが大きかったんです。だけど最近は少しずつプレイの面でも曲でも自分たちがやってみたいことがはっきりしてきたので、来年はバンドとしてももう少し自分たちのやりたいことを反映していけたらと思っています。全員でもうちょっとchilldspotに打ち込んでいけたら、ライブも曲も、もっともっと良くなっていくのかなと思うので。
ジャスティン：こういう取材でいつも「大きい会場でやりたいんじゃないですか？」と聞かれるんです。でも今年一年で今まで行ったことない土地なのに、すごく僕たちのことを応援してくれる方々に出会えて、今は大きい会場にというよりも、chilldspotのことを好きでいてくれる人たちに直接届けたい。そういうことを、来年はもっとできたらいいなと思っています。まだ行けていない地域もたくさんあるし。
比喩根：47都道府県それぞれのご当地バンドになるくらいの勢いで、いろいろなところでライブをして、大きい会場でライブをやったときに「あそこにchilldspotが立っているのは正解だ」って思ってもらえるようなバンドになっていきたいよね。
ジャスティン：うん。一つ一つ地道にやっていけたらいいなと思っています。
──ちゃんと地に足がついているんですね。
ジャスティン：いや、まだついていないです。
比喩根：だからつけたいんです。
玲山：ベタベタに地を這って。
比喩根：這おう這おう。“地を這る系バンド”やろう！
ジャスティン：泥臭くやっていきます！
