日本の音楽シーンの中で、とてつもなく大きな存在であるのに、その内に存在している感覚がまったくない。枠に収まらない、という形容は彼らのためにあると思う。常に自由にカッコよく音楽を表現し続けるアーティスト、Suchmos。6月20日にミニアルバム『THE ASHTRAY』が発表されるが、このリリースに至るまで、メンバーには幾つもの葛藤があった。本誌初のカバー出演に際し、Suchmosの今について、YONCE、TAIHEI、TAIKINGに聞く。
ー現在、Suchmosは2マンライブツアー「The Blow Your Mind Tour」の真っ最中ですね。ツアー後、6月20日にミニアルバム『THE ASHTRAY』がリリースされる流れで。
YONCE「そうですね。対バンは久しぶりのことなんですけど『あ、今まで孤独と戦っていたんだな』なんてことにメンバー各々気づいて。特にオレたちにとって、この作品に向き合っていた時間は1人1人の戦いだと感じていたんですが、それがけっこう長かったような気がしますね」
TAIHEI「そうだね、メンバーそれぞれ個人プレーで周囲からくるノイズと対峙していたよね。それがオレらにとって大事な時間だった。その経験を経て、それぞれ個人として、より確立できた感じがある」
YONCE「それも『THE ASHTRAY』という作品ができた今だからこそ感じることだよね。世が開けたような感覚というか」
ーバンドを取り巻く環境の変化に対応していく作業が必要だったんですね。
TAIKING「そうですね。楽曲の作り方も変化していったんですよ。これまでオレたちは新曲ができたら、すぐにライブでやって、そこで得た感触を、そのまま音源にぶつけるようなやり方をしていたんですが、バンドの規模が大きくなるにつれ、様々な事情も関係してきて、レコーディングをしてから新曲を披露する、という形に変わっていったんです」
YONCE「自分たちへのインプットを表現へ昇華させていく間に、メンバー各々の迷いがあったり、不確かなものを手探りで求めていくような感覚がありましたね。そこを全員で個々に切り拓いていったんです」
ーライブをやる規模感が大きくなることで、今まで通りにはいかない部分もありました?
TAIHEI「やっぱり、規模が大きくなるなかで、今までと同じ感覚で音を鳴らしても届かないんですよ。オレたちのフィジカルとロックなスピリット、加えて成熟度も上がっていかないと、地に足のついた6人の音として表現できないですからね。3万人のフェスで30分やるのと、自分たちのホームで1時間やるのは全然違う。『THE ASHTRAY』が完成したときに、そういう感覚を皆で確認し合えたんです」
ーなるほど。『THE ASHTRAY』は新たなSuchmosのスタイルが表現された作品となったんですね。
YONCE「いや、そこまでは断言できないというか。ある意味では、Suchmosが今まで作ってきた筆跡みたいなものを壊したと思うし、崩す方向へ向かったんですが、それは、バンド本来の正しい姿だと思っているので。オレたちは、常に自分たちで新たな形を構築し、それを壊し続け、崩して新しい方向へ向かうことしかできないので、必然としてそうしているんです。でも、それが大変だった、楽じゃねぇぜって(笑)」
TAIKING「本当にそうだね」
TAIHEI「結果的に、自分以外のメンバー5人に対するリスペクトが深まるということに繋がったし、この6人で音を出すということが、どれだけヤバいことなのかって、今までわかっていたことが改めて腑に落ちた感じがしますね」
YONCE「うん。当たり前のことすぎたから意識もしてなかったことだけど、そういう時期をメンバー各々が乗り越えて作品ができて、より確かなものになった感覚はあるよね」
ー今作にはスケールの大きいロックな楽曲が多く収録されているように感じました。そこは意識されたことですか?
TAIKING「所謂ジャンルとしてカテゴライズされているロックを表現しようとはしていないんですけどね。それこそ『THE BAY』や『THE KIDS』の頃と比較しても、オレたちのサウンドはひっくり返るくらい変化していると思うので、これまでとは当然、違う音がなっていると思います」
TAIHEI「オレたちがカッコいいと思うものを、それぞれに聴いて、6人でぱっと好きな音を出す。そのうえで勝つ、という精神感がオレたちのロックなんじゃないかと思っていて、そういう意味ではロックしていますね」
YONCE「自分たちが心地よいと思うムードに従って、制作していたことは間違いないんですけど、やっぱりオレたち自身が持っているコンパスが差している方向は、そういう大きいサウンド、大規模なところで鳴る音だったので、無意識にそういうのが出ているのかもしれませんね」
ー『THE ASHTRAY』は2018年NHKサッカーテーマソングである『VOLT-AGE』などのタイアップ楽曲が収録されている点も目を引く作品ですね。
TAIKING「今作にはタイアップ曲も2曲収録されているわけですが、それぞれバンド以外に関わる人が増えることで、色んな人からの意見を聞きながら制作する曲もあったんですよね。求められるものも本当に数多くあって。でも、オレたちとしては何だろうと、カッコいいものを作らなくては意味がない。オレたちらしいカッコいいものを仕上げていくことは、思っていることと現実が異なることもあったし、すごく難しかったですね。でも良いトライになったと思っています」
INTERVIEWの続きは、EYESCREAM本誌7月号COVER STORYをご覧ください。
INFORMATION
【Suchmos THE LIVE YOKOHAMA】
11月24日(土)
会場:神奈川横浜アリーナ
時間:OPEN 17:00 / START 18:00
料金:全席指定 ¥6,500
Info:
HOT STUFF PROMOTION 03-5720-9999
11月25日(日)
会場:神奈川横浜アリーナ
時間:OPEN 17:00 / START 18:00
料金:全席指定 ¥6,500
Info:
HOT STUFF PROMOTION 03-5720-9999
【チケット】MiniAlbum封入先行:
6月20日(水)10:00~7月2日(月)23:59
チケット一般発売:9月1日(土)