さて、日本の音楽史において”事件”として、個人的に私が記録した5月22日の出来事。恵比寿で起こった”コト”について、写真で振り返っておきたい。場所はLIQUIDROOM。常田大希率いるmillennium paradeの初お披露目パーティのことだ。
入り口で3Dメガネと注意書きが配布され、開演までステージ全面にピッタリと貼り付けられたスクリーンの映像を見て動作チェック。フロアと出入口は黒いベルベットで分断され、無駄な光が差し込まないように装飾されていた。この幕で囲まれていて、ハコ（フロア）にぶち込まれている感じがゾクゾクした。まるで、これから見てはいけないものが始まるような、何かの禁忌に触れるようなワクワク感。70年代、UKにある地下のライブハウスのパンクショウにも似たような空気が流れていたのではないだろうか。当事者じゃないので知らないけど。

ライブは、全編3D映像とスクリーン内にいるプレイヤーによる演奏で展開された。映像を手掛けたのは、もちろんPERIMETRON。楽曲に沿った3Dの世界が次々に繰り出される。ゴシックな雰囲気もあれば、近未来的なものもあり、表現しがたい抽象的なものもあれば、ドラマ仕立てのムービーとグラフィックが交差する演出もあり。millennium paradeという艦の中で、そこに機能している全員のクリエイションのすべてが1つの表現として集約されていた。その中央には常田大希が確かにいて、指揮者のようなアクトでライブを進行させる。

ライブ終盤にさしかかったところで演奏された「call me」では、プロジェクトに参加するアーティストの名前が次々に映し出されたが、そこには、”誰がこの空間を作っているのか”を示すシグネチャーのようなものを感じた。ここで参加したアーティストを列記しておきたい。

石若駿（Dr）
安藤康平（Sax, G, Vocoder）
江崎文武/WONK（Piano, Key）
ermhoi/Black Boboi（Vo）
新井和輝/King Gnu（Ba）
勢喜遊/King Gnu（Dr）

PERIMETRON
佐々木集（Producer）
Osrin（Director）
Yuhei Kanbe（CG Creator）

DWS
Cota Mori（Designer）
Backspace Productions Inc.
比嘉了（Visual Artist, Programmer）

INT
Kezzardrix（Visual Artist, Programmer）

上記の面々が作り上げたmillennium parade、ローンチパーティ。
顔を一切出さずに、音と映像を表裏一体として提示するライブに違和感を感じたオーディエンスもいたかもしれない。でも、最終曲が終了した後の割れるような拍手から察するに、この場にいた人には言葉にならない感動が生まれて、それが他者とシンクロしていたのではないだろうか。衝撃的刺激的、五感が震える、といった感想が大多数を含めているのも、それを裏付けている。ある意味、ライブを観たオーディエンスの感想が画一的なように感じられるが、その理由は3Dメガネをかけていたからだ。表現を広げるための道具により、逆に我々は一部の思考回路を閉ざしてステージを観ていたのだと思う。
顔を出さずにスクリーン越しに映像と共にライブするアーティストというと、過去のGorillazだとか。3D映像に合わせたサウンドを表現したライブで圧倒したFlying Lotusとか。それに対しての、現代東京からのアンサー、日本的混沌があったライブ。ボカロとか、そういうものとはまったく異なる次元で、顔の無いライブの、国内における基準を一夜にして構築し、その最高峰を見せつけられた気がした。
常田大希、曰く「…いばらの道、はじまったな～」。

その後、アフターパーティがLIQUIDROOMの2階で開催され、ここでもアーティストが演奏を行い、会場には独自の装飾がされていた。そのクオリティが何にしても遥かに高くって。とにもかくにも、恵比寿の外れの街中で観れるものでは到底、、、ない。ああ、もう…ちょっとした戦慄を覚えました。
今回、惜しくも観ることができなかった人は次回の公演をお楽しみに。でも、生半可な気持ちでライブを観ると吹っ飛ばされるので要注意。
改めて、先立って公開されているMV「Veil」を。

INFORMATION

millennium parade

http://millenniumparade.com/