MUSIC 2025.01.21

Interview: BLAST JAMS!!世代交代! ヴィンテージミュージックのパーティは次世代へ

EYESCREAM編集部
EYESCREAM編集部
Photograph_Yuta Kato(Interview), nogi(Live photo), Edit&Text_Ryo Tajima[DMRT]

東京を拠点として活動するBLAST JAMS!! CREW。彼らは“VINTAGE MUSIC FOR TEENAGERS”を掲げたユースDJクルーで、全国各地でパーティやDJ活動を行っている。
このクルー・パーティは2014年に笹井トシオがスタートさせたものであり、2019年から2020年にかけて、その動向を追いかける連載も掲載してきた。

2020年、ヴィンテージミュージックの革命を追うVol.12-FINAL! BLAST JAMS!!2020 REPORT

そんなBLAST JAMS!! だが、創設者の笹井トシオは2024年いっぱいでクルーを卒業し、次世代を担うDJにそのバトンを受け渡したとのこと。
そんなわけで、新生BLAST JAMS!!と、笹井トシオの今後についてインタビュー形式でお伝えしたい。

L to R_笹井トシオ、Koshin、YU-KI、B.i.C

何よりもユースに音楽を楽しんでほしい

ートシオさんがスタートさせたDJクルー、BLAST JAMS!! ですが、2024年いっぱいをもって、次の世代へ引き継がれたわけですね。そういった決断に至った理由や経緯を教えていただけますか?

笹井トシオ(以下、トシオ):もともと音楽が好きになったときに、ロックンロールとかパンクはユースのための音楽という意識があったので、BLAST JAMS!!も30歳で辞めようと思っていたんですよ。でも、クルーとして活動を続けるうちに仲間が増え、それこそ2020年の連載をやっていた状況になり、気づけばズルズルと続けてしまっていたんですよね(笑)。ただ、やっぱりBLAST JAMS!!のパーティが今後どうあってほしいかを考えたときに、やっぱり若いお客さんが集まってファッションや音楽を楽しむ場であってほしいと思ったんです。どうしても、パーティの主催者が年上になっていくと、来てくれる人も一緒に年を重ねていくものだと思うので、この10周年を機にスピリットを次の若い世代へ受け継ごうと思ったんです。そんなわけで、今後のBLAST JAMS!!のパーティを引っ張ってくれるのが、ここにいる3人と今日は来れなかったp-townを含めた4人のDJたちになります。

ートシオさん自身はもう一切、BLAST JAMS!!には関わらないんですか?

トシオ:いえ、そういうわけではないですが運営や活動方針を決めることから離れる予定です。BLAST JAMS!!のパーティを始めた頃はイベントをやること自体が楽しかったんですけど、途中からDJをする時間がもっとも楽しい時間になっていたんですよ。そういった心境の変化もあって、今の自分はもっとDJとして活動したい時期なんですよね。そのタイミングとしてもちょうどいいんじゃないかと感じています。

ーでは、今日いる3人とBLAST JAMS!! の出会いを教えてください。

トシオ:友人が下北沢でHuskyという古着屋をやっていて、BLAST JAMS!!のフライヤーも置かせてもらっていたんですけど、そこで働き始めたのがKoshinで、その幼馴染がB.i.Cだったんですよ。その友人が連れてきてくれたんです。

Koshin:もともと音楽が好きだったのもあるんですけど、店に置いてあるフライヤーのイベントがどんな感じなんだろう、行きたいなっていう気持ちはありましたね。最初にBLAST JAMS!!のパーティに行ったときに、7インチでヴィンテージミュージックを流している笹井さんを観て、『こんなの初めてだ、新しい』って面食らっちゃったんですよね。そこから、友達を誘ってBLAST JAMS!!で遊ぶっていうことを始めたんです。

B.i.C:Koshinとは東京に来てからもずっと一緒に遊んでいたので、誘ってもらって一緒にBLAST JAMS!!に行くようになっていきました。レコードでDJをやる現場を見たのはBLAST JAMS!!のパーティが初だったんですけど、もともとレコードという物自体が好きな自分としては、DJの本来のカッコよさを知った感覚がありました。

ーBLAST JAMS!!はファッション×音楽を色濃く打ち出しているパーティですからね。特に古着屋の多い下北沢にはマッチするものがありますよね。

Koshin:そうですね。当時、古着屋で働いていた立場からみても、お客さんに「カッコいいファッションをしている人はどこにいますか?」って聞かれたときに紹介しやすかったんですよ。同じ下北沢という街で開催されているパーティですからね。他にもヴィンテージミュージックのパーティはありますけど、BLAST JAMS!!には、他とは違う突出しているような感覚がありました。パーティでも笹井さんは普通に俺たちと話してくれるし、音楽の話をしながら仲良くさせてもらうようになっていったんです。

トシオ:YU-KIは20歳前半の頃からPINK DRAGON(原宿のショップ)で働いていて、同時期に勤めていた友人がパーティに連れてきてくれたんですよ。スタイル的にもロカビリーだったので、すぐに仲良くなりました。

Koshin:当時、僕らはDJをやっていなくてBLAST JAMS!!に遊びに行っていただけだったんですけど、「レコードが好きで買い集めているんだったらやってみなよ」ってことを笹井さんやShinyahさんとも話しつつ、わからないことがあったら教えてもらって、という感じで、自然にDJを始めることができたんです。それで、なんとかDJを始めた頃に、場数を踏んだ方がいいからってことで、自分らのような若手を中心にしたメンバーにHAVE A BLAST!!っていうクルー名を付けてくれたんです。そのクルー名でフライヤーにも名前を載っけてくれたりして。

2024年12月14、15日にTHREE & BASEMENTBAR Shimokitzawaで開催された『BLAST JAMS!! 10th』の模様。両日ともライブとDJによるパーティとなり、BLAST JAMS!!の歴史がわかる2日となった。この2日間を経て、BLAST JAMS!!を次世代へ継承することになった。

いつもカッコいい音楽との出会いがあるBLAST JAMS!!

ーそんな状態を経て、HAVE A BLAST!!から正式にBLAST JAMS!!クルーとして受け継ぐことになったわけですね。3人の音楽的ルーツと、DJで流す音楽について教えてくれますか?

B.i.C:自分はノーザン・ソウルをメインに、そのシーンに近しいモッズ、ソウルなどが多いです。最近ではラテンだったり南米の音楽もかけていますね。音楽を好きになったきっかけはヒップホップだったんですが、BLAST JAMS!!に行って、7インチでDJしている現場を体験してロカビリーなどのヴィンテージミュージックにのめり込んでいったんです。

YU-KI:僕は見ての通り、ロカビリーがベースです。DJではガレージも流したりしています。音楽を聴くようになったのは小学生の頃で、邦ロックが入り口でしたね。徐々に洋楽に手を伸ばすようになり、THE CLASHの『ロンドン・コーリング』にハマって、そこからどんどん音楽を聴くようになっていきました。

Koshin:僕はロックステディ、スカとかオールディーズ・ジャマイカのセレクトをすることが多いです。全体的なジャンル感的にはワールドがすごく好きですね。音楽を聴くようになったきっかけはメロコアで、NOFXやTHE OFFSPRING、GREEN DAYなどを聴き始めたところから始まっています。もともと父が音楽好きだったり、兄がバンドをやっていることもあってレコードや楽器が小さい頃から身近にあったので音楽の世界はすごく近くにありましたね。大きな転機が友人から教えてもらったGrateful Deadで、どハマりして、もうここ3年くらいのサブスク上位ランキングは、Grateful DeadとJerry Garciaっていう感じなんですよ。

ー3人ともうまくバラけているのが面白いですし、自分がセレクトしている音楽の雰囲気がファッションにも現れていますね。

Koshin:ファッションは自己表現の1つですし、BLAST JAMS!!のパーティでは洋服の会話も飛び交っているので、そういうファッションと音楽の親和性が高いというところは、大切にしながらしっかりと受け継いでいきたいと考えています。

ー3人がBLAST JAMS!!のパーティに行き始めた頃、どういうところに惹かれましたか?

B.i.C:いつ行ってもいい音楽が流れていてハズレがないんですよね。しかも、毎回コンセプトが違うので、何度も通うことになっていったと思います。

YU-KI:そう、毎月ジャンルを変えてイベントを打っていて、自分がしらないジャンルの日に遊びに行っても、カッコいい音楽が発見できて、新たにバンドを知れて、自分が好きな音楽が広がっていくという。

Koshin:もうShazamが止まんないって感じなんですよ。とあるイベントのときに、笹井さんから「(DJに)直接、何流してるのか聞きに行きなよ」って言われて、DJとコミュニケーションを取るようになりましたね。

トシオ:DJに聞いたら、これはカバーだとか、そういうことを教えてくれたりするからさ。

Koshin:そうなんですよね。別のバージョンもあるだとか。年齢関係なく音楽を介してフラットに会話できる場所っていうのが最大の魅力なのかもしれないです。リスペクトはありつつ友達感覚でいられるっていうのはいいですね。あと、ルーツミュージックが流れているパーティというのも魅力ですね。ヒップホップをはじめ、今の音楽とも繋がれるし。

ーそういう発見があるパーティというのは重要ですよね。

Koshin:あと、下北沢で毎月開催しているというのも重要だと思います。ヴィンテージミュージックのパーティは各地で開催されていますけど、下北沢でサイコビリーのイベントをやっていたのはBLAST JAMS!!くらいなんじゃないかなって。再開発が進んで、どんどん古着屋も増えて若い人が遊ぶ街になっている傍ら、BASEMENTBARという地下のライブハウスじゃ、ヴィンテージミュージックのパーティが盛り上がっているっていう。この感じが最高に面白いですね。個人的にも好きな街で好きなイベントをずっと続けていきたいと考えています。

トシオ:BLAST JAMS!!を引き継いだ4人は、俺らの世代より、いろんなところで遊んでいるし、YU-KIが原宿で働くファッションシーンの人を連れてきてくれたりするし、交友関係が広がることでまた変化があるんじゃないかなって、今後を楽しみにしています。

今後もBLAST JAMS!!のパーティは続いていく

ー今後のBLAST JAMS!!も、バンドを呼んで一緒にパーティを開催していくんですか? その場合、バンドのラインナップも変わっていきそうな気がして楽しみです。

Koshin:そうですね。バンドも呼んで開催していくと思います。すでにBLAST JAMS!!のイベントにも出てもらっているんですけど、フーテン族やマイティマウンテンズといったバンドは自分たちと距離も近く、シンパシーを感じ合って一緒にやれているのかなって思っています。そんな風にバンドにしろ、DJにしろ、自然に繋がっていく関係性を大事にしながらやっていこうと思いますね。

ーそんな中、最初の話にも少しありましたが、トシオさんの今後の活動についても少し教えてください。

トシオ:3年ほど前からDJをする現場がライブハウスとクラブで半々になってきたんですよ。そこで、やっぱりクラブでやった方がみんなDJを求めてくれていると感じたんですよね。当然、自分も気持ちよく楽しくできるので、今後はクラブでの活動を増やしていくというのが1つあります。もう1つは海外での活動を増やしていくということですね。2024年にオーストラリアとLAでDJしたんですけど、海外の反応は日本とまったく違うんです。なので、2025年はできるだけ海外を回る活動をしていきたいと考えています。

ー双方の活動を今後も楽しみにしています! ありがとうございました!

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