Interview: 我儘ラキア Zeppワンマンへ向けて新曲連続リリース中の今思うこと

あらゆる音楽要素を自分たちらしく表現する4人組の次世代ハイブリットアイドル、我儘ラキア。8月1日に約1年ぶりとなるデジタルシングル「IDOl」をリリースし、これを皮切りに毎月連続で新曲を発表している。9月には壮大なロックナンバー「Vertex」をリリース。この一連のアクションは11月23日に開催されるZepp Shinjukuでのワンマンライブに繋がるものだ。そうした一連の動向について、現在の我儘ラキアの状況と合わせてインタビュー。
 

アイドルの水準を高めていきたい

 

ーすでに配信されている「IDOl」、「Vertex」ですが、リリースとしては約1年以上ぶりとなります。まずは最近の我儘ラキアの話から教えていただけますか?

 
星熊南巫(以下、星熊):『ONYX』のときはロックなアプローチも顕著でしたし、そもそもラキアってロックなイメージが強いと思うんですよね。実際に私たちとしても作曲してもらったものに対して何を歌うのか、ということを考えている節はあったんです。そんな中で、試しに普段から自分が聴いている音楽っぽい曲を歌いたいと思って出したのが「IDOl」なんですよ。
 

ー「IDOl」はこれまでの我儘ラキアのイメージと違って、かなりHIPHOPなアプローチですよね。ラップも非常に聴きどころ満載で。星熊さんが日頃聴いているのはHIPHOPですか?

 
星熊:そうですね。しかもオールドスクールなHIPHOPも聴きますし、マイナーなものをサブスクでディグって聴いたりしています。楽屋でも、メンバーと一緒に月間リスナー数が3000人くらいのアーティストの曲を聴いて「やばくない!?」みたいなことをずっとやっていたんですよ。そういう、まだ世間に見つかっていないアーティストをイメージしながら作ったのが「IDOl」でもありますね。
 

ー星熊さんは今年ソロ作のリリースも顕著ですよね。EP『TOKYO 神 VIRTUAL』から「新羅DARKPOP」など。そちらでもHIPHOPや最近のU.S.ポップスなどの雰囲気が感じられます。そこからの影響もありましたか?

 
星熊:もともと好きだったことをソロでやっていて、「IDOl」みたいなアプローチもソロでやろうと思っていたんですけど、メンバーに聴かせたり反応を見たりしていたら、いけるなと。そこで、自分たちのテンションがあがるための曲として作っていったんですよ。
 
MIRI:普段、HIPHOP畑にいる私から見ても、こんなビートでやっている人はいないぞと思って。HIPHOPにバンドサウンドだとか、いろんな要素がミックスされているんで、良い意味で雑多な感じがある曲ですね。聴いたことないからリリックもどうハメていけばいいのか悩んだんですよ。自分のバースを書くのに半日かかったりしたし、ラキア史上もっとも難しかったかもしれないです。

星熊南巫

 

ーメンバーでバースごとにかわるがわるラップするのも特徴的ですよね。

 
MIRI:結成して7年目でようやく自己紹介曲ができるっていう喜びもありますね。メンバーのことを振り返りながらリリックを書くのも楽しくて、逆に自分のことを表現するのは難しくて。そんな思い出もある曲です。
 

ータイトルが「IDOl」というのも振り切っている気がするのですが、どんな思いで名付けたんでしょうか?

 
星熊:私たちが好きなアイドルって、例えば韓国で活躍しているような完全無欠な人たちだったりするんですよ。歌もダンスも出来て体型も完璧で作詞作曲できるような人で。そんな中で、日本代表として今1番新しいアイドルがラキアなんだから、この国を持ち上げて世界水準でやっていこうぜ、現代の日本のアイドルはここまでできる! って気持ちを込めて名付けました。
 
L:私も好きなアーティストは完璧な人が多くて、そんな固定概念があったんですよね。ラキアがそこを目指していくことでアイドルというカルチャーに変革をもたらせることができるんじゃないかなって思っています。あとは、約1年ぶりの新曲でしたからね。気分もバイブスも上がったし、歌詞も自己紹介的な要素があるし、歌っていて楽しいですね。
 
海羽凜:これぞ我儘ラキア! ということが提示できる曲じゃないかと思いますね。今後「IDOl」が私たちの代表曲になったらいいなって思うくらい気に入っています。リリックには韓国語も引用していて、メンバーのキャラがわかるように2人(星熊南巫とMIRI)が作ってくれて、すごくチャレンジできた曲になったと思います。

今の自分たちだからこそ歌える「Vertex」

 

ー一方で「Vertex」のトラックは実に壮大な印象ですね。リリックも我儘ラキアとしてさらなる高みを目指していくことが歌われています。実際、どんな曲だと捉えてらっしゃいますか?

 
星熊:この曲は大きなステージに映える曲がほしいと思って。大勢がバウンスできるようなイメージをコンポーザーにお伝えして作ってもらいました。スタジアム感があるというか。クラウドサーフできる曲も好きなんですけど、ラキアがさらに上を目指すうえで大勢が一斉に乗れる曲が必要だし、この曲をもって大きな場所へ向かいたいなって思うんです。

MIRI

 
MIRI:それにきっと「Vertex」は私たちだからこそ表現できる曲だと思うんです。ラップも自分たちで書いてきたし、そんなリアルなアイドルだからこそ歌える曲になっているし、この曲ができることこそラキアの強みなんだと思います。

ーリリックも<飛び立つ天まで さらに上の上 つぎの世界へ>など、明確なステートメントにも捉えられますし、そこにリアリティがありますね。

 
星熊:昔からビッグマウスなんですよ(笑)。ずっと言ってきてバカにされてきたけど、今の私たちにとっては現実味を帯びていることだから。でも、「Vertex」では、実は“頂点を目指す中での挫折”を書いているんですよね。いろんな経験を経ていろんなものを失って、こんな感情になるなら最初からやらない方が私たちは幸せなんじゃないかっていう。それで、逆にやるの? やらないの? っていう曲ではあるんです。葛藤もあったうえで頂点を目指していくという、今の私たいならではの言葉の思いを乗せていますね。
 

ーそれこそ結成当初には言えなかったような?

 
星熊:そうです。前だけ見て「いくぞ!」って時期は過ぎて、残された時間も少ない中で人生の意味をメンバー各々が考えて、それでも進むっていう内容なので、今のラキアだから歌えるんですよ。

L

 
MIRI:あと、こういうミドルテンポの曲ってアイドルの楽曲にしては珍しいというか。どうしても不安でBPMを早めたりすることが多いし、自分たちに自信がないとできないんですよね。これはコロナ禍における活動を経て、ただ暴れるだけじゃないライブのやり方を模索して身につけた今だからこそ表現できるんだと思います。
 

その先の未来へ進んでいくためのZeppワンマン

 

ー11月23日にはZepp Shinjukuでのワンマンライブも予定されていますが、そこに向けて連続でデジタルシングルをリリース予定ですね。10月に配信される新曲についても少しだけ教えてもらえますか?

 
星熊:次の曲は再びバンドシーンを感じさせるラウドな楽曲になっています。リリックも含めてコンポーザーとの共作になりそうなんですけど、ただのヘヴィチューンと言うのではなくトラップのビートも取り入れているので新鮮な曲に仕上がりそうです。ライブで騒げて遊べる曲になると思うんですけど、リリックでは暗いことを歌っているんですよ。
 

ー暗いというのは、ざっくり言うとどんな内容なんですか?

 
星熊:とある映画を見て、エクストラが次々にビルから突き落とされているシーンを観て命の軽さが怖いと思って。そこから着想を得た内容になっていますね。だから、暗い内容かなと。
 
MIRI:私は優しさを感じたけどね。多くの人の手を握っている姿勢を感じるというか。辛い境遇にいる人がいたとして、その人を引っ張り上げて、ちゃんと涙をふいてる? って問い開けるような一節もあるんですけど、そういう考え方は私にはなかったなって。きっと、この曲も新しいラキアの一面を見せることができる内容になっていると思います。

海羽凜

 

ーでは、来るZepp Shinjukuでのワンマンライブについては、現時点でどんなことを思いますか?

 
星熊:やっぱり大きな勝負ではありますね。私としては同じライブハウスでずっと同じようなライブをやるってことをしたくないし常に挑戦し続けていたいから、今回のZeppもその一環だと考えています。あとは、ラキアがZeppをしっかり回れるくらいの魅力が今本当に身に付いているのかってことをみんなに見てもらうターンでもあるから気合い入れないとな! って感じですよ。
 
L:私はやっと刺激を与えられたって気持ちになれた感覚です。今回のZeppを経て今後の活動が決まってくると思うし、ワンマンが決まってから今まで以上にライブ1本1本を大事にしている感覚があるし、11月に向けてさらにギアを上げていこうって気持ちでいます。
 
MIRI:私としてはZepp公演以降、どうしていくかってことを大事にしているので、その先まで含めた部分にかけていく気持ちで挑むつもりです。
 
海羽凜:この1年間、新曲を出さずともずっと付いてきてくれた人もいるし、もっと前から足を運んできてくれていたお客さんもいるので、その人たちにZeppのライブを観てもらって、また応援したいって思ってもらいたいですね。そうなるように自分たちを示していきたいです。
 
星熊:さっきMIRIも話していましたけど、Zeppを経てラキアとして今後どうしていくか。この1年間、ずっと4人で話してきて向いている方向は同じだと再確認できたし、この先何十年も一緒にいれると思うんですよ。その夢に向かって1歩ずつ着実に進んでいきたいと思います。