MUSIC 2023.02.05

Interview:STARKIDS〜爆速でHIPHOPシーンを駆け巡る新星が表現するユーロビート軸のポップカルチャー〜

EYESCREAM編集部
EYESCREAM編集部
Photograph_Satoshi Hata, Edit&Text_Ryo Tajima[DMRT]

昨今、HIPHOPやハイパーポップ好きが口々に話題にしているSTARKIDS。彼らはEDMやユーロビート、テクノといった電子音楽を現代流に自分たちのスタイルで表現している。30代オーバーのリスナーが、どこかレトロな風合いを感じるのは、こうした音楽やファッションを持ったスタイルが2000~2010年代に渋谷・原宿にあったからだ。4つ打ちの音楽が街に溢れ、蛍光色のグラフィックで彩られた洋服でセンター街で徒党を組む。そんな光景がポップカルチャーを形成していた状況があった。
別に、STARKIDSは、そういうポップカルチャーのリバイバルをやっているわけではく、まったく新らしいスタイルで音楽を表現しているのだが、それがフレッシュに感じられる。新曲「REDLINE」と「HORIZON」の2曲を軸に、STARKIDSがどんな連中なのかを教えてもらった。

L to R_BENXNI,Lil Roar,espeon,levi,TAHITI,SPACE BOY

SoundCloudなどネットを通じて集まった仲間たち

ーお名前を教えてください!

BENXNI:BENXNIと申します。プロデュースとラップをどっちもやっています。

Lil Roar:Lil Roarです。日本語しか喋れません。

levi:leviって言います。『進撃の巨人』に出てくるリヴァイ兵長のleviです。ここまでが日本人チームとでも言いましょうか。

Space Boy:Space Boyです。ボーカルと編集、アートワークのディレクションをしています。ほぼ英語で喋ります。

espeon:espeonです。ボーカルで、STARKIDSで1番 Kawaii メンバーです。日本語はほとんど喋れません。

TAHITI:TAHITIです。ストロングソルジャー(ボーカル)です。

ーまずは単刀直入にSTARKIDSがどんなグループなのか教えていただけますか?

Lil Roar:STARKIDSっていう名前の通り、ずっと子供のままっていうか、頭の悪い集団です(笑)。どう?

Space Boy:半分が外国人で半分が日本人のグループ。ふざけているけど曲がヤバいヤツらって感じかな?

espeon:結局、真面目なグループです。

ーどんな風にメンバーが集まっていったんですか?

Lil Roar:Space Boyが中心になってネットを介して色んなアーティストに声をかけていったんですよ。最後に加入したのが僕かな。最初はフィーチャリングで曲に誘われてて、ずっと一緒にいるから、もうSTARKIDSだねって。それで今の編成になった感じです。

BENXNI:ネットを介して集まったんですけど、大体はお互いのことを知っていたんですよね。

Space Boy:そうだね。Lil Roarのことを知っていて、SoundCloudからDMしたけど返信なかったもん、最初。

Lil Roar:ウソ!? っていうか、SoundCloudにDMの機能付いてるなんて知らなかったもん。そんな感じでSpace Boyがみんなに声をかけていったんですよ。

ーSpace Boyさんは拠点がハワイだったんですよね? 日本に来て、どういう基準で声をかけていったんですか?

Space Boy:音楽性云々ではなくて、まず友達になれるかどうかっていうのが声をかける基準だったんですよね。それで色んなアーティストに一緒にやらないかって話をして、一時期は10人くらいいたんですけど、最終的に今のメンバーが残ったっていう。集まってみんなで遊んで、このメンバーに固まって。今がベストな状態だと思いますね。

ー集まってどんなことをして遊んでいたんですか?

Lil Roar:最初の頃はお酒を飲んで古着屋に行ったりしていましたね。原宿、渋谷、下北沢、高円寺、みんなでウロウロしていたような感じです、あとゲームもよくやっていましたね。

levi:最近だと音楽を作って遊んでいることが多いですけどね。

ゲーム音楽の影響が強い「HORIZON」などの楽曲

ー音楽制作も遊びの延長、だからSTARKIDSはいいんでしょうね。古着が好きなのは何か理由があるんですか?

Space Boy:着ているのはほとんど古着ですけど、それしか買えないからって理由でしたね。あと、メンバー各々、好きなスタイルは異なっているけど、昔のファッションが持つイメージからインスピレーションを受けて洋服を選んでいると思います。

Lil Roar:あと、具体的に“この人!”っていうファッションアイコンがいるわけじゃないんですけど、アニメっぽい服装を好んで着ている印象があります。

ーお話を聞いていると、STARKIDSはアニメやゲームなどから影響を受けている部分も大きそうですね。

BENXNI:僕らの「FLASH」という楽曲や、12月7日にリリースした「HORIZON」などは、僕がゲーム音楽から着想を得てプロデュースしたので、そういう意味では影響を受けてると思いますね。アニメ音楽に影響を受けたラッパーは多いと思うんですけど、僕らはゲーム音楽っていう。

ーどの辺りのゲームに影響を受けていますか?

BENXNI:『湾岸MIDNIGHT』や『頭文字D』、『beatmania』などのゲームですね。そこに使われていたユーロビートや、ハッピーハードコアだとか、そういうジャンルの音楽を聴いて育ってきました。今も影響を与えられる部分はあると思います。

Space Boy:日本のアーケードミュージックはやばいね。EDMやハードコアだとか色々なジャンルが全部入ってる。『CHUNITHM(チュウニズム)』とか特にヤバいと思う。

Lil Roar:それこそ、最初の頃はみんなで集まってゲームセンターに行ったりしていましたからね。ゲームセンターで過ごしていたことが今のSTARKIDSの音楽性にも影響を与えていると思います。

espeon:アメリカではオンラインゲームになっちゃうんで、日本のゲームセンターってすごく刺激的で面白い場所に感じるんですよ。

日本のポップカルチャーを取り戻す

ーなるほど。仰る通りで「HORIZON」は、かなりEDM寄りでハイテンポな曲でもありますよね。

BENXNI:こういう4つ打ちのユーロビート的なビートをもっと作ろうと思ったのは「FLASH」がリスナーに受け入れられたことが背景にあるんですよね。最初は実験的なものを作る気持ちだったんですけど、聴いてもらえるのであればスタイルをシフトさせてユーロビートをやろうっていう。

levi:オレが好きなアーティストでm.o.v.eっていうグループがいて、彼らのユーロビートが大好きなんですよ。そしたら、そのプロデューサー(t-kimura=木村貴志)が聴いてくれていて。

TAHITI:歌詞の一部をサンプリングして<M.o.v.e>、<イニシャルD(S)>って使っているんですけど、それをm.o.v.eのプロデューサーの息子さんがお父さんに伝えてくれたみたいで、めっちゃナイス! と思いました。すごく嬉しかったです。

Space Boy:こうしてオレらがユーロビートをやるのも本物の日本を世界に伝えたいからなんですよ。今、日本のポップカルチャーはアメリカのポップカルチャーに上塗りされてしまっている状態だと思っていて、本来持ち合わせている日本のオリジナリティを広めていきたいんです。

BENXNI:そうだね。本物は日本だって考え方でやっていて、昔のスタイルを新しく自分たちらしく昇華させて表現していこうと思っています。「FLASH」もそうだし。

Lil Roar:輸入してきたものを消費するんじゃなくて、輸出する側になりたい感覚です。日本発信のカルチャーを広めていきたいんですよ。

STARKIDS流儀のトレッドを表現した「REDLINE」

ーでは、11月末に公開された「REDLINE」についても教えてください。

BENXNI:僕らが好きなジャンルでトレッドっていうのがあるんですけど、その音楽とSTARKIDSのスタイルをミックスさせたら面白い曲になるんじゃないかなと思って作りました。2021年に発表したアルバム『4D』に収録した「WANGAN」って曲があるんですけど、その延長線上にある完成形が「REDLINE」という位置付けになりますね。

levi:ビートもヤバいんですけど、ベースの音が特徴的で、バイクとか車のエンジンみたいなサウンドが特徴的なんです。疾走感があるんですよね。

Space Boy:歌詞に関しては『REDLINE』というアニメ(2010年公開のSFカーアクションアニメ)の影響もありますね。

ー「REDLINE」は歌詞がかなり強気で気分が上がる表現が多いですね。

Lil Roar:いわゆる、無敵とか楽勝とか、そういう攻撃的な言葉をリリックに入れるときは、この日本を変えていきたい、誰にも負けないぞっていう決意めいた気持ちを込めていますね。この背景には以前、SoundColudで僕らのスタイルに近い音楽をやっている人を聴いたことがあって、そういう勝気なスタイルを自分達なりに新しく表現したいと考えたんです。

ーわかりました。2月18日には日比谷野外大音楽堂で開催される『FUYU NO YAON』にもヘッドライナーで出演となりますね。非常に豪華なラインナップの中での参加となりますが、意気込みはいかがでしょう?

 
Lil Roar:新しいファンを作りたいので共演者に負けない気持ちで挑みたいです。
 
espeon:うん。初めてSTARKIDSを観る人もいると思うので、覚えてもらえるようなライブにしたいです。
 
Space Boy:まずはライブを楽しんでほしいです。

ーでは、今年の活動の目標的なことも最後にひと言教えてください。

Lil Roar:この「REDLINE」と「HORIZON」は制作期間を長く持って、すごく気合を入れた2曲でもあったんですが、これを境に今年はもっとクオリティを上げて良い曲をどんどん出していきたいですね。自分たちの中に溜まっているものを曝け出して、次に向かって行こうと考えています。

INFORMATION

STARKIDS

https://linktr.ee/starkidsjp
https://twitter.com/starkidsjp
https://www.instagram.com/starkidsjp/

2月9日STARKIDS presents STAR RAVE
Shibuya WWW
STARKIDS/Deko(US)/Peterparker69/rirugiliyangugili/KEYG3N/guntai9
eplus

2月18日
日比谷野外大音楽堂
数量限定S席:¥9,980、A自由席:¥5,980(税込)、U-25 A自由席:¥2,980(税込)
※入場時に身分証明書提示必須、未成年入場可能

第一弾出演アーティスト
HEAD LINER:
SKY-HI/C.O.S.A./Jin Dogg/ralph/STARKIDS/JUBEE(CreativeDrugStore)featuring GUEST/CYBER RUI/HIYADAM/in-d(CreativeDrugStore)
SPECIAL LIVE:
chelmico/Gottz & MUD(KANDYTOWN)/漢 a.k.a. GAMI/LANA/SUSHIBOYS
SHOT LIVE:
K DUB SHINE/Campanella/homalelanka/JNKMN(YENTOWN)/PETZ(YENTOWN)/釈迦坊主/山田ギャル神宮/18scott
DJ:
原島”ど真ん中”宙芳
and more…
https://eplus.jp/sf/detail/3458250001-P0030005

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