Kroi Official Goods 対談:
長谷部悠生 × Piggy bank
Tour「“Magnetic” BLUE / RED」に向けて

Photography_Ryohei Obama
Text&Edit_Maho Takahashi

Kroi Official Goods 対談:
長谷部悠生 × Piggy bank
Tour「“Magnetic” BLUE / RED」に向けて

Photography_Ryohei Obama
Text&Edit_Maho Takahashi

先日、全6曲入りの最新EP『MAGNET』をリリースしたKroi。今週4月13日(木)より、いよいよ同作を提げた全国ツアー「“Magnetic” BLUE / RED」が開催されるわけだが、ここでは音源を聞いて準備万端!な皆さんにライブをさらに楽しむ素敵なグッズのご紹介をしよう(同作のインタビューはこちらより一読を)。そして今回ツアーに参加出来ない方ももれなくゲットして、來るフェスシーズンやお家でもKroiちゃんを楽しんでほしい。バンドグッズへ並々ならぬ想いを抱く物販大臣、長谷部悠生(Gt.)とグラフィックデザイナーのPiggy bankに溢れるこだわりを訊く。

L to R→長谷部悠生(Gt.)、Piggy bank

バンドのグッズとして、
どれだけ良いものを出せるか

ーまずはお二人の出会いからKroiのグッズを手がけるようになった経緯を教えてください。

長谷部悠生(以下、長谷部):僕とヴォーカルの怜央は中高一緒なんですけど、通っていた学校が幼稚園から大学まで一貫校で、Piggy bankは小学生の頃から怜央と仲が良かったんです。僕は中学から入って、3人で遊ぶようになったのは高一からですかね。そこから高校卒業後に彼がグラフィック活動を始めたんですけど、Kroiのインディー時代からライブハウスに来てくれたり、普段から一緒に買い物していたこともあり、自然とそういう流れになりました。

ーグラフィックを始めたきっかけは?

Piggy bank:元々絵を描いたりするのが好きだったんです。本格的にAdobeのソフトやグラフィックの制作を始めたのは、浪人時代ですね。一人の時間が長かったので、独学で少しずつ覚えました。

ーKroiのグッズにはいつから携わっているんですか。

長谷部:実はインディー時代にも一度デザインをお願いしていて。結果的に当時は採用しなかったんですけど、EP『nerd』(2021)のときに再度グラフィックを頼んで、そのグッズから一緒にやっています。

Piggy bank:長谷部が話した通り、当時彼らのイメージに合わずボツになったこともあり、Kroiはバンドに関するクリエーションにシビアに向き合っている印象だったので、再度声をかけてもらったときは認められた気持ちで嬉しかったですし、自分の活動としても一つの節目になったと思います。

ーそもそも、長谷部さんがグッズ担当に任命された経緯は?

長谷部:Kroiの中でなんとなく、怜央が作曲で、関さんがまとめ役、益田さんがおふざけ枠で、千葉さんがミックス担当みたいに、メンバーの役割があって。俺だけ当時振り分けがなかったので、グッズを任されました。けどここまでデザインに注力したり、ルックのディレクションまでするようになったのは全国ツアー「BROADCAST」(2022)頃からですかね。

ーグッズに注力しようと思ったきっかけはあったんですか?

長谷部:メジャーデビュー直後は、音源一筋という感じでグッズのことまで手が回らなくて。一応当時もチェックやディスカッションはしていましたが、今ほど全力で向き合えてなかったんですよ。けどリスナーや周りの人から『Kroiってオシャレなバンドだよね』と言われたり、そういうイメージを持ってもらえている以上、そのバンドのグッズが『これじゃいかん』と思うようなって。最初はインスタライブで告知をしたり、プロモーション的なアプローチをしていましたが、グッズのことを考えていくほど、グラフィックや写真の出し方にも注力したいなって思い、こんな感じでエスカレートしていきました。

ーでは、今回のグッズのテーマなどを教えてください。

長谷部:EP『MAGNET』の「Hard Pool」を録り終えたくらいからPiggy bankとも話し始めて。ツアーが「”Magnetic” BLUE / RED」ということもあり、当初から決めていた青と赤をキーカラーに、MAGNET(磁石)の機械っぽさや3D感のあるグラフィックはイメージしていました。

Piggy bank:今回に関しては、”Magnetic”という単語から連想して作っていきました。基本的にはいつもテーマをもらってから、自分の納得した段階で作品を長谷部に共有して、ツアーとの親和性やグラフィック自体のキャッチーさとかをチェックしてもらっています。最初からビジョンが見えてるわけではないので少しずつ改変を加えて、『あ、これいいじゃん!』ってなるまで繰り返しています。

長谷部:Piggy bankと一緒にやっている理由の一つが意見交換のしやすさなんですよ。深夜3時にいきなり電話で相談したり、作業に対するフットワークが軽いので、よりグラフィックを詰められています。

ーグッズにおいて、こだわっていることを教えてください。

長谷部:自分も好きなバンドのグッズを結構買ったりするんですが、普段着づらいものもあるじゃないですか。なので、あくまでバンドのグッズとしては作りつつ、そこの中でどれだけ良いものを出せるかは意識していますね。あと基本的にグラフィックを使い回さないようにしています。同じグラフィックでいろんなアイテムを作るのは楽だし、まとまりも出ると思うんですけど、俺はそれをしたくないので、アイテムごとに使い分けてるのはこだわりですかね。

ーたしかにグラフィックの種類が豊富ですよね。アイテム数も多いですが、どちらが先行で決まるんですか。

長谷部:今回はアイテム先行が多かったですね。

Piggy bank:メインになるグラフィックはTシャツとか定番のアイテムにしつつ、気に入っているけどコアなデザインは小物類になることが多いですね。特に今回はそういう個人的に推しているグラフィックはステッカーになっています。手書きや漢字を採用したりふざけながら作ったけれど、どれも気に入ってますね。

長谷部:あとマグカップはマグネットと名前が似てるから作って(笑)。あえてMug Cupではなく、“MAG” Cupにしています。ラーメンの器の底に書いてある『飲み干してくれてありがとう』的な感じで、カップ底に配したグラフィックもポイントですね。

ー可愛いですね! 定番アイテムのTシャツも私服で着たいくらい良い感じですね。

長谷部:今回からTシャツは完全にオリジナルボディなんですよ。好きな古着のTシャツのサイズ感とかを参考に、トライアンドエラーを繰り返して。タグもオリジナルで、アルバム『Polyester』(2019)をモチーフにしました。ボディ自体がめちゃちゃ良くて、服としてのグレードも上がったのでかなり気に入っていますね。

ータオルもKroiらしくて素敵です。

長谷部:デザインはPiggy bankにお任せしたんですけど、テーマとしてはバンド名“Kroi=クロイ”にちなんで黒をメインにしてもらいました。僕は並々ならないグッズへの想いがあるので、フェス会場でも他のバンドのタオルを持ったお客さんを見て、世の中のバンドの皆さんがどんなタオルを出してるのか視察しているんですよ。やっぱり基本的に派手なカラーのタオルが多かったので、派手にしたいことは伝えつつ、今ブームでもあるミリタリー要素を入れてもらいました。

ー今年もフェスでたくさんKroiタオルを見かけると良いですね。お二人のおすすめを挙げるならどれですか?

Piggy bank:僕はクッションですかね。1番好きにやらせてもらったので、かなり納得のいく出来になっていますし、アイテムとしても純粋にかわいいなと思います。モチーフ的には、2体の人間がKroiを運んでいます。長谷部からグッズを制作するときは、Tシャツやタオルのようにツアーやフェスで身につけるものと、日常的に使えるアイテムが欲しいと言われていて。そういう意味でクッションはライブで身につけるものではないので、自由度高く好きな絵を描きました。

長谷部:これすごい良いよね。オリジナルのボディから作ったので価格は少し高めになってしまったけど、グラフィックとKroiのロゴの両面デザインで、各々のやりたかったことが出来たのでよかったです。そして俺のおすすめは、メッシュトートですかね。ツアー「BROADCAST」のときも、購入してくれてたグッズを入れて帰ってくれたらいいなと思って、キャンバスのメッセンジャーバックを販売したんですけど、結構気に入ってもらえたので、今回もバックを作りました。キーカラーとして赤と青があったからこそ完成したというか、俺らが今回グッズとして作るから意味があるし、カッコ良くいうとKroiのグッズだから意味があるものになったと思います。

ー付属のタグも可愛いですが、ピンズを付けたりするのも良いですね。

長谷部:実はこれも完全オリジナルで。最初はボディにグラフィックを入れようとも思ったんですけど、あえてタグだけにしました。カラーが派手な分デザインはシンプルになっているので、グッズの缶バッチやピンズを付けて遊んでほしいです。Kroiは秋葉原に結構行くんですけど、アキバで見かける推しのアイドルやキャラクターの缶バッチを付けたバックに近い感覚です。

ーグッズのビジュアルも素敵でした。バンドのツアーグッズとは思えないこだわりを感じました。

長谷部:バンドのグッズでここまでビジュアルに力を入れているのは多くないと思うし、グラフィックにこだわっている分、見せ方にも力を入れたいと思って。やっぱりSNS社会なので、映えるかの意識もしつつ、どういうイメージで撮るかは、カメラマンとPiggy bankと毎回3人で話し合っています。

ーちなみに、これまで作ったグッズの中で一番思い入れがあるのはどれですか?

長谷部:俺はこの『nerd』Tシャツです。リンガーTを作りたくて、グッズでは初めてオリジナルのボディを作って。『nerd』のジャケットがモチーフなんですけど、俺が落書きで描いたものを綺麗にしてもらいました。カラーはエリカ・バドゥの『Mama’s Gun』から抽出しています。このステートメントは、関さんが考えてくれたものです。

Piggy bank:確かに、『nerd』Tシャツは思い入れ深いね。俺はこの「BROADCAST」のツアーTシャツが一番時間がかかったから、思い入れあるかも。割とグラフィックをあげるのは早い方なんですけど、テーマからイメージが広がり過ぎて逆に悩んでしまって。長谷部とサウナに行ったとき、BROADCAST(=放送)から連想して、最終的にカタツムリ(=でんでん虫)に辿り着いたんですよ(笑)。

長谷部:これは俺がサウナで整ってエクスタシーになっていた時の話なんですけど、真っ白な空間の奥から眩い光と共に一羽の鳩が飛んできたんです。鳩=伝書鳩ってなって、伝書鳩…伝達…伝デン、、でんでん虫になりました(笑)。

Piggy bank:写真フォルダにあったカタツムリのデータから作りました。あとこの電信機は、2人でスカイツリーのソラマチにある郵政博物館に行って、わざわざ写真を撮ったものを使っています。フリー素材の画像を使うわけにもいかず、電信機が置いてあるのが都内だとここくらいだったんだよね。

長谷部:そう、あと郵政博物館の切手がさっき話したメッセンジャーバックのモチーフにもなっていますね。

Piggy bank:そういう意味で時間もエピソードも詰まっているので愛着があります。

ー今後作ってみたいグッズはありますか?

長谷部:今回からオリジナルボディを投入してパターンから作れるようになったので、総柄Tシャツとかやりたいですね。あと普通にボトムスとかも作ってみたい。

Piggy bank:俺はシャツとかセーターもいいな。

長谷部:とりあえず日本で1番カッコいいグッズを作れるように頑張ります。

Interview:Kroi New EP『MAGNET』で示す新たなフェーズ

Kroi Official Store

https://store.kroi.net/

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