Photo Report:Haruy
Haruy Tour『1414』
at WWW X

Photography_Hino
Text_Sayako Oki

Photo Report:Haruy
Haruy Tour『1414』
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Photography_Hino
Text_Sayako Oki

彼女の音楽人生には必ず、信頼する仲間の存在があった。演奏に身を委ねるしなやかで伸びやかな歌声は、言葉以上にその事実を語っていた。今年7月に2nd EP『1414』をリリースした、2000年生まれのシンガーソングライター・Haruy。彼女にとって初の東名阪ツアーHaruy Tour『1414』のファイナル東京WWW X公演は、彼女のこれまでの歩みを丁寧に編み上げていく、清らかな時間だった。
 

まずはオープニングアクトとしてTastyが登場する。TastyはHaruyが中学の同級生と高校時代に組んだ3ピースバンド。2021年には7曲入りEP『Weep』をリリースするも、コロナ禍やそれぞれの進路の兼ね合いもあり、この日が3年ぶりのライブとなった。ベースボーカルスタイルのHaruyと、ドラムスのKoike、ギターボーカルのAnnoがステージに現れると、1曲目はHaruyの2nd EP『1414』に収録された、本人作詞作曲の「Town」のカバー。エフェクティブなギターや粛々としたドラム、アンニュイなベースなど、楽曲や演奏に漂うどこか不安定なムードは、若者特有のぼんやりとした不安をピュアに投影していた。
 
それ以降はTastyの楽曲と杏里の「Last Summer Whisper」のカバーを披露し、全7曲のステージを展開する。ドリーミーなバンドサウンドやエモーショナルなオルタナティブロック、どこか陰のあるポップナンバーなどのカラフルな音楽性と、HaruyとAnnoそれぞれのメインボーカル曲、HaruyとAnnoのツインボーカル曲といった豊かなボーカルワークで会場を魅了。3人の鳴らす一音一音に、3人の青春とルーツが鮮やかに滲んでいた。

幻想的なSEが流れる逆光のステージに、サポートメンバーであるD.A.N.の市川仁也(Ba)、Suchmos / 賽のTAIHEI(Key)、SANABAGUN.の澤村一平(Dr)が登場すると、センターでHaruyがマイクを握り、「SENA」で本編の幕を開けた。ピンクパープルの照明のなかHaruyの透明感のあるファルセットが瑞々しく響く。「Snake」ではグルーヴィーな演奏がボーカルをさらに艶やかに映し出し、「Lovely」では彼女の消え入りそうな高音とウィスパーボイスがスウィーティーな空間を作り出した。歌詞に綴られた愛情を、語り掛けるように歌に乗せるHaruyに、フロア一帯が熱い視線を送る。その様子も楽曲の空気感をよりソフトかつロマンチックに彩っていた。

D.A.N.の櫻木大悟が作曲とプロデュースを担当した最新曲「Frozen」から、さらに内省的な世界を色濃くしてゆく。呼吸がそのまま色づいたような飾らない無垢な歌声と、それを繊細なタッチで包み込むドラマチックな演奏が煌びやかに舞い、「Ryan」ではさらに歌と演奏が溶け合い会場を包み込んだ。異次元的でありながら、どこかリアリティも感じさせるサウンドメイクと芯のあるボーカルは、凛としたたくましさを放つ。メンバー紹介とダンサブルなインストセクションを挟むと、SuchmosのHSUことHayata Kosugiが彼女のために書き下ろしたソロ第1作目の「Swimmer」へ。曲の世界に没入しながら心地よくフロアを揺らすその様子は、新しい世界に送り出すようなポジティブな空気に満ちている。「Don’t catch the now」でディープな空間を作り出すと、本編ラストは今日のサポートメンバーとともに制作とレコーディングを行ったダンスナンバー「Moonrise」。この4人で作り上げた楽曲だからこそのダイナミックなジャムセッションは、この日の最高潮ともいうべき熱量を巻き起こした。

 

アンコールではHaruyとTAIHEIがステージに登場。ツアーを振り返ったHaruyは「ツアーってこんなに楽しいんだってびっくりしちゃった。始まる前は大変そうだなと思ってたけど楽しさが勝つっていうか、もっとやりたいって気持ちになった」と観客に感謝を伝える。TAIHEIも「名古屋大阪と回るなかで、(Haruyが)一つひとつのことを新鮮に感じていて。その様子を見ながら“俺も10年くらい前にこういう体験したな”と初心にかえりました」と笑顔を見せ、ステージ袖から顔を出した澤村も「(この4人での演奏が)ライブを重ねるごとに良くなってる」とツアーの充実を明かした。そしてHaruyが「これからも4人で仲良く和気あいあいとやっていきたい」と語り、TAIHEIが作曲を手掛けたピアノ伴奏曲「Landscape」で初ツアーを穏やかに締めくくった。
 
10代の青春が詰まったTasty、アーティストとしての道をつなぎとめたHSUと制作したデビュー作『MAO』、HSUとの別れや環境の変化のなか様々なサポートメンバーとともに完成させた『1414』と、彼女のこれまでの音楽キャリアを総ざらいするようなツアーファイナル。出会いが彼女の世界を切り開いてきたことを再確認した。MCによるとHaruyはこの先アルバムのリリースを考えているとのことで、そのリリースツアーはもっとライブ本数を増やしたいと意欲を見せていた。これからも彼女は様々な出会いとともに自身の表現を羽ばたかせてゆくだろう。そんな未来を予感させる一夜だった。

Haruy TOUR 1414
2023.9.17@WWWX

Haruy SETLIST

1. SENA
2. Snake
3. Lovely
4. Frozen
5. Ryan
6. Swimmer
7. Don’t catch the now
8. Moonrise
en. Landscape

Tasty SETLIST

1.Town
2.Intimacy
3.Last Summer Whisper
4.Baby
5.midnight highway
6.Weep
7.Waterfall

Haruy TOUR 1414 SETLIST PLAYLIST

なお下記ではHaruyのEP『1414』についてのインタビューを公開しているので是非チェックしてみてほしい。

Interview: HaruyセカンドEP『1414』に込めた想い

INFORMATION

Haruy

Release

2023.08.23 4th Single「Frozen」
https://haruy.lnk.to/Frozen

2023.07.05 2nd EP『1414』
https://haruy.lnk.to/1414

2022.06.08 Debut EP『MAO』
https://haruy.lnk.to/MAO

Live

10/1(日) EPOCHS~Music & Art Collective~
https://epochs.jp

10/7(土) SOCIAL CASTLE MAREKT 2023(DJでの出演)
http://socialtower.jp/parkstage2023/
10/8(日) High end (DJでの出演)
https://zerotokyo.jp/event/high-end-1008/

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