INFORMATION
Liza『PARAPARA MIXTAPE』
配信日:2025年3月19日 OUT NOW
配信リンク:https://Li-za.lnk.to/PARAPARAMIXTAPE
Instagram:@liza_space97
X:@liza_mars97
YouTube:@liza_space97
Lizaが、Chaki Zuluと作り上げたミニアルバム『PARAPARA MIXTAPE』をリリースした。リスナーの想像を超える多彩なLizaが表現されており、歌詞も実話をベースに赤裸々な物語が綴られている。中でも、「ねぇどうして人間ってさ/失って気付くんだろう」と恋愛に絶望する「PARAGRAPH」は、そのMVの内容含めて衝撃的な描写が話題を呼んでいる。メガヒットとなった「PARALLEL feat. 7」やシネマティックで不気味な「PARAPARA」など、語るべき魅力にあふれた力作だ。
前回のインタビューで、「然るべきタイミングが来たら全て話します」と話していたLiza。いよいよ、その機会がやってきた。彼女はもう「PARAGRAPH」のMVを観ることができないそうだ。恐らく、今後も観ることはないのだろう。『PARAPARA MIXTAPE』は、Lizaが過去のLizaを葬るために作り上げた作品である。ひとつの関係に終止符を打った彼女が、アルバムについて語りはじめた。
——『PARAPARA MIXTAPE』リリースおめでとうございます。ミックステープと言ってますけど、アルバムのようなストーリー性のある作品だと思いました。
Liza:いや、これはまだミックステープ。アルバムだともっとストーリーが出てくると思います。でも確かに、『PARAPARA MIXTAPE』は後半に進むにつれて「やっぱりLizaだ」ってなる作品ですよね。
――そう。ダークな後半に向かって、まずは明るいテンションから始まりますよね。
Liza:一曲目に一番ちょけた(ふざけた)曲を置きましたね。サウンドは明るいんだけど、遠回しに不満や文句を言うっていう。
――歌詞の書き方も、幅がぐんと広がった印象です。一曲目「PARADOX」から、「着拒」と「ヤッホー(^^)/」で韻が踏まれている(笑)。「月に行きたい/でも酸素ないし/じゃあ太陽でいい/でも燃えちゃう/樹海でもいい/静岡でしょ?/じゃあ太平洋?/サメの餌食」あたりも、これまでなかったセンスですよね。
Liza:そもそも今までって、初めにこういう内容の曲を作りたいというのがあって作ってたんですよ。タイトルは後付けで。でも今回は「PARA」縛りでいきたくて、そうなるとまずは曲名を考えてからそのテーマに合うものを作っていかないといけなくなった。今まで自分が日常生活だと考えないことも発想して。歌詞はChaki(Zulu)さんとのやり取りの中でもけっこうできていて、たとえば私が「静岡の樹海がさ」って言ってたらChakiさんが「樹海って山梨だよ(笑)」って教えてくれて。そうなのか、じゃあそれ歌詞にしようかなって(笑)。
――そもそもそういう軽いノリが、今までのLizaさんの歌詞にはなかったかもしれない。だからこそ、「PARALLEL feat. 7」への繋ぎもスムーズですよね。
Liza:そう、色々曲順を並べ替えてて、この繋ぎはもう完璧だねってなりました。
――「PARALLEL feat. 7」はびっくりするほどの大きな現象になりました。この前、すれ違った小学生二人組が歌っててびっくりしたんですけど(笑)。
Liza:私も、すれ違った子が歌っててウケるって思いました(笑)。良い評価も悪い評価もされて、脱力系の新境地が開拓できた曲になりましたね。ああいう脱力系ラップって、海外での反響がすごく大きいんですよ。ああいうのも自分には向いてるんだなって思った。
――続く「PARALYZER」も、歌詞はサイコですがサウンドはポップですね。
Liza:私アニメ好きなんですけど、好きなアニメで『PSYCHO-PASS サイコパス』っていうのがあって、「PARALYZER」っていうのはそれに出てくる銃の名前なんです。サイコパスを殺すか麻痺させる銃。すごく暗いアニメなんだけど。あと、Chakiさんがよく「歌詞で重いことを言う時はビートを重くしすぎない方がいい」って話をしてて。それは確かにって思う。私も、病んでる時に病んでる曲が流れてくると憂鬱になるんですよね。この曲もそういうギャップを大事にしてて、だからサウンドはポップなんです。
――そういう、ギャップを感じる組み合わせを意識されてるんですね。「PARADISE feat. sheidA」も、ポップな世界観が続きます。
Liza:sheidAちゃんはポジティブ人間なんで。けっこうスピーディに作れました。歌詞は彼女が全部英語で書いてきて、でもちょっとだけ日本語も加えてもらいつつ。
――MVがすばらしいですよね。スタイリングが素敵。
Liza:可愛くしたいって言ってて、素敵なMVを撮ってたNathalie Scarletteという方にお願いしました。小物の取り入れ方が可愛くて、スタイリストさんも全部監督が指定して。
――ああいう女の子のグループの中にLizaさんがいるというのが今までなかったから、新鮮です。
Liza:皆が女性らしい格好をしてる中で自分だけちょっとパンツスタイルでボーイッシュにして自分らしさを出してみたんですよ。私はやっぱりああいう世界観の中にいるとちょっと浮くし、孤独な感じを衣装でも表現したくて。普段やらないシチュエーションだからこそ、個性を意識しましたね。
――その後、「PARANOID」あたりからムードに少し変化が出てきます。
Liza:「PARANOID」って、ちょっと病んだシックな男の子という意味があるんですよ。この曲の歌詞が一番大変だった。Chakiさんと初めて一緒に作った曲なんですけど、歌詞だけで一回も休憩挟まずに12時間くらいぶっ通しで議論して。最初は「あなた」って書いてるけど次は「君」って書いてて、これってどっちなんだっけ? とか。そういう辻褄を合わせていくのも含めて、意見を交わして作っていきました。
――最後の「PARAGRAPH」のヒントにも繋がる歌詞だと思うんですけど、これはノンフィクションですか?
Liza:少し整えてる部分はあるけど基本的には実話ベースです。
――それと対比的なのが「PARASOCIAL」で、これは複雑な仕掛けが施されていて色々な考察を呼びそうですよね。
Liza:著名人や芸能人などを含める有名人って、いわゆるファンとか、その相手のことを一方的に知ってるのが、殆どじゃないですか。それって、認知している側が一方的に知っているだけで、著名人・芸能人側はその人のことを知らない。で、そういった人たちに対して一方的に指摘したり攻撃したりまたは、好意を抱いたりとかする人も多いじゃないですか。そういう本来、赤の他人なのに、他人以上に身近に感じてしまう距離感がバグって感覚が分からなくなっていくことを「PARASOCIAL」って言うらしいんですけど。芸能人の熱愛に対して常識を超えたようなネガティブな感情が沸くのも、その一つですよね。
――なるほど。そういったテーマに、レオナルド・ダ・ヴィンチの『最後の晩餐』が重ね合わされていると。
Liza:そう。私がダ・ヴィンチに対してパラソーシャルをしているというのを描いてる。『最後の晩餐』を選んだのは、自分の家族がキリスト教で幼い頃から身近だったので。歌詞に「最後の晩餐はkissで」ってあるじゃないですか。イエス様とユダは相槌としてキスを使っていたらしいんです。「コルクに手をかけて」っていうのも、ワインってキリスト教で血を指していたり、とか。そういった色んな要素と歌詞を掛け合わせてます。
――へぇ! ユダは、『最後の晩餐』では裏切者なんですよね。
Liza:そうです。それは、明日裏切るのを知ってるからねっていう私の視点。なんだけど、向こうからしたら「あなた誰ですか?」ってなるわけで、それこそがパラソーシャルな状態っていう。
――これも「PARAGRAPH」につながる、恋愛の話?
Liza:いや、これは勝手に自分の曲を評価されるっていう話かな。そういうのを直接的に歌うのって私はちょっとうるさいと思っちゃうから、自分が逆にそれをしてる側で書いていますね。
――2ステップっぽい、つんのめるビートに一方通行のパラソーシャル感がすごく出ていると思いました。
Liza:そうそう、そうですよね。
――その流れで、「PARASITE」もどんどん深みにはまっていく感じがあります。
Liza:依存や執着について書いた曲。恋愛に関して必要ない感情だと思うんですけど。……そう思うと、アルバムとしてすごくまとまってる気がしています。
――そうなんですよ。後半につれて感情が乱れていくにつれて、ボーカル表現のバリエーションも増えてきます。ボーカルだと、次の「PARA PARA」がちょっと異次元のすごさで。
Liza:このレコーディングは大変でした。空気で歌ってる感じで、ここまで力を抜いた歌い方は初めて。なかなかできないからボイトレの先生に相談して、アドバイスもらって。コツをつかんでようやく歌えるようになった。
――Lizaさんらしさがすごく出ている。
Liza:昔出していたロシア語の曲に近い。ルーツに戻って、振り切った暗い曲を書こうと思って。最近ドリームコアとかリミナルスペースとか、不気味な空間を感じさせるものが流行ってるじゃないですか。私はそういうのが好きなので、そういったイメージをChakiさんに相談して作りました。一番最初の入りと一番最後に、音量が段々大きくなって変な空間に行くような仕掛けがされています。一人で部屋を暗くして聴いたら怖くなるはず。あと、私も含めて家族が皆霊感を持ってるので、この歌詞は嘘ではないです。
――その流れで、いよいよ「PARAGRAPH」にたどりつくわけですが。ここで、全ての物語が結末を迎える。これは、アルバムの中では最後にできた曲?
Liza:最後です。というか、もともとこのアルバムは8曲構成だったんですよ。でも私がどうしてもあと1曲欲しいって言って、この曲がないと前に進めないというので最後に追加になった。本当は生まれるはずのなかった曲。
――でも、アルバム通しで聴いてると最後の「PARAGRAPH」に向かって全てが進んでいくような構成になってませんか?
Liza:現実の状況がそうなってたんですよ。もともと、「PARANOID」と「PARASOCIAL」の「どちらかをリード曲にしようって話してて、でもそのどちらかで意見が割れてて。リード曲って皆が一致してこれだってなるものだから、その時点でなんか違うなとは思ってたんですけど、ちょうどその時に色々あって、それで作ったら、これがリード曲じゃない? ってことになった。アルバムにあった問題が、この曲で全部解決に向かったんです。
――恋愛で生じたフラストレーションをすぐに曲作りに落としていったってことですよね?
Liza:そう、すぐに。他の曲で引きずりたくないから、「PARAGRAPH」にすべてを込めた。文学的な歌詞の書き方とかは全部一旦忘れて、ただ感情のままストレートに書きました。
――「アイビーは枯れた」という歌詞があります。アイビーの花言葉は「永遠の愛」なんですよね。
Liza:そう。永遠の愛は枯れたってこと。タイトルの「PARAGRAPH」は段落って意味で、ひとつのまとまりが終わって次の章に行きますっていう意味です。
――それでも、歌詞では「けど愛してたよ」と繰り返しています。
Liza:ここまでも聴いてきて、「PARASITE」では執着・依存してるし、恐らく良い恋愛じゃないんだろうというのは分かるじゃないですか。それにちゃんと終止符を打つ、という終わり方です。
――ずっと執着・依存していたけど、ようやく終止符を打てたのはなぜですか?
Liza:今まで他人軸で生きていたのが、自分軸で生きることができるようになったからかな。自分の不幸は自分が選んでたんだよね、という。相手に「なんでこんなことするの?」って思ってたのが、「なんでこういうことする人といるの、自分は」っていう考えになれた。
――以前、「何かを成し遂げたい時は何かを捨てなきゃいけない」とも言ってましたよね。今回、何を成し遂げるために区切りをつけたのでしょうか。
Liza:自分の人生で今一番大事な物、それは音楽。今は音楽がすべて。特に私みたいなスタイルの音楽は私生活で満たされすぎては歌詞が書けなくなると思ってます。幸せだけの環境にいると、反骨精神もなくなるし貪欲さもなくなる。だから何か大きなことを成し遂げるとき人は、依存してたり、頼ってきた大きな何かを手放さなくてはいけないんだと私は思います。
――それがなければ、「裏切り」に対してもまた許していたかもしれない?
Liza:もしかしたら。手放せきれなかったかもしれない。だから、とことんやり切るためにMVも振り切りました。もともと、音楽をやり始めたきっかけが自分の感情を表現したかったからというのがあるし、この曲もMVも、次のフェーズに行く為に必要でした。
――日々の創作活動を行なっていた中での話でいうと、曲作りに対して、良い面もありましたか?
Liza:もちろん良い面も得られたことも沢山あったと思います。でも、タバコやお酒と同じ。その場では良い気持ちになるし逃避できるけど、長い目で見ると自分を知らず知らずに蝕んでいっていたんだと思います。
――Lizaさんの価値観が他人軸から自分軸に変わったタイミングなどで、相手にそういったことを伝えたりもしたんですか?
Liza:いや、何も伝えてないです。人って早々変わりませんし、そもそも他人を変えようとすること自体、烏滸がましいことかもしれませんね。
――MVは、そういった考えをどうやって映像に落としていったのでしょうか。
Liza:監督にすべてを話しました。撮影前から何回も擦り合わせしましたし、撮影中も気になることがあれば、その場で相談したりしました。それくらい、細かいディレクションまで私も入りました。
――完成してから、MVは観ましたか?
Liza:もちろん。けど体力を使っちゃうので、出てからはもう観てないです。
――『PARAPARA MIXTAPE』を世に出して過去のLizaを葬ったことで、Lizaさん自身は今もうすでに次のフェーズへと向かっているかと思います。今はどんなモードでしょう。
Liza:すでにChakiさんとも次作の話しをしながら、アプローチの違った音楽にもトライしてます。恋愛のトピックも新たに書いてるけど、『PARAPARA MIXTAPE』は相手がどうこうっていう視点だったじゃないですか。今は、自分の視点。あと、世の中に対して「死にたい、生きづらい」と思ってる人たちに向けても書いてます。楽しみにしててほしいな。
INFORMATION
配信日:2025年3月19日 OUT NOW
配信リンク:https://Li-za.lnk.to/PARAPARAMIXTAPE
Instagram:@liza_space97
X:@liza_mars97
YouTube:@liza_space97