レッドブルが手がける都市型音楽フェスとして、2017年の東京初開催を皮切りにニューヨーク、ロサンゼルス、パリ、サンパウロ、トロント、イスタンブールなど世界各地に広がりをみせている「RED BULL MUSIC FESTIVAL」。東京では過去2年、秋に開催されていたが、今年は4月に2週間7イベントとして行われることがアナウンスされた。

一挙に発表されたラインナップを見てみると今年は例年になく、なんとも尖っている。屋内ローラースケートリンク、能楽堂、庭園、そして都内某所でのウェアハウスパーティーなどを舞台とし、どれもが多様なクリエイティビティに満ちた時間・体験となりそうだ。

初日はエキゾチックでアヴァン、そしてメランコリックな音楽で注目を集めるイラン人女性シンガー／プロデューサーのSevdalizaの初来日にはじまり、USヒップホップシーンに新たなスターをガンガン送り出し、アジアンカルチャーの新たなプラットフォームとして世界中から注視される〈88rising〉とのコラボレートイベントにはAUGUST 08が来日するほか3月末にレッドブルから公開予定となっている88risingの長編ドキュメンタリーに登場するAwich、Jin Doggらも出演。

BOREDOMSのコアメンバーであり、OOIOOやSAICOBABなどでも活躍するYoshimiOの初となるレクチャーとSAICOBABのパフォーマンスはセルリアンタワー能楽堂にて。東京のLGBTQナイトライフには欠かせない、過剰にハッピーなジェンダーレスパーティー「fancyHIM」には現行のボールルームハウス〜ヴォーグカルチャーを代表するMikeQやビョークのメイクを手がけるベルリンのドラァグクイーン／アーティストのHungryらも登場。直前まで会場を非公開としたウェアハウスパーティー（こそ、クラブカルチャーの原点でもある）にはカナディアン・エレクトロの才媛Marie Davidsonや、エクスペリメンタルなテクノを鳴らせるロシア出身のMachine Womanらがクレジットされている。

そして「A ROLLER SKATE AFFAIR」というタイトルからしてすでにウキウキしてくる東京ドーム ローラースケートアリーナでのパーティーは、70年代後半〜80年代に海外で流行した「ローラースケートディスコ」を再現するという。出演するのは米西海岸〈ストーンズ・スロウ〉よりモダンファンク〜ブギー〜ファンクの伝道師＝DâM-FunKとForce Of NatureのKZAとなりゃゴキゲンすぎる！といったフェスティバルのフィナーレは、由緒ある庭園である浜離宮恩賜庭園でアンビエント・ミュージックと自然が溶け合って……、という粋。

先鋭化しながらも、純度の高い好奇心と遊び心がみなぎる7イベント。たとえば出演者のことをここではじめて知ったとしても全然よくて、ちょっとでも引っかかるものがあれば現地へと向かってみれば、それだけでもう毎日は変わっていくはずだ。