Column:総再生2,200万回突破とバイラルヒット「鬼ノ宴」から紐解く友成空の魅力 「鬼ノ宴」と同じ音色の上に流れる決意の歌「I LOVE ME!」
Text—Chie Kobayashi
Column:総再生2,200万回突破とバイラルヒット「鬼ノ宴」から紐解く友成空の魅力 「鬼ノ宴」と同じ音色の上に流れる決意の歌「I LOVE ME!」
Text—Chie Kobayashi
シンガーソングライターの友成空が3月13日に新曲「I LOVE ME!」をリリースした。友成は、今年1月にリリースした「鬼ノ宴」がバイラルヒット中の新進気鋭のソロアーティストだ。「鬼ノ宴」がこれほどまでに多くのリスナーを虜にした理由を探りながら、新曲「I LOVE ME!」ひいては友成空というアーティストの魅力を紐解いてみる。
そんな中、友成が新たに放ったのが「I LOVE ME!」。当初「女性への応援ソングを」という気持ちで作り始めたという同曲は、「ぼくのままで生きていたい」という友成自身の決意の曲となった。軽やかに跳ねる鍵盤の音色に乗せ<やっぱ最近ちょっと太ったな>と鏡の前の前で自問自答する様子から始まる同曲。しかし楽曲が進むにつれ音色が増えていき、サビでは<I LOVE ME! 鏡にうつらないぼくの一番素敵なとこ>と明るく前向きになっていく。さらに最後のサビ前には、空間を感じさせるドラムのカウントからゴスペル調のコーラスと共に<ぼくのままで生きていたい>と歌う。歌詞だけでなく、サウンドでも視野の広さや心の広さを感じさせているのだ。しかもこの曲では「鬼ノ宴」と同じベースの音色を使っているという 。
このほかにも、編曲をOvallの関口シンゴが手がけた、コーヒーの苦さを恋愛の苦さになぞらえた「コーヒー」や、愛おしい人と離れる改札での一場面をドリーミーなサウンドに乗せた「改札」など、多彩な楽曲を生み出している友成。「I LOVE ME!」と「鬼ノ宴」に同じベースの音色を使用しているのが、偶然なのか、はたまた遊び心なのかはわからないが、一見すると全く違うタイプに思える彼の楽曲に、ベースの音色のように一貫して流れているものがある。彼は出演ラジオにて、曲を作るときのこだわりとして「なんとなく目を閉じたときに、みんな同じ世界が思い浮かんだらいいなと思いながら作っている」と話していた(Kiss FM KOBE「Kiss Music Presenter FRIDAY」より)。また「鬼ノ宴」リリース時、これまでの音楽性とはがらりと雰囲気の異なる1曲に、思わず「新境地」と言いたくなってしまったが、友成はかねてより自身の音楽にオリエンタルな要素を入れることにはこだわっていたという。彼にとって「鬼ノ宴」は、新境地でもチャレンジでもなく、和の要素の分量のさじ加減を調整したまでなのかもしれない。友成にとっては、すべての音楽が地続きなのだ。もしくは、いつもの自分とは違うものを作ってみるという“鬼”の声に従ったのかもしれないが。いずれにせよ、自身の感性をフル稼働させて描く友成の世界を、口も目も耳も、ついでに鼻の穴までもかっぴらいて、もっともっと見てみたい。