EYESCREAMが主催するライブイベント『EYESCREAM NITE VOL.3』が3月19日にVeats Shibuyaで開催された。これまでの2回は代官山UNITでの開催であったが、今回は会場が渋谷に移動。センター街を抜けた先にある地下のライブハウスでJeremy QuartusとSkaaiの初対バンが繰り広げられた。
Interview: Jeremy Quartus x Skaai 3月19日開催! EYESCREAM NITE事前特別対談 ~お互いダサいと思われない活動をしていこう~


このイベントに先立って対談を行なっているわけだが、それを読んでいただいてもわかる通り、両者の共通点はブラックミュージックである。ヒップホップにR&B、ソウル、そういったバックボーンを独自の形に昇華したライブのぶつけ合いであり、SkaaiのMCを借りるのならば「バトル」である。であるのだが、言わずもがなバチコン殴り合うような対バンではなく、互いのリスペクトを音楽に乗せて届けてくれるような時間が広がり、この組み合わせならではの大きなシナジーを生み出し、イベントが終了する頃にはすっかりと心が洗浄されたような心地よさで胸がいっぱいになっていた。初対バンであり、両者にとっての始まりの日。それを確認し合い、これからに繋げるような時間であった。

まずはSkaaiから。バンドサウンドに挑戦したアルバム『Gnarly』のタイトル曲「Gnarly」でライブがスタート。バンドに囲まれて円形のようになったステージを回るようにラップするSkaai。ギターソロではメンバーとアイコンタクトを取りつつ、マイクに集中しながら一音一音を大切にするように音を紡いでいく。

2曲目の「Tambourine man」の冒頭では、一度バンドを止めて再度演奏するというライブならではの展開も。特にDJセットの場合はフロアを沸かすために何度も曲をやり直すラッパーもいるだろうが、「これ、(バンドでも)やり直してもいいんだっけ? と思ったんですけど温かく見守ってくれたら」とSkaai。このリアリティが伝わってくる感じがカッコいい。同じ時間を共有しているのだということが実感させられて上がったし、リリックにある<歴史が動く 今がその時>の一節がいつも以上に沁みた。
MCでは「俺とJQさんの共通点と言えば、ドスの効いたヒップホップが好きってところだと思うので、ラップして、JQさんに見せたいと思います」という宣言があり、それに対してフロアから大きな拍手。もちろん、Jeremy Quartusに対してのみの提示ではなく「これがSkaaiのヒップホップだって覚えて帰ってください」とオーディエンスに対する気合いも十分だ。バンドサウンドの上でラップをするという選択肢を取ったSkaaiにとって、自分だけのやり方で自分のヒップホップを表現するというのは挑戦であり証明である。その気迫がライブ全体を通じて感じられた。ひと際アグレッシブなアクトで「Am I sick?」を披露した後、今日の対バンは個人的にすごく嬉しいこと、と話すSkaai。「でも、対バンをするとなったならバトルなんでね」と攻勢を緩めない。
その後、ゆったりと踊れる楽曲を経て、「話そう」と立ち止まってMCに。そこでは「Skaaiには、この人たち(バンドメンバー)のエッセンスが盛り込まれ過ぎていて、みんながSkaaiという感じです。こういう風に音楽を作ることができてめっちゃ幸せだなと思っていて」と、今の制作や活動に対しての心情を語りつつ、しかしながら音楽を作ることは、どこかで仕事と遊びを区別して踏ん切りを付けなくてはいけない部分もあるとSkaai。


「だが、今はそんなことを気にしないメンバーと一緒にやっていて、みんなでいいものを作りたい」と語り、そんなことを経て率直な思いを歌った大切な曲だという「MILLION」へ。そのメッセージはリリックにある通りだ。どこまでも熱く音楽愛をバンドと共に奏でたSkaai、最後は「FLOOR IS MINE」を経て「あとはJQさん、よろしくお願いします」で締め。さて、このJeremy Quartusへの挑戦状に対して、どう応じるか。

「こんばんは、Skaaiくんに食われたJQです。Skaaiくんの胃袋から本日はお届けしたいと思います」と、Jeremy Quartusのステージに登場しての第一声。貫禄である。ストラトを片手に「HOLY」の弾き語りからバンドがステージにイン。
セットチェンジから地続きに、自然な形でライブがスタートした。

「会場が静か」と檄を飛ばしつつ「ほどいていくよ、緊張を!」とフロアに語りかけるとオーディエンスも「は~い」と笑顔で応答。もっと自由に身体を揺らして音楽を楽しもうという誘いから一気にフロアも揺れ出していった。「Back To Paradise」のイントロが流れ始めると、自然と歓声が上がり、いよいよステージとフロアの一体感が生まれ始める。

「踊りましょう!」という言葉からの「Relapse」ではサビで一斉に手がステージに差し伸べられ、ライブを全身で楽しんでいる光景が広がっていた。
ドラムセットに移動するJeremy Quartus。フロアが温まってきたことを確認し、「サビは全部お任せしていいでしょうか?」の呼びかけからNulbarich時代の楽曲「On and On」に。しっかりとサビを歌い切っていたフロアの様子を見ると、当時からのファンも多く訪れていたことが理解できた。

ライブ終盤では「楽しんでいますか?」のMCに大きな拍手と歓声のアンサーがあり、「よかよか、余は満足じゃ」とJeremy Quartus。その後も、ドラムを演奏しながらもハンズアップを呼びかけたり、「Enjoy!」と常にフロアの熱をキープするようなパフォーマンスが続く。
MCにて「音楽に対する、いい企みって応援したいじゃん」とSkaaiのライブを受けての言葉。そこから、SkaaiもMCで語ったこととオーバーラップするように、音楽を作ること、アーティストとして届けることの実情を話した後に「企みっていうのはいろんなところで起きます。でも、そういうものだと思って、出会った人と人とか、耳から耳とか。この世の中で小さな何かを探しに行くっていうのでいいんじゃないかな」と語った。誰かが悪いということを追求するのではなく、「大切にしましょう、僕たちの言葉と、今感じている、この雰囲気を」と、この場への愛を話し、「僕たち2つのグループはさらに飛躍していくつもりなので」という結びから、メンバー紹介を兼ねてのセッションを経て「イヤなことはどこかに、そういう曲です。よかったら家に帰ってまた聴いてみてよ!」という言葉から「BIG BUG BEAR」に繋いだ。

さながらホームパーティのようなリラックス感と、自分だけに語りかけてくれるような親近感がありつつ、同時にフロア全体が一体になるという高揚感もあり。とことん演奏に没頭して音楽に身体を揺らすことができる時間であった。
音楽というカルチャーの力強さと楽しさを五感に感じつつ、それが人の考え方や行動に大きな影響力を持つものなんだな、という再認識した夜でもあった。そんなパッションを感じたのは、この日の『EYESCREAM NITE』ならでは。ロマンティックで素敵なバトルだった。
ARCHIVE









