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BLUE ENCOUNT 「Journey through the new door」
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BLUE ENCOUNTが2月8日にミニアルバム「Journey through the new door」を発表する。続く2月10日にはTHE ORAL CIGARETTES、04 Limited Sazabysとの3マンイベント『ONAKAMA 2023』、2月11日にはツアーファイナル『BLUE ENCOUNT TOUR 2022-23 ~knockin’ on the new door~ THE FINAL』を日本武道館で2デイズ開催する。
バンドにとって激動だった2022年を封じ込めた本作、とことん自分に向き合いながら制作を行ってきたBLUE ENCOUNTは2023年と、その先の未来に何を考えているのか。どんな作品になったのかを交えながらご紹介していきたい。
L to R_江口雄也、高村佳秀、田邊駿一、辻村勇太
ーミニアルバム「Journey through the new door」ですが、率直にどういう作品になったと考えていますか?
田邊駿一(以下、田邊):大前提として、今作はアルバムという感覚が薄いんです。僕にとって2022年は激動の1年で、自分に対して本当に正直に向き合って作った5曲の集合体的作品だと捉えていますね。良い意味で何のテーマもないですし、こんな風にアルバムを作ったのは初めてだったので、だからこそ大変だった気がしています。
ーどういう点が大変だと感じましたか?
田邊:強いて言うと、自らと対峙することがテーマで、自分と向き合いながら制作を行ったので、そこが大変でしたね。「Z.E.R.O.」は『コードギアス 反逆のルルーシュR2』のEDテーマだったので、アニメ作品に寄り添った曲作りでしたけど、他4曲に関しては完全に自分たちという物語の上で作ったものでした。本当にこういう制作は久々だったんですよ。昨年は辻村の渡米発表だったり、BLUE ENCOUNTとしての今後のやり方を提示しながらツアーを行ってきて、その時々に出てくるメッセージやメロディをストレートにスピーディに伝えようと考えながら、明確にリリーススケジュールも決めずにやっていました。こう話すと、自由に気楽に曲作りしていたように聞こえると思うんですけど、実際は逆で、自分という人間が何なのかを考えながら模索する1年にもなったので、制作は非常に難航したんですよ。特にアルバム後半に収録している「青」と「DOOR」の2曲における生みの苦しみは歴代の中でもかなり上位に入りますね。
ーそのように制作が大変だったのは、バンドが長い年月を経て今の立場に至ったからですか?
田邊:そうですね、BLUE ENCOUNTは結成18年を越え、メジャーデビューして8年が経ったわけで、もうバンドとして1、2周して、色んなところでライブをしてきて、様々な物語の楽曲を作ってきた過程がある中でテーマやコンセプトを設けずに何かを出すってことが久々だったというか。だから、積み重ねてきたキャリアと初期衝動が妙にミックスされていって、不思議なバランス感覚の作品になった気はしています。
ーそれはメンバー皆さん、同じ気持ちですか?
高村佳秀(以下、高村):振り返れば、2022年は曲を追究していく欲求が今まで以上に増していたような気がしますね。自己探究に応じていくのが大変だったと感じます。すでに配信していた曲も収録されているミニアルバムですし、最後の「DOOR」も、ざっくりとした全体像があったんですけど、ツアーをしながらようやく形にすることができた感じで。どこか定められたような曲だったような気はするんですけど、それを生み出すのがすごい大変だったと思います。「Journey through the new door」を聴くと、すでにもっとこうしたかったという点が絶え間なく出てきちゃうというか、それぐらいもっとクオリティが高い作品を作りたいという思いが強くなった1年だったので、今後より進化していくことの決意の表れ的な立ち位置の作品になったのかもしれないです。
江口雄也(以下、江口):僕の場合は、制作に対してこれまで通り挑んだと考えています。作るべき曲に対してベストのアレンジをしようって考え方は、デビューして以降、ずっと変わらないスタンスですね。メンバーがトライしてくれることに対して、オリジナリティのあるフレーズをいかに入れていくかってことを常に意識して制作していますし、今作も同様です。
辻村勇太(以下、辻村):自分の場合、昔からやりたいことがメンバーと違ったりすることが多いので、今作も調和を意識しながら、自分が表現したいことをどう曲にミックスさせて反映させていくかを考えていきましたね。その繋ぎ合わせが、きちんとできたんじゃないかと今作は思います。ベースラインを考えるときも、ライブで弾けるかどうかより、自分がやりたいかどうかが重要だと考えているので、その意思をより強固しながらアルバムを作っていったと考えています。結果的に、もっともっとやりたいっていうことに特化して、自分の能力を強くしてきたいと考えるきっかけの1枚になったのかと思いますね。
ーベースラインという意味では2曲目の新曲「vendetta」。このイントロは非常にインパクトがありますね。
辻村:ですよね。このライン、頭の中でずっと流れていたんですけど、どうやって表現できるんだろうって。それを家で何度も練習してレコーディングに挑みました。ものすごい練習したんですけど、改めて完成した曲を聴くと、まだまだだなって思えるところが面白いです。
ー「vendetta」は復讐といった攻撃的な意味がある言葉ですよね。イントロから1曲を通して疾走感があり、非常に緻密に考え抜かれた楽曲だと感じるのですが、どのような楽曲に仕上がりましたか?
田邊:まさに仮タイトルは復讐って曲だったんですよね。僕、SNSをやってはいるんですけど、そこで毒を吐きたくないと思っているんですよね。でも、常に毒もちゃんと持ってはいてイライラすることだってあるので生業である音楽で愚痴を吐きましょうっていう。今作に限らず、BLUE ENCOUNTのアルバムには1曲は毒々しい歌詞の曲があるんですけど、今回は、この「vendetta」さんがその立ち回りを担ってくれたというか。この曲という主人公に毒っ気のある台詞をしゃべらせている感じです。
ー仰る通り、強い語感の歌詞が印象的でもありますね。
田邊:現代を生きていて感じる毒って、きっと誰もが似たようなことだと思うんですよ。時代に対して腹立たしいことが似ているからこそ繋がれる部分もある思うんですけど、それをずっと同じ形で吐き出し続けていても面白くないので、今回は犯罪者チックに擬えたりとか。ちょっとクライムサスペンスっぽく味付けしてみたりとか。そういった脚色を経て、こういう曲調になった気がしますね。早い段階で、脚本はできあがっていたんですけど、良い映像がなかなか撮れないっていう感じで、フルコーラスできた後に、それを埋める音像とか音の配置にめちゃくちゃ悩みまして、レコーディング当日まで決められなかったりとか。必要最低限のフレーズをやりながら、これを合わせてみようっていうのを1回1回試しながら随時やっていくような制作でしたね。だから、1番デザインされた曲っぽいんですけど、実はかなり衝動的な曲なんですよ。辻村のフレーズも、最初にくれたものはちょっと合わないかもしれないってなって、レコーディング中に電話して相談したり。今後も見据えてアメリカにいるのを想定して作っていったので、辻村はスタジオに来ず家で弾いてもらっていたんですよね。
辻村:そうだね。こんな感じ? とか言いながら携帯で音を録って送って。
田邊:なんかすごかったね。辻村がアメリカに行ったら、こういう感じで修正していくんやなって。だから、「vendetta」は編曲の部分で難航した曲でしたね。イントロなどの部分にも、僕がギターを5、6本くらいフレーズを重ねていたりして。曲の全体像的に綺麗過ぎないものが聴きたい音だったので、そういうアプローチになっていきました。
ーなるほど。「Journey through the new door」では、今後の2拠点制作も視野に入れた作り方を実践していたんですね。では、もう1つの新曲「DOOR」についても教えてください。
田邊:「DOOR」は今作の最後の最後、11月にできた曲なんですよ。昨年から回っているツアーもドアをモチーフにしたタイトルですし、自分の中ではそれに尽きるなって。入口とも出口とも取れてポジティブな面もあるし、ネガティブな面もある。そんな色んな意味合いが込められた面白い素材がドアなのかなと。BLUE ENCOUNTって、そういうわかりやすいものに触れてこなかったので向かい合ってみたいと思えたんですよ。昔から頭の中には「DOOR」ってタイトルの曲を作りたいって感覚があったし、「DOOR」を屋号に抱えてもいいような曲に出会えたらいいなって考えてきたんですけど全然できなくて。もう今作は4曲にするしかないかと考えるようになっていたんです。
ーそこで、曲が完成に向かう出来事があったということですね?
田邊:はい。11月頭にELLEGARDENのZepp Yokohamaワンマンにご招待いただいたとき、本当に自分が大好きな曲ばかりを演奏してくれたんですよね。自分が高校生の頃にお客さんが全然いないライブハウスでカヴァーしていたような曲を聴いて、終演後には細美さん(細美武士)にも高校生みたいな感じでしゃべりかけていて。それで、その次の日くらいにふと「DOOR」のサビが出てきたんです。その瞬間に最初の原型はめちゃくちゃポップなアプローチの曲だったんですけど、これは絶対に「DOOR」に変わるなっていう感覚が見えたので、自信を持ってメンバーにデモを渡しましたね。それで満場一致で「これだ」となって、すぐに完成へ向かったんです。それで、すぐ次週にレコーディングという流れだったんで、BLUE ENCOUNTの衝動部門では1位になり得る曲とも言えますね。「もっと光を」も沸々とする衝動を形にした初期の楽曲なんですが、そういうのが久々にできつつ、自分たちの系譜というかELLEGARDENが持ち合わせているパワーポップの要素や、自分たちが聴いてきた音楽的ルーツだとかが「DOOR」に凝縮されたと思いますね。
高村:この作品の5曲目は以前からイメージしていて、過去曲からピックアップして探そうとしたりしていたんですけど、田邊の中では何か明確な出来事や思いがあったうえじゃないと作ることができないし満足できないんだと。そんな風に味を探しているところが僕的にはすごい良いことだと思いましたし、ギリギリになっても、そうやって作った曲の方がきっと良いだろうと思ったから、時間はなかったけどツアーをやりながらずっと待ち続けた結果として「DOOR」ができたのであれば、あの時間は必要だったんだなってことがすごく思います。結果的に、僕らにとってすごく大事な曲になったと思いますね。
江口:「DOOR」ができたからこそ、ちゃんとアルバムになったと感じられる1曲ですね。この曲がなかったら、今作は寄せ集め感がある楽曲集みたいになっちゃっていたと思うんですけど、「DOOR」という曲があるからこそ、ちゃんとこれをアルバムとして世の中に出すことができるようになったと思います。
辻村:なんだか「DOOR」には伸び伸びと空を泳いでいるような感じがするんですよね。それと、感覚的にトラベルでもなくトリップでもなくジャーニーだと気持ち的に捉えられたのが面白かったです。そこがこのアルバムのタイトル「Journey through the new door」にも通ずる部分でもあり、自分に重ね合わせることができるところもあって、すごく愛情を注げると感じましたね。
ー新たなドアを開いて旅に出るという意味で、辻村さんはアメリカに行かれるわけですよね?
辻村:はい、今年の3月からですね。自分のやりたいことをやりながらレコーディングなどはリモートでの参加になるのかと思います。BLUE ENCOUNTとの関係は良い意味で変わらないでしょうね。
田邊:うん、今後もあんまり変わらない気はしますね。昨年もそれでちゃんとやれたので時差が生じるくらいのものかな? って。辻村くんは僕らの昨日を生きててって感じになるので。
辻村:え? なんかお前らの昨日を生きるって嫌だな。
一同:(笑)。
ー最後に。日本武道館公演についても教えてください。やはり日本武道館は特別な場所ですか?
田邊:なんでしょうね。1回やったからこそ、より特別な気はしますね。インディーズの頃は「目指せ! 武道館」みたいな一面はありましたし、そのステージに立ったからこそゴールではなくスタートラインだって感覚がありましたし、またいつかやろうって気持ちでもありましたし。でも、日本武道館公演を1回やってみて(2016年に開催)なんかしばらくは興味がなかったんですよ。それに、あのときはただ気持ちが浮いてたというか、あんまり覚えてないんですよね。
辻村:ちゃんとやってはいたんだろうけど、今改めて思うと調子に乗ってたのかもしれないよね。だから噛み締めることができなかったというか。緊張感やプレッシャーだとか、考えることがたくさんあって、音楽とはかけ離れたところで人間くさく考え込んじゃっていた部分があるかもしれない。だから、今後の2月10、11日はもっと音楽したいなって思いますね。
高村:やっぱり、昔から憧れてきた会場ですし、日本武道館に対しても、限界を超えるくらいの準備をして挑みたいなと。そのぐらいの気持ちですし、前回の武道館公演を経て培ってきたものを、今回すべて出し切らなくちゃって気持ちでいます。
江口:前回から考えればメンバー各々の実力がついていると思うし、やっぱり場所はどうあれ音楽は人に届けるものなので、そこはしっかりと実現させたいですね。前回やったときは日本武道館という場所に飲み込まれてしまったというか。そこから考えると、我々も相当メンタルが強くなってきているので、物怖じせずにお客さんの方を真正面から向いてライブができるのかなと思います。
田邊:2月10日は『ONAKAMA 2023』、インディーズの頃からの付き合いでもある3バンドで日本武道館のステージに立てるというエモさもありつつ、次の日(『BLUE ENCOUNT TOUR 2022-23 ~knockin’ on the new door~ THE FINAL』)はみんなにとっての新しいドアになる1日にしたいですね。みんなに熱い気持ちを届けるというだけではなくて、そこで掴んだドアノブをそのまま持って帰ってもらうような。全員が受け止めてくれるような日にしないと僕らのこれからもないと思うので、誰にとっても未来へ繋がるものにしていきたいと思います。
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