音楽と”魔法のような時間”を。
新たなリゾートフェス「MAGICHOUR」が、兵庫・淡路島に誕生した。

海と空が溶け合う、淡いブルーのグラデーション。安藤忠雄が設計した美しいステージ。心地よい潮風に包まれながら、極上の音楽とカルチャーを味わう2日間。
そのすべてが、ここでしか得られない非日常だった。
EYESCREAMではMAGICHOURを来場者の様子とともにお届けする。

2025年4月12日と13日。
舞台となったのは、淡路島・淡路夢舞台／明石海峡公園。
このMAGICHOURを手がけたのは、関西で人気を集めるフェス「ONE MUSIC CAMP」や「ARIFUJI WEEKENDERS」を仕掛けたチーム。
音楽、建築、自然、食。異なるカルチャーを重ね合わせながら、どこにもないフェス体験を作り上げた。

このフェスを象徴するのは、何といってもロケーションだ。眼前に広がるのは、海と空が溶け合う無二の景色。
自然と建築と音楽が三位一体となった空間に、ただ立っているだけで心がほどけていく。
安藤忠雄が手がけた壮麗な建築群。円形劇場や巨大な温室が、フェスの舞台装置として新たな息吹を宿していた。

出演はiri、SIRUP、Kan Sano、chelmico、七尾旅人、Mega Shinnosuke、xiangyu、HOME、KIX SOUND SYSTEM、Twilightclubs、Novel Core、スチャダラパー、SPECIAL OTHERS、STUTS、GEZAN、荒谷翔大（Guest：鈴木真海子）、Summer Eye、CHO CO PA CO CHO CO QUIN QUIN、Billyrromら総勢19組。
海に向かって開かれたステージで聴く音楽は、潮風を受けながら音を紡いでいく。伸び伸びと歌唱するアーティストと笑顔溢れる観客のその姿は、どこまでも自由だった。

特に印象的だったのは陽が傾き始める”マジックアワー”タイム。
当日はあいにくの曇り空が続いたが、それでも陽が落ちる時間帯の色合いはライブの光と相まって幻想的な瞬間だった。

また、集まる人たちの笑顔やスタイルもまた、MAGICHOURという世界を彩っていた。
爽やかなスタイルで歩くお洒落な若者たち、手を繋いで歩く子どもたち、音楽を聴きながら家族で過ごす時間、ビール片手に語り合う仲間たち。そのすべてが溶け合って、淡路島の心地よい潮風のなかMAGICHOURというひとつの風景を作っていた。
ここでは、そんな”フェスのもうひとつの主役”たちをスナップで紹介したい。

そして、このフェスを語るうえで外せないのが”滞在の楽しみ方”だ。
ステージ近くの芝生サイトや、海を見渡すベイサイドキャンプエリア、さらにインフィニティ温泉を備えたリゾート施設での宿泊プランまで、多彩な滞在スタイルが用意されていた。
夜は星空を眺めながら温泉に浸かり、朝は海辺で目覚める—-そんな夢のような時間を過ごすこともできる。

会場には、関西エリアからセレクトされたマーケットや、クラフトビール、地元食材を生かしたスペシャルフードも並び、音楽と共に、舌でもこの地を味わうことができた。

夜が深まると、舞台は植物園「BOTANICAL STAGE」へ。
高さ20メートルにおよぶガラス張りの温室内に、デジタルクリエイターたちが手がけた幻想的な光のインスタレーションが広がる。
音が、光が、植物が、空気ごと震わせる。
この夜のために用意された特別な空間に、すべての感覚が奪われた。
淡路島の深夜、この光景は、きっと誰しもの記憶にも焼きついたはずだ。
そして、また来年も、この魔法の夜に戻ってきたくなるだろう。

アーティストのライブ、幻想的な夜の植物館、癒しの温泉、そして心を満たす食。
それらすべてが、このフェスにおいてはフラットに並び、“体験”として編み上げられていた。

フェスは”消費”ではなく、“滞在”して楽しむものへ。そんな時代のムードを象徴するかのような、MAGICHOUR。
新しいリゾートフェスのあり方を、鮮やかに示してくれた。

フェスを後にしても、心の奥にはあの海の色と、音楽の余韻が確かに残っている。
淡路島で体験したMAGICHOURは、きっとこれからも、ふとした瞬間に思い出す宝物になるだろう。
また来年、この場所で新たな魔法と出会えることを、心から願っている。