Talk session
秋山黄色、須田景凪、Novel Core
「MAKE A BOOM #6 -sparkle-」開催を前に
3人の共演に予感するさらなるブーム

Photography_Hiroki Asano
Text_Chinami Hachisuka

Talk session
秋山黄色、須田景凪、Novel Core
「MAKE A BOOM #6 -sparkle-」開催を前に
3人の共演に予感するさらなるブーム

Photography_Hiroki Asano
Text_Chinami Hachisuka

ストリーミングサービスにSNS、YouTubeなどから発信される音楽が多く聴かれる近年は、スマートフォンから巻き起こるムーブメントが世界中を席巻しているといっても過言ではないだろう。そんな“ブーム”を生み出しているアーティストの楽曲で構成されるプレイリストプロジェクト「BOOM BOOM BOOM」のリアルイベント「MAKE A BOOM #6 -sparkle-」が3月3日(日)に豊洲PITにて開催。秋山黄色須田景凪Novel Core & THE WILL RABBITSといった今話題のアーティストが共演する本イベントには注目が集まる。今回はそんな一夜を前に出演者3人による鼎談が実現。イベントへの意気込みやそれぞれの音楽への思いを語ってもらった。

L to R→Novel Core、須田景凪、秋山黄色

――今日は「MAKE A BOOM #6 -sparkle-」に出演する3人に集まってもらいました。また、当日は「BOOM BOOM BOOM ch.」でおなじみの小関裕太さん、ほしのディスコさんもMCとして出演されます。

Novel Core:小関さんとは以前「BOOM BOOM BOOM ch.」に出演させてもらったときにお会いして、とてもやさしい方だなと思いました。僕、学生時代に合唱コンで指揮者をやって、「将来はオーケストラの指揮者になりたい」と思ったところから挫折して、ラップを始めたんです。番組では小関さんと「合唱コンの指揮者ってめっちゃいいよね!」という話で盛り上がって。

秋山黄色(以下、秋山):あ、その話で盛り上がったんだ。俺、合唱コン真面目にやってなかった側だったから、小関さんとちょっと険悪な感じになっちゃったんだけど……。

――(笑)須田さんは合唱コンではどんな感じでしたか?

須田景凪(以下、須田):どうだったかな? 多分歌ってない族の一人だったと思いますけど、当時は歌うことに一切興味がなかったから、本当に何も覚えてなくて。

秋山:そういう人ほど将来歌うんだよな。

Novel Core:あはは。小関さんとはいつか一緒に指揮したいですね。

――因みに、ほしのさんは当日歌ってくれるそうですよ。

須田:おお、それは楽しみ。

Novel Core:アーティスト活動もされてるんですよね。SNSに歌の動画が上がっているのを見ました。

秋山:ほしのさん、R-1は残念な結果だったけど、元気いっぱいでいてくれたらいいな。お客さんにもたくさん盛り上がってほしいです。

――この3人は初対面だそうですね。お互いに対してどんな印象を持っているのか、聞いてみたいです。

須田:まず、黄色くんのことは、DTM文化が一般的になってから生まれたアーティストだと思っていて。だけどネット発というイメージはあんまりない。自宅で楽曲を制作しつつも、ロックから出てきた人のような言葉の使い方をしていたり、曲を聴いていると「ギター大好きなんだろうな」と思うけど、デスクトップ上だからこそ作れるフレージングだったりと、ハイブリッドな印象があります。そういう意味でモダンなアーティストだなと思ってました。

秋山:僕、今27歳なんですけど、中学生の頃にちょうどボカロがカルト的に盛り上がってて。景凪さんはそのあとの、ボカロ文化の間口が広がっていった世代の中で一番すごい人だと思ってます。コアくんも、多分通ってるでしょ?

Novel Core:はい。ボカロは姉の影響でよく聴いていたし、人生で初めて買ったCDも歌い手系なんですよ。須田さんの音楽ももちろん聴いてましたし、本当にど真ん中で通ってます。普通にファンです。

須田:嬉しい。ありがとうございます。

Novel Core:この流れで言うと軽く聞こえちゃいそうで心配なんですけど、僕、黄色さんのこともめちゃめちゃ好きなんですよ。「VIVA LA ROCK 2022」でのライブを配信で観た時はめっちゃテンションが上がりました。僕と同じ事務所に所属しているBE:FIRSTと同じ日に黄色さんが出演されてたんですけど、そのときのMCで「推しが増えてよかったな、お前ら」って言ってて。会場もバコーンと盛り上がってて。フェスでお客さんの心を掴んでいく様をリアルタイムで観ながら「ヤバい、やっぱり好きだ!」って思いました。

秋山:BE:FIRSTの方々とは出番が前後だったから、当日舞台裏で何回かすれ違っていたんですけど、すごく気合いが入っていたんですよ。多分ロックフェスだからというのもあったと思うんだけど、俺は基本的にフェスで他の人と争いたくなくて。客席にはお互いのファンが入り混じるだろうから、そこで凄まじいくらいに「俺一人のステージだ!」ってライブをしちゃうと、向こうのファンを緊張させちゃうかなって。「やりやすくしてあげよう」みたいなことでは全くなくて、バトンを繋ぐようなライブをしないと、自分が納得いかなかったって感じですね。

Novel Core:そういう意図があったんですね。今の話を聞いて、もっと好きになっちゃいました。

秋山:俺の中でコアくんは、Novel CoreというよりCore-Boyなの(註:Novel Coreは以前Core-Boyという名前で活動していた。2018年に改名)。だって、高ラ(「BAZOOKA!!! 高校生RAP選手権」)をリアルタイムで観てたから。

Novel Core:えっ? ちょっと待ってください、マジですか!?

秋山:俺ヒップホップ大好きだから、バトルとか結構観てて。「誰かと被らないために 自分がわざわざ道を外れる それはある意味オリジナルじゃねえ だってそれが一番誰かに影響されてるぜ」ってラインも痺れたな。「凱旋yeah」も好きだけどね。

Novel Core:めちゃめちゃ観てくださってる! ありがとうございます。

秋山:曲が本格的にリリースされるようになってからは、「音楽そのものに好奇心がある子なんだな」と思いました。もっとオールドっぽいラップをやるもんだと思いきや、ジャンルレスで。自分が今好きなものとアティチュード的に身に纏うもののハイブリッドを作り出そうとしているんだろうなと。

須田:めちゃめちゃ分かる。僕はコアくんの曲では「ジェンガ」が特に好きなんだけど、あの曲はすごくメロディアスじゃないですか。ラップと歌モノを違和感なく両立しているアーティストって、特に国内だとそんなに多くない気がする。「その辺りのバランスはどのように考えていらっしゃるんだろう?」と最近ずっと考えてました。

Novel Core:嬉しい。ありがとうございます!

須田:あと、ヒップホップとJ-POPやJ-ROCKでは歌詞を書く時の前提が違うと思うので、制作の話を聞いてみたいです。俺の場合、まずメロディと歌詞を作って、オケとかを肉付けしたあと、削ぎ落としていくような作り方なんですよ。だけどヒップホップはひたすらに言葉を詰め込むジャンルだから、歌詞の作り方が根本から違うんだろうなと。楽曲制作のプロセスが気になってました。

Novel Core:僕の場合は、プロデューサーやハウスバンドと一緒にスタジオに入って、セッションからスタートすることがほとんどです。トラックの原型を作ることから始めて、宇宙語で歌いながらメロディやラップを乗っけていって、あとから歌詞をつけていくという。ラップのラインと歌のラインを作る時では、言葉の選び方と音節の考え方がだいぶ異なるように思います。

須田:へえ、セッションで作るんだ!

秋山:不思議ですね。バンドみたいな作り方。

Novel Core:そもそもフリースタイル畑から出てきているので、瞬発力勝負みたいなところはあります。宇宙語で歌っていても「なんとなくこう聞こえるな」ということが結構あるんですよ。「きっとこう言いたかったんだろうな」という部分を広げながら、意味が通じるように前後を調整しつつ、歌詞にしていくことが多いですね。

秋山:それって手癖が出ちゃうから難しくない?

Novel Core:そうですね。たまに「32小節ずっと同じ韻を踏んでるけど大丈夫か?」ってことも起こるし、「これは英語でも日本語でも違う気がするし、どうしたらいいのか分からない」ってこともあります。ちょうどこないだ新曲を作ってる時にそういうことがあって。その時は宇宙語のまま採用しました。ダンサーを入れてライブをしたりするから、コレオグラフで表現することもできるし、聴く人の感じ方に任せてもいいんじゃないかって。

須田:それは面白いですね。今話を聞いていて思ったんだけど、俺の作り方はコアくんとは真逆かもしれない。

Novel Core:シーケンス上で組み立てるように作っていく感じですか?

須田:そうですね。パズルを組み立てていく感覚というか。

秋山:あるべくしてある言葉をアナグラムみたいに探していくってことですよね?

須田:そうそう。一人でパソコンを触っているうちにどんどん生まれてくる偶発性に引っ張られながら、自分の中にある理想形をひたすら探していくような感じです。

doublet(ENKEL/03-6812-9897)
ALMOSTBLACK(ALMOSTBLACK/info@almostblack.jp)

秋山:俺もコアくんみたいに、友達とスタジオに行って、即興で歌って、そのままリリースしたりしていたんですよ。最近はできてないけど。歌詞は宇宙語じゃなくて最初から日本語で歌うんだけど、「こいつらをビビらせよう」と思うと、家で一人で作詞作業をしてるときとは別のアドレナリンが出て、ものすごい歌詞が出たりするんです。それがセッションの醍醐味だと思う。

――最近はセッションじゃないという話でしたけど、その場合は?

秋山:「こういう曲にしたい」と頭の中でワンコーラス分イメージしてから、DTMでの作業を始めます。

Novel Core:え? レイヤーも含めて頭の中で作っちゃうんですか?

秋山:そうですね。アレンジも自分でやってるので。「こんなのがいいかな」って思いながら作業し始めると、想像と技術の齟齬が出るじゃないですか。

須田:それはちょっと分かる。でも、頭の中で練っても、打ち込んでる最中に忘れない?

秋山:移動中とかに思いついたものは忘れちゃうけど、作業中の集中力だと、長い時間忘れないでいられるんですよね。

須田:それはすごい。特殊能力だと思うよ。

秋山:だからDTMでの作業って、俺にとってはスケッチみたいなもので。いかにそのまま取り出せるかってだけなので、ここはそんなに楽しくないです。むしろセッションの方が楽しい。

Novel Core:制作方式は三者三様ってことですね。

須田:本当だね。面白い。

――3月3日のスリーマンのタイトルは「MAKE A BOOM #6 -sparkle-」。「sparkle」は「きらめく」「輝く」「火花」という意味ですが、最近sparkleな出来事はありますか? 「自分にとって美しい景色を見た」とか「キラキラした感情になった」といったお話を聞かせていただければと。

秋山:最近だと、歌録りのブースの扉ですかね。失神するぐらい静電気出て。

Novel Core:あ、物理的な(笑)。

須田:それは確かにsparkleだわ(笑)。コアくんは何かあった?

Novel Core:ちょっと前にタクシーに乗っていた時の話なんですけど、その日仕事の連絡がめちゃめちゃ来てたから、タクシーに揺られながら、ずっと携帯を見ていたんです。そしたら運転手さんに「お客さん、 顔を上げてみてください」と言われて。パッと顔を上げたら、イルミネーションの綺麗な並木道に入ってて。その時は泣きそうになるほど感動しました。だって、運転手さんは僕に見えている景色も分かってたということじゃないですか。それを感じ取って言葉を掛けてくれたのかと思うと……。「俺もこういう人になろう」と思いました。

須田:めちゃめちゃいい話。

秋山:実は俺も全く同じ経験をしたことがあるんですよ。だけど「へえー」で終わっちゃったな……。

須田:俺も普段そんなに感動しないから、「へえー」で終わるかも……。でも、去年全国ツアーをまわったときはめちゃめちゃ感動しました。2020年に予定していたツアーがコロナで中止になっちゃったり、紆余曲折あったので、自分にとって初めてのツアーだったんです。去年出したアルバムに紐づいたツアーだったんですけど、7ヶ所まわって初めてアルバムが完成した感覚があって。自分の作った作品が、今までで最も独りよがりじゃなくなった瞬間でした。あの瞬間のsparkleは、しばらく塗り替えることができない気がしています。

――今日3人で話してみて、いかがでしたか?

秋山:話せてよかったです。「それぞれが自分の思う一番いいライブをすれば」という前提はもちろんあるけど、ワンマンと対バンは違うし、どうせならこの3組でしか出せないアドレナリンを出したいので。3人がちゃんと一体になっていることが言わなくても出ているようなライブだと、三者のファンの幸せ総数が高まるんじゃないかと。そして当分は「#6が一番良かったね」と言ってもらえるようなライブにしたいです。

須田:俺、フェスにはちょいちょい出てるけど、対バンはまだ1~2回しかやったことないんです。だからどんなライブになるのか想像がつかないんですけど、今日喋ってみて、考え方は三者三様でも、価値観の被っているところをたくさん発見できました。それが一番自然な形でお客さんに伝わればいいなと。イベントを通してどういう化学反応が生まれるのか楽しみです。この3人でグルーヴを出して、来てくれる全員がハッピーになれる日にできたらと思います。

Novel Core:はじめましてのお客さんも多いと思いますし、お客さんに対する意識ももちろんあるんですけど、きっとステージ上にはお二方との対バンだからこそ見られる新しい自分がいるはずだから、自分自身に期待しているところがあります。なので、当日はその日限りの自分を存分に楽しみたいし、それをお客さんに感じ取っててもらいたいです。最終的に「いいイベントだったね」と言い合えるような日にできたらいいなと思ってます。

*現在、開催に向けたMAKE A BOOM 予習プレイリストを公開中。下記リンクよりチェックを。
https://bbbplaylist.lnk.to/makeaboom

INFORMATION

MAKE A BOOM #6 -sparkle-

開催日:2024年3月3日(日) OPEN 16:00 / START 17:00
開催場所:豊洲PIT
ARTIST:秋山黄色 / 須田景凪 / Novel Core & THE WILL RABBITS
MC:小関裕太 / ほしのディスコ

イベント公式サイト
BOOM BOOM BOOM プレイリスト
MAKE A BOOM 予習プレイリスト

POPULAR