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Ryan Hemsworthは常に冷静で穏やかに話すプロデューサーだ。カナダで生まれ育った彼は、その冷静な視点からヒップホップ、エレクトロニックミュージックなどから、アフロビーツからJ-Popまでを独自の視点でディグし続けてきた彼は、これまでに3枚のソロアルバムをリリース。昨年リリースした最新作の『Elsewhere』は、その幅広い視点を生かし、USのラッパーからUKのアフロビーツのアーティスト、そして日本からはTaquwamiやTomgggなども参加した彼にしかなし得ないラインナップの作品となった。
そんなRyan Hemsworthが唯一無二の存在感をほこるゆるふわギャングとのコラボEP『CIRCUS CIRCUS』を3月にリリース、現在アジアツアーを敢行中だ。福岡・東京・大阪での日本編の開催を前にRyanに今作について訊いてみた。
日本通としても知られるRyanは、ゆるふわギャングとは前作『Mars Ice House Ⅱ』でも”Speed”を提供しており、さらにRIRIやMANONといったアーティストにも楽曲を提供してきたが、その際の楽曲のやり取りはEメールがメインだったという。しかし今作でRyanとゆるふわギャングは昨年末からLAで一緒にスタジオに入り制作を行っている。「ゆるふわギャングのRyugo IshidaとNENEは実際のカップルだから、他のラッパーにはない親密な関係がある」とRyanは実際に2人と作業をしての印象を述べている。さらに2人の音楽性についてRyanは「でも面白いのはNENEはクレイジーでアグレッシブなフロウをもっていて、Ryugoはチルでレイドバックしたムードを持っていて、音楽性は正反対なところなんだ」と2人が好対照な音楽性を持っていることがいいコンビネーションになっていると付け加えた。
あわせて「ゆるふわギャングがラッパーとしての視点だけではなくプロデューサー目線を持っている」のに驚いたというRyan。「ゆるふわギャングやTohjiの面白さはラッパーという枠をこえて、自分たちの生き方とか、オルタナティブなものを持ち込もうとしているし、すごく音楽的な行動をしていると思う。しかも彼らは自分たちの道もわかっているし、それに対し自分がどれだけ貢献できるかっていうのは、すごく楽しみでワクワクする。」とゆるふわと一緒に新世代ラッパーTohjiの名前もあげて、刺激をあたえてくれる若いアーティストに対して賛辞を送っている。
時には自身も2人のリリックに対してアドバイスを行ったりしながら進んでいった、今回のレコーディングについて「ほとんど記憶がないんだ(笑)と笑い飛ばすRyanだが、”Fresh All Day”のミュージックビデオで、楽しそうにビートに乗る彼の姿をみれば、いいレコーディングだったといえるのは間違いないだろう。ビデオでは彼はほぼそのシーンにしか登場しないが、ビデオでは前に出たいタイプではないから問題ないという。「5%くらいの出方でOKなんだ。1つの印象的なシーンになればいいんだ(笑)僕はPuff Daddyとかとは違うから」と謙虚な性格の彼らしい答えが返ってきた。
先週のソウルから始まり、香港、上海と続いていっている2組のツアーは熱狂的な盛り上がりをみせているようだ。いよいよ今週福岡、東京、大阪と日本編がスタートするが、Ryanは「ダイナミックなライヴをみせたいと思っているよ。日本では日本のアーティストの楽曲もプレイするつもりだから、そのリアクションも楽しみにしてるよ」と最後まで冷静さは失わずに、しかし熱のこもった口調でインタビューを締めくくってくれた。