MUSIC 2024.06.28

Interview:とた
素直な自分を音楽に。
New Single 「日めくり」Release

Photography_Rintaro Kanemoto、Hair&Make-up_Takahiro Suganuma、Text&Edit_Mizuki Kanno
EYESCREAM編集部
EYESCREAM編集部

耳心地の良い言葉で紡がれた歌詞、それを彩る鮮やかなサウンドスケープと涼やかな歌声。2021年、自身のSNSをベースに活動をはじめたとたが放つ楽曲群はじわじわと話題を集め、同年6月にアップされた「紡ぐ」のショートバージョンが、彼女の存在を世に広く知らしめた。
そしてこの度、新曲「日めくり」をリリース。疾走感溢れるポジティブなバンドサウンドが背中を押してくれるような楽曲で、アシックスジャパンのWEB CM「三年間じゃない、一生だ。」に起用されている。
ライブの開催やフェスへの出演など着実に活動の幅を広げ、音楽シーンを駆け上るとた。まだあまり明かされていない彼女の実像を探る。

とた

「曲の中だからこそ、普段は言えないような大きなことも言えるし、素直になれる」

ーまずは、音楽との出会いや制作活動をはじめるきっかけから伺っていきたいと思います。

「両親の影響で、幼い頃から常に音楽が身近にありました。母がキーボードで、父はギターを弾いていたし、私自身も物心ついた時から鍵盤を触っていて、家では日常的にいろんな音楽が流れていた記憶があります。なので、私自身も特定のアーティストの曲というよりは、ジャンル問わず聴いていました。本格的に曲作りをはじめたのは、高校生の時です。その頃コロナが蔓延していて、学校は休校になるし、家からも出られないしで、1日22時間ぐらいゲームをやっているみたいな時期があったんです。とにかく時間があったんですよね。その時に偶然、『スマホでもDTMができます』みたいな動画を見て、簡単そうだし、なんだか楽しそうで、試しにやってみたんです。まずはDTMアプリの録音機能を使って、ピアノとギターでそれぞれ弾いた曲を録音して、それを重ねて、繰り返すうちに内蔵音源も触れるようになってきて、曲としてのクオリティも上がっていきました。それが嬉しくて、夜な夜な作業をしていたんです」

「昔ピアノを習い始めた時に、教わることにすぐ飽きてしまって、自分のその時々の気分のまま、自由に弾くみたいなことをずっとやっていたんです。DTMを触ったことで、それを録音して、聴き返せるようになったし、ギターとピアノ、それぞれで作った曲をひとつの作品としてまとめることができるようになった感じです」

ーとたさんの楽曲は、耳心地の良い言葉が並び、聴く人の想像力を掻き立てる歌詞もまた印象的ですよね。

「響きが良くて、面白い言葉が好きなので、見つけてはストックしています。ひとつの言葉からストーリーを肉付けして歌詞を作って、そこに音楽を付けていくことが多いですね。昔は自分の部屋の中だけで制作を完結させていましたが、最近は散歩したり、買い物をしている時とかに見つけた面白い言葉から、想像を膨らませていくことも多いです」

ーとたさんの活動の起点として、SNSでの拡散が大きいと思います。ご自身の作品を世の中に発信してみようと思ったのはなぜですか?

「コロナの時期って、そもそもみんな暇だから、SNSの投稿数自体も増えたという世の中の流れもありましたし、『自分が作った曲を他の人が聞いたらどう思うんだろう』っていう純粋な興味の部分が大きいと思います」

ー楽曲に対するリスナーの声は、ご自身が想像していたものでしたか?

「『紡ぐ』をアップした時の反応が特に大きかったんですけど、自分が思う曲の意図みたいなものとは違う伝わり方をしている印象はありました。でも、ストーリーへの解釈が異なっていただけで、その奥にある気持ちの部分、根っこの部分はちゃんと伝わってくれていました。私の曲の作り方って、架空の主人公に、自分の過去や思っていることを歌わせるみたいな感じが多いので、曲の中だからこそ、普段は言えないような大きなことも言えるし、素直になれるんです。曲を通して伝えたい自分の思いに共感してくれる人が多かったので、いただいた反応は素直に嬉しかったです。でも、『何を歌っているのか全然わかんないんだけど』みたいな反応が返ってくるような曲を作りたいという気持ちにもなっていて。もっと極端で、不安定な曲の方が人間っぽさがあるのかなと思うんです。今は、そういう作品を作りたいという気持ちが強いかな」

「曲の主人公と、自分自身の距離が縮まってきているような。自分になれる曲」

ー6月19日にリリースされた新曲「日めくり」は、これからの季節にぴったりな疾走感溢れる楽曲ですよね。この曲の背景を教えてください。

「『日めくり』で一番伝えたかったのは、『評価されるような結果が残せなくても、そこに辿り着くまでに過ごした時間や経験が大事なんだよ』ということです。自分が部活をやっていた頃を思い出しながら書きました。私は吹奏楽部で、中学ではトランペット、高校ではコントラバスをやっていたんですが、大会で結果を残すために、毎日繰り返し練習をするものの、大会当日が近づけば近づくほど、高まる気持ちに反して、思ったような結果が出せない焦りやもどかしさがあり、その時の気持ちを曲に落としました。その過程を知らない人からは、『結果が残せなかった』という事実でしかないと思いますが、当事者にとっては、そこに至るまでの毎日が、大切な思い出になると思うんです」

「熱量の高い曲なので、その雰囲気をサウンドでも表現することを意識しています。なので、途中でエレキギターの強い音を入れてみたり。ただ突き抜けて明るいだけではなく、悔しい気持ちが滲み出ているようなコード進行を意識しました」

ーアシックスジャパンのWEB CMソングということもあり、より一層様々な人が耳にする機会の多い作品だと思いますが、ご自身で今作を聴いてみて、改めてどんな曲に仕上がっていますか?

「制作時は、過去の自分を思い返して作っていましたが、改めて聴いてみると、今の私自身と重なる部分の多い曲なんですよね。ライブを重ねる中で、その時々の感情や素直な自分がさらけ出せるようになってきていて、それが曲作りにも反映してきているんだと思います。曲の主人公と、自分自身の距離が縮まってきているような。特に『日めくり』は、自分になれる曲ですね」

ー曲作りへの向き合い方や、アーティストとしての視野が広がったということでしょうか?

「そうですね。部屋でひとりで作っていたときは、さっきも話したように、私じゃない別の主人公を立てて、そのフィルターを通して書くことが多かったのですが、ライブをしていると『この曲を作っていた時の私って、こういう気持ちだったな』とか『ライブに来てくれたお客さんが、こんな気持ちになってくれたらいいな』とか、いろんな記憶や感情が、走馬灯みたいにワーッて駆け巡るから、カオスな感じになるんです(笑)。ひとりで作っていた時には抱かなかったことなので、そういった意味でもライブは大切ですね」

ー最後に、とたとしてアーティスト活動を続けていく中で、大切にしていきたいことを教えてください。

「まず、歌詞はこれからも変わらず大事にしていきたいと思っています。最近のプチ目標が、普段は言えないけど思っていることを、極端な言葉を使って歌詞にすること。今までは、日常で使う言葉をチョイスしていましたが、もっと表現の幅を増やしていきたいです。あとは、やっぱりライブの時間を充実させたい。お客さんがふとした時に思い返してくれるようなライブを重ねていきたいです」

INFORMATION

「日めくり」ーとた

On Sale
https://lnk.to/himekuri

HP_https://tota3470.com/
Instagram_tota_3470

とた Live Tour 2024 “bloomin’ page 2”
09.15(Sun)at 大阪・梅田シャングリラ
OPEN17:30 / START18:00
10.04(Fri)at 東京・渋谷WWW X
OPEN18:00 / START19:00

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