Talk session「MAKE A BOOM #9 -euphoria-」開催を前に同世代フロントマンの邂逅

ストリーミングサービスにSNS、YouTubeなどから発信される音楽が多く聴かれる近年は、スマートフォンから巻き起こるムーブメントが世界中を席巻しているといっても過言ではないだろう。そんな“ブーム”を生み出しているアーティストの楽曲で構成されるプレイリストプロジェクト「BOOM BOOM BOOM」のリアルイベント「MAKE A BOOM #9 -euphoria-」が11月22日(金)に名古屋の新栄シャングリラにて開催。今回は、ガラクタクジラ夜の街yutoriといった今話題のアーティストの共演が実現し、注目が集まっている。開催を前に各バンドのフロントマン3人による鼎談を実施。イベントへの意気込みやそれぞれの音楽への思いを語ってもらった。

L→R はる(ガラクタ)、宮崎一晴(クジラ夜の街)、佐藤古都子(yutori)

宮崎一晴/クジラ夜の街(以下、宮崎):この3人は学年が1個ずつ違うみたいですね。はるくんと古都子さんは初対面ですか?

はる/ガラクタ(以下、はる):そうですね。だけど音楽はもちろん聴いてます。自分が高校生の頃、yutoriがEggsのランキングの上位にいたんですよ。どんなバンドだろうと調べたら、「高校生です」と出てきたから「嘘だろ?」と思って。コロナ禍で、バンドやりたいなと思いつつも家でダラダラしていた時期だったので、同世代が活躍しているのを見て「悔しいな」と思ったのはめっちゃ覚えてます。

佐藤古都子/yutori(以下、佐藤):私も、惰性でスマホを見ていた時間にインスタのリールでガラクタさんの曲が使われた動画が流れてきて、歌声や音楽にハッとして、スクロールをする手が止まり、悔しさを覚えたんですよ。「ヤバい、ベッドで横になっている場合じゃない!」って。

はる:同じことを思っていたんですね(笑)。

佐藤:そうみたいですね(笑)。

はる:ダラダラしながらTikTok見てる時に、いいバンドの動画が出てくると、「うわ……!」ってなるというか。

佐藤:だから私、自分のスマホにTikTok入れてないんですよ(笑)。どうしても悔しくなっちゃうから。

宮崎:僕がガラクタのことを知ったのも、SNSで流れてきた動画がきっかけでした。声は高らかで、清らかで。メガネをかけていて、髪がほわほわしていて、かわいらしい感じで……これはモテるぞ!と(笑)。前にインスタライブをした時に、「一番モテるのはガラクタの彼だと思う。みんな、彼みたいな人が一番好きなんだろ?」みたいなことを言ったら、「そうですね」というコメントがたくさん来たから、やっぱりそうだよなと思って。

はる:そんなことが(笑)。僕は「フリ放題コーリング2023」の名古屋公演で、初めてクジラ夜の街のライブを観させてもらって。ライブというよりもミュージカルや映画を観ているような感覚になって、「こういうバンドもいるのか」と感動したのを覚えています。

――クジラ夜の街とyutoriは何度か対バンしていますよね。

佐藤:初めて対バンしたのは、2021年のリキッドルームでした。クジラさんと私たちだけじゃなくて、5~6アーティストくらい出ていたイベントで。

宮崎:yutoriは結成したばかりで持ち曲がまだ少なかったから、クジラの曲をカバーをしてくれたんですよね。

佐藤:「歌、ムズッ!」と思いながら。実は私はクジラさんのCDを買ったり、ライブを観に行ったりしていて。高校時代の友達から「古都子は絶対にこのバンド好きだと思う」とおすすめされて、聴いてみたら「めっちゃ好きだ」と思ったんですよね。

宮崎:会う前から知っていただいていたんですね。嬉しい。

――そんな3組の対バンが、11月22日の「MAKE A BOOM #9 ‐euphoria‐」で実現します。会場は新栄シャングリラ。「MAKE A BOOM」初の名古屋での開催です。ガラクタは、名古屋を拠点に活動しているバンドですよね。

はる:そうですね。実は数日後に、初ライブと同じ会場=新栄RAD SEVENでワンマンライブをするんですよ。ちょうど結成2周年の日で、お客さんと一緒に楽しむのはもちろん、店長の長尾さんをはじめとした、お世話になっている人に恩返しができるような、「俺たち2年でここまで来ましたよ」という姿を見せられるライブにできたらいいなと思っているんですけど……ワンマンライブをやるのが初めてなので、今とんでもなく緊張していて。

宮崎:緊張しますよね。名古屋民からすると、名古屋ってどういう街なの?

はる:何もない街です。

宮崎:そう? 元気な街だなというイメージがあるけど。

はる:運転が元気な人は多いかも(笑)。

宮崎:ライブハウスに来る人も元気な印象がありますよ。名古屋はお客さんを動員するのが難しいと言われていて、“名古屋飛ばし”という言葉もあるくらいだけど、実際にライブハウスに来ているお客さんたちは選ばれし者感があるというか。俺らも遠征に行くと名古屋が一番盛り上がるし、名古屋のバンドって地元の人たちからめっちゃ愛されているイメージがある。好きになったバンドへの愛が、広いというよりかは深い。

はる:確かに、それはあるかもしれない。前に他のバンドの人からも、「名古屋って、曲と曲の間に上がる声の数が多いね」と言われたので。

佐藤:バンドさんも、地元をすごく大事にされているイメージがあります。

はる:確かに、僕らも名古屋大好きですね。できるだけ離れたくないなと思っていて。さっき何もないと言いましたけど、そこがいいんです。

宮崎:あはは。地元愛のあるやつは、一言目ではなじりますからね。

――ライブのサブタイトル「euphoria」に因んだ質問をさせてください。「euphoria」は「大きな幸福感」「満足感」「高揚」という意味。最近euphoriaを味わった出来事といえば?

宮崎:じゃあ、音楽とは関係ないエピソードにしません? 「ライブで盛り上がった時」「お客さんの顔を見た時」みたいな話は今回なしにしましょう。

佐藤:いいですね。

――では、宮崎さんからお願いいたします。

宮崎:euphoriaって一過性の幸福だと思うけど、長く続く、何気ないも喜びの方が個人的には幸せを感じるんですよ。それで言うと、僕は……この前友達2人が家に遊びに来て、僕の飼っている猫に引っ搔かれちゃったのね。それで「そういう撫で方をするとよくないから」って友達に猫の撫で方を指南してあげている時、幸福感がエグかったです

はる:いいですねー!

佐藤:そしたら、私も何気ない喜びの話を。私は、街中を散歩するのが好きなんです。「変な建物があるな」「あの草はなんだろう?」という感じで、面白いものを探すのが楽しくて。こないだ終電を逃しちゃって、歩いていたら、絶対に使われない場所にあるはしごを見つけたんですよ。あと、開けた瞬間落ちちゃうような場所にある扉も。始発まであと4~5時間あったので、「よし、こういうのをあと5つ探そう」と思って。ちょうど始発の30分くらい前に、5個目を見つけられた時は、すごく幸福感がありましたね。「このあと、めちゃくちゃいい睡眠できるな……」と思いました。

はる:いい話。でも、最後になっちゃったか……。

佐藤:(笑)。どうします?

はる:じゃあ僕は、高校の友達と久しぶりに会った時の話を。僕が通っていた高校は、卒業後、ほとんどの人が大学に進学するような学校だったんですけど、その友達は家庭の事情から、就職をしたんです。そんななか、自分は大学に行かせてもらって、しかも音楽も自由にやらせてもらっている状態で。「もしかしたら、僕はあんまりよく思われていないかもしれないな」と勝手に思っちゃって、久しぶりに会うのが怖かったんです。だけど、ちょっと深い話になった時に、その友達から「朝、マジで仕事に行きたくない時に、お前の曲を聴いて出勤してるんだよね」と言われて。「あー、よかった……!」と思って。その瞬間、高校の頃の距離感に戻れて、すごく幸福感がありましたね。

宮崎:ちょっと待って。音楽の話してる?

はる:ヤバい!しちゃった!

宮崎:ズルい!今の話はみんないいって言うよ!

はる:すみません!今回はちょっと許してください……!

――ライブ当日も、幸福感の溢れる日になったらいいですね。

宮崎:最近、「踊りって、幸福と直結するものなのでは?」と思っていて。

佐藤:よく言いますよね。変な踊りをすると、自然と幸福になるって。

宮崎: だから最近よく踊ってるんですよ。「アレクサ、ジャズを流して」とか言って。友達が来た時も、みんなでジャズを踊るの。

佐藤:それは絶対楽しい!

宮崎:この前ラブシャ(「SPACE SHOWER SWEET LOVE SHOWER 2024」)に行った時も、宮本浩次さんを観ながら、「さあ頑張ろうぜ~♪」ってめっちゃ踊りました。

佐藤:いいですね。私もライブを観ながらめっちゃ踊るタイプで。初めてクジラさんを観た時も、後ろの方で一人で踊ってました。サイドステップとか踏んじゃって。

はる:僕はあんまり踊ったことないかも。

佐藤:楽しいですよ。呼吸も深くなりますし。

宮崎:1回踊ってみ? マジで変わるぞ?

佐藤:だったら、 転換中にステージに出ていって踊りましょうか。

宮崎:やりましょう! この日は、みんなで踊りましょうね。全身を使って、なんでもない踊りを。それが一番幸せですから。

――ライブへの意気込みをお一人ずつお願いいたします。

宮崎:僕は軽音楽部出身で、大会や合同ライブがたくさんある環境で音楽を始めているので、対バンという勝負の場は、やっぱり燃えるんですよ。運動会が「赤組と白組もどっちも優勝だよ」みたいな感じになっていたり、勝負事って減っていっているように思いますけど、対バンライブを観に来たお客さんたちは、やっぱり「今日誰が一番よかった?」って口にすると思うので。評価されることに怯えるんじゃなくて楽しみながら、勝ちにいきたいですよね。僕にとっての“勝ち”は、yutoriやガラクタのお客さんにも「カッコいいバンドだったね」と思ってもらうことであって、2組を負かすということじゃない、自分たちを気にかけてくれる人をしっかり増やしつつ、3組の間で、素敵な絆が生まれたらいいなと思ってます。

佐藤:この3組のライブって、ありそうでなかった感じがするんですよね。2組がどんなライブをするのか、お客さん含めどんな雰囲気を持たれているのか、MCでどんなことを喋るのか……ライブでしか味わえない空気感から、吸収できるところは吸収して、学びたいなという気持ちがあります。まずは自分たちがめっちゃ楽しんで、お客さんにも楽しんで踊ってもらう。そんな日にできたらいいなと思っています。

はる:僕たちの地元の名古屋での開催ということで、名古屋発のバンドの名に恥じないようなライブをしたいですね。名古屋のお客さんには、一番詳しい自信がありますから。自分たちのライブで、お客さんに踊ってもらえたらいいなと思ってます。

――そろそろお時間ですが、最後に、この3人で話してみたいことがあれば。

宮崎:2人ともかわいい服着てるなと思ったんですけど、服のこだわりってありますか? 俺は服を買う時、強いかどうかで決めていて。漫画に出てきたら「一番強いキャラだろうな」と思われるような服を着たい。

佐藤:分かります! 「これを着たらカッコいいボーカルに見えるかな」とか考えます。

はる:うんうん。ボーカルらしい服がいいですよね。

佐藤:だからアクセサリーとかも、ちゃんと意味のあるものを着けたくて。このネックレスは、お母さんがおばあちゃんから譲り受けたもので、それをさらに私が譲り受けたんです。

宮崎:素敵。服に気持ちが乗ってると、全然違いますよね。

佐藤:そうなんですよ。歩く速度とか歩き方も変わってくる。背筋も自然と伸びちゃうというか。

宮崎:分かる分かる。 鏡に映った自分を見て、「はい、きたー!」と思ったり(笑)。

はる:街中の全部の反射、見ますもんね(笑)。

宮崎:はるくんは、自分がどう見られているか、絶対に分かってるでしょ?

はる:いやいや。中学の時からずっとこんな感じですよ。メガネもかけてたし。

佐藤:伊達じゃなく?

はる:これ、ちゃんと度が入ってるやつなんですよ。

宮崎:でも周りがコンタクトにし始める中で、それでもメガネを貫き通したわけじゃん。そのことを言ってんのよ(笑)。

はる:(笑)。確かに、 自分がメガネやをめて普通の髪型にしたら、マジで面白くないなという気持ちはありました。

宮崎:それをちゃんと分かってやってるのが好き。ライブの日、自分史上一番の服で来ましょうよ。

はる:誰が一番か、決めます?

宮崎:いいですね。ファッションバトル!

佐藤:怖い……! でも、やるからには勝ちに行きますよ!

INFORMATION

MAKE A BOOM #9-euphoria-

開催日:11月22日(金)OPEN 18:30 / START 19:00
開催場所:新栄シャングリラ
ARTIST:ガラクタ / クジラ夜の街 / yutori

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