PAELLAS

よりバンドらしく。輪郭あるサウンドへ

photography_Ryuta Seki

PAELLAS

よりバンドらしく。輪郭あるサウンドへ

photography_Ryuta Seki

東京を拠点に活動する5人組、パエリアズ。R&Bやロックの要素を感じさせつつ、完全にオリジナルなサウンドをロマンティックに聴かせるバンドだ。そんな彼らが新作ミニアルバム『D.R.E.A.M.』を発表した。新たなバンドの表現を形にした彼らに、その内容を聞く。

“枠を超えて世界へ飛び出していく、開かれた音楽を鳴らしたい”

トラッドなR&Bの世界観を
今っぽいサウンドで表現する

ー『D.R.E.A.M.』はパエリアズにとって約9ヶ月ぶりの新作ミニアルバムとなるわけですが、どのように楽曲制作されたんですか?

Satoshi Anan(以下、Anan):僕がメインで作曲して、それをメンバーに展開しプリプロしながら音を選んでいった感じです。
MATTON:これは今までの作品と違う方法なんですよ。前はセッションをしたり、レコーディングしながら、1つの楽曲にまとめていくようなやり方をしていたんです。

ーそのような変化が生まれたのはなぜでしょう?

MATTON:パエリアズの今後を見据えたときに、誰か1人が制作のマスター的存在になった方がいいのでは? とずっと考えていたんですね。それで、アルバム『Pressure』辺りから、Ananが比較的メインで曲を書くようになってきて、今作で、その体制が整ったという流れがあります。

ー曲を書く際に、メンバー同士、表現したい曲を話し合ったり、打ち合わせたりはしない?

Anan:“こんな曲が作りたい”ってメンバー同士で話し合って製作を始めるというより、きっと“みんなの気分はこういう感じだろうな”ってことを意識して、雰囲気を汲み取ったうえで、僕が作りたい音楽を作るという感じですね。
Ryosuke Takahashi(以下、Takahashi): 僕らは普段から聴いている音楽を共有しているので、それをAnanが解釈し、曲を作っているんじゃないかと思います。

ー『D.R.E.A.M.』の制作期間中に、皆さんが聴いていた音楽は?

Takahashi:最近の有名どころを上げるならTHE WEEKNDとか。でも、80年代の音楽も多かったよね?
msd. : シックな楽曲をメインで聴いていた気がする。
MATTON:そうだね。というのも、今回のサウンドを構築していくうえで、トラディショナルな音楽を現代流に表現しようという考えがあったんです。

ーそういった考えが根底にあるからか『D.R.E.A.M.』にはR&B感を強く感じたというか、踊れるリズムだと思いました。

Anan:前提として踊らせるために作ったわけではないんですけどね。前作よりも、自分たちらしいポップさを表現して、開けたサウンドにしようという気持ちが強かったので、その意識がリズムやメロディを強くしたんじゃないかと感じています。結果的に、踊れる音楽としても捉えられる内容になったのかと。

ーシンセの音も一聴して印象に残りました。

Anan:今までは、インディR&Bの雰囲気やイメージを軸に作っていたんですが、今回はそのやり方を発展させて、メロディやリフを広げていくような作り方でしたから。聴いたときにフックになる部分を、今までより多く入れていると思います。

ーリズム感も一定して落ち着いたテンポですよね。心地良く体を揺らせる感じというか。これには理由があるんですか?

Anan:ちょうど、自分が好きなR&Bがこの位で。体感的に踊りやすいテンポ感なんですよ、自分的に。今作でちょっと速い楽曲というと、bisshiが作った『Eyes On Me』ですね。
bisshi:自分は80’sのパンクやポップスも好きなので、その辺りを彷彿させる真っ直ぐなリズムで作りましたね。シャッフルだったり、自分的に新しい表現を取り込んで表現したのが『MOTN』。ハウスに、少し揺れたリズムを入れて、生楽器でバンドっぽくやるハウス、というのをテーマにやってみました。
Anan:今までやってきたことをどんどん進化させていきたいし、同じことを繰り返してやりたくないって考えのメンバーが集まっているので、バンドの変化をいかに伝わりやすくパエリアズらしく収めるのかを自分の中のテーマとしてやっています。
MATTON:前作を踏まえて、次はもっと良いものを。今までやってきたことを土台として、バンド全体でアップデートしていこうということは常に意識していますね。

ー明確に変えた部分というのは?

bisshi:バンド以外のメンバーが作品に参加している点ですね。今回はシンセサイザーを自分たちが好きなシンセ奏者に頼んで音作りをしてもらいました。
Anan:前作では自分たちでやっていたんですが、信用しているシンセ奏者に依頼することで、いい音を表現できたんですよね。それによってバンドの世界観が広がったんです。シンセは『Pressure』では主役だったんですが、今作においては楽曲の味付けや広がりを持たせる役割を担っていて、そのクオリティが上がることで、確実に作品の質が変わりました。
Takahashi:前作は自分たちですべてを作っていたし、全部やりたいという気持ちがどこかにあったんです。でも、変なプライドがなくなったことで、いい意味で音1つ1つにこだわりを持てるようになってきたのかな、と。
MATTON:そうだね。『Pressure』にはベッドルーム感があるというか、プライベートな印象がある。でも、開かれた新しい音楽を作るんだったら、自分たちだけでは表現できない世界へ飛び出していく音を表現しなくちゃいけないですからね。シンセは特に、自分たちを大いに羽ばたかせてくれたという感じがします。

※インタビュー本編はEYESCREAM10月号にて。

PAELLAS “Shooting Star” (Official Music Video)

INFORMATION

PAELLAS

MATTON (Vo)、Satoshi Anan (Gt)、bisshi (Ba)、Ryosuke Takahashi (Dr)、msd. (Sp)からなる5人組。
あらゆるジャンルの要素を独自のセンスで解釈し生み出すサウンドは、セクシュアルかつロマンチック。都会に漂うメランコリックな情景やその儚さを想起させるライブパフォーマンスも支持され、あらゆるシーンや時代を超えた存在になる可能性を秘めている。

MINI ALBUM『D.R.E.A.M.』発売中
paellasband.com

POPULAR