THA BLUE HERBロングインタビュー。ヒップホップという生き様、リアルであり続けること

photography_Peta Matsumoto, text_Shoichi Miyake, edit_Takuya Nakatani

THA BLUE HERBロングインタビュー。ヒップホップという生き様、リアルであり続けること

photography_Peta Matsumoto, text_Shoichi Miyake, edit_Takuya Nakatani

THA BLUE HERBの7年ぶりとなるニューアルバムがリリースされる。しかも、自身初の2枚組となる全30曲、その名も『THA BLUE HERB』である。結成から22年、間違いなくその集大成を刻むものであり、そして新たな一歩を踏み出す超大作。ILL-BOSSTINOO.N.Oにじっくり語ってもらった。

このアルバムはキャリア中盤の最初の一歩

ILL-BOSSTINO

─どこから訊いていけばいいか迷うんですけど、まずはしっかり食らいましたということをお伝えします。

ILL-BOSSTINO(以下、BOSS):ありがとう。

─アルバムの話の前に、この4月にサブスクを解禁したじゃないですか。あれはTHA BLUE HERBにとって大きな決断だったと思うんですけど、やはりこのアルバムが完成したからこそ解禁に踏み込めたところもあるのかなと。

BOSS:それもあるね。このアルバムの前にまたみんな(リスナー)を集めたかったし。俺らは形に残る作品に重きを置いているけど、そうじゃない音楽の聴き方を支持している人たちもたくさんいる。もちろん、俺らはみんなに聴いてほしくて音楽をやっているから自分らのほうから「聴いてほしい」という意思を示す意味でもこのタイミングがベストかなと思ったね。

─いつかは、と思っていた?

BOSS:思っていたよ。やらないわけにはいかないだろうなって。ビジネスでもあるからね。

─このタイミングでサブスクを通じてTHA BLUE HERBと出会うリスナーも多いと思います。

BOSS:それは本望だね。俺らは今47(歳)で、同世代の人たちの楽しみのためだけに音楽を作っているわけではないし。かと言って、19、20(歳)の人たちの気持ちを歌っているわけではないけど、でも、少なくとも今の若いラッパーも含めて面白い人はたくさんいるから。その人たちと同じ土俵に自分たちの音楽も乗せたいよね。俺たちからそこに乗っていかないと勝負にならないじゃん? ただ、新しいアルバムはすぐにサブスク解禁はしないよ。全30曲の曲順を自分たちなりに熟考して構成して、まずはその流れの通りに楽しんでほしい、聴いてほしいという思いがあるわけで。アルバムだからね。

O.N.O:俺も新しいアルバムはまずはCDで聴いてほしいな。

─O.N.Oさんはサブスクに対してはどういうスタンスですか?

O.N.O:俺は全然OK。DJもデジタルでやってるしね。でも、THA BLUE HERBはフィジカルで戦ってきてるからね。

O.N.O

─では、ニューアルバムの話を。まず、THA BLUE HERBが7年ぶりのニューアルバムを出す、それが2枚組という時点で驚かされたんですけど。

BOSS:誰も予想しないよね。

─まさに。そして、その内容が確実にこれまでの集大成であると同時に未来の道筋も提示している。すべての面において決定的なアルバムだと思うし、確かにこれは満を持してセルフタイトルを付ける理由を完全に満たしているなと思いました。この大作が完成した率直な実感、手応えはどうですか?

BOSS:ベストだね。現段階でこれ以上はない。アルバムを作る度に毎回ベストだと思っているけど、俺はこのアルバムはキャリア中盤の最初の一歩だと思っているのね。2017年10月の日比谷野音までの一連の流れで結成20周年に対して十分けじめをつけた。で、ここからまた新しく物事を始めるには今がほんとにいいタイミングだから。さっき言ったようにサブスク云々もそうだし、音楽業界はどんどん変わってるし、若いヒップホップのアーティストもいっぱいいる。そこは、THA BLUE HERBがどういう人間なのかということをリアルタイムでフレッシュに提示して、このアルバムを名刺代わりにしてここからまたガッツリいこうと思っているから。そういう位置づけとしてもベストだね。

─しかもリリックに「令和」とか「イチローの引退」のトピックも出てくるので、そんなに最近まで書いていたんだとビックリしました。

BOSS:ギリギリまで作ってたからね。リアルなタイム感だよね。

─O.N.Oさん、どうですか?

O.N.O:今回はわりと落ち着いて作れたところがあって。余裕だったよ。ぶっちゃけ3枚組の領域まで足を突っ込んでいたからね。

─マジですか!?

BOSS:「CDって規格的に何分まで入るんだっけ?」っていう話になって。それで入れなかったトラックもめちゃくちゃある。だから自分たちが今持っているパーツをすべて集めてなんとか作りましたとかでは全然ないよ。あと半年あったら余裕で3枚目までいけたね。

─すごいな、それは。めちゃくちゃ滾っていたんですね。

BOSS:そう。自分たちがそれを知れてよかったよ。俺らまだ全然イケるってね。

O.N.O:だから「やり切ったね」という話もするけど、同じくらい「まだいけるね」と話す感じ。アルバムのレコーディング終わってからも、もう2曲録ったからね。

─え、そうなんですか?

BOSS:アルバムのトレーラー映像用とMVのイントロ的な感じで。それもなまらいいよ。だから、レコーディングが終わった心境としてはまだまだいけるという感じ。ここからはだんだんライブモードになっていくけどね。

THA BLUE HERB “前口上”

─すでに次のフェイズが始まっている。

BOSS:そう。ここから一新してイチからよろしくという感じ。

─あらためて、O.N.Oさんのトラックメイクについて訊きたいです。落ち着いて作れたということでしたが。

O.N.O:そう。止まらずに作れたというかね。作っている途中から音の方向性が偏らないように考えながらしっかり向き合って作れた。曲数も多いから、常に全体を見渡して。そういう意味でもアルバム単位で聴いてもらえるとうれしい。

─2枚組でいくと決めたのは?

BOSS:アルバムを作る前。野音が終わったあとだね。今までやってなかったことをやりたいという思いでずっと活動してきたから。4年前にリリースした俺のソロアルバムもそういう気持ちで作ったし。野音もそうなんだよね。これまでやってない会場はどこだ? って思ったら「野音でやってないね」ってなって。2枚組にしたのもそういう発想のひとつ。音楽を作る人間にとってはいつか越えなきゃいけない壁だと思っていたし。

─でも、THA BLUE HERBの場合、2枚組の重さが他とは違いますよね。

BOSS:フィーチャリングもいないし、俺ら2人だけだしね。結果的にはなんの問題もなかったけど、できるかできないかわからないくらいじゃないとやっぱり面白くないよね。過去の自分たちを超えたいから。そのためには自分たちに負荷を課すしかない。実際、作り始めてから半年くらいは苦労した。

─苦労というのはどういうニュアンスですか?

BOSS:書いても書いても理想に追いつかないという感じだね。

─言葉は出てくるけど?

BOSS:そう、出てくるけどある一定の基準を満たしてないと消えていくから。10曲書いた段階でもまだできるかどうか半信半疑だったね。

O.N.O:俺はその10曲できたくらいのときは「これをあと20曲か……10曲作るのに30曲分くらいから選抜しているから、あと何曲作らなきゃいけないんだ? あと60曲か?」って思ったけど、「まあ作るか!」って感じ(笑)。

BOSS:そうだね。結局、俺たちは自主制作だからさ。誰かに何日までに作ってほしいなんて言われないわけ。そうやってずっとやってきたから。

─表現としてほんとはそれがベストなあり方ですよね。

BOSS:だから、自分から動かなきゃいけない。自分で自分を上げて、自分で自分をその気にさせないとダメなわけさ。気楽な反面、それが大変でもある。

─O.N.Oさんは2枚組になると決まったとき、どう思いましたか?

O.N.O:「面白いね!」って思った。けっこうノリで決めたんだよね。

BOSS:そう。2017年の忘年会で決めた気がする。

O.N.O:しばらく経ってからアルバムの話になって(BOSSが)「30曲だよね?」って言ってきて、「そうだっけ!? そういえばそんな話したね! いけるっしょ!」って(笑)。

BOSS:だから(インタビュアーの)三宅くんが2枚組に対して「マジで!?」って驚いてくれたのはバッチリの反応で。47歳で、キャリア20年超えで、しかも7年ぶりのアルバムでそうくるとは誰も思ってないじゃん。

─まさにですね。

BOSS:今、かっこいい若いラッパーがたくさんいるからさ。さっき言ったようにそいつらと同じ土俵で勝負したいじゃん。それがヒップホップだよ。やっぱり負けたくねえもん。これはMCバトルに出てお客さんにジャッジしてもらうような勝負じゃない。長い勝負なんだよ。こっちは一小節書くまでにじっくり時間をかけて10年20年と残る作品を作っているんだよっていう。そういう勝負をずっとやってきたし、俺たちはそれで生きてきたから。

─今作のビートはエレクトロニックな気配が影を潜めて、ヒップホップオリエンテッドというか、ある種バック・トゥ・ベーシックスとも言えるニュアンスが強いビートだなと思って。

O.N.O:そうそう。サンプリング的な要素を意識してフレーズを弾いて。今回はエレクトロニックな音色をなるべく使わないようにした。楽器を想像できるような音をチョイスした。加えて、あまり奇抜なエディットもしないように。コード進行と音符を感じてもらうことを意識して。さらにワンループ的な構成でありながら、Bメロいってからフックみたいな王道の作り方も取り入れて。イメージとしては1stアルバムのビート感が俺の中ではあった。これからライブをやっていくことで、BOSSのラップはどんどんキレキレになっていくわけで。でも、ビートは基本的に完成したらそのまま作品からライブにいくわけだから、ずっとライブで強く鳴るものにしなきゃいけないという意識があった。俺はステージに立たないからね。客席側からTHA BLUE HERBのライブを観ることができる唯一のメンバーだから。

─それも最高ですよね。

O.N.O:そうなんだよね。PA卓の真ん前に行って客と一緒に歌ったりとかね。わりと詳しいファンみたいな(笑)。

─あははははは!

O.N.O:そういう状況にいられるからよりフロアの音を意識できるし。

─キックの音、ヘヴィーですよね。

O.N.O:うん。マシン的なキックは使わず、ブレイクビーツ感を意識した。さらにコンプ感を抑えて、現場ではもっと深く鳴るように。今回は聴感だけじゃないところでもコントロールしたかった。

─今回、O.N.Oさんの中でヒップホップ然としたビートを意識した理由はなんですか?

O.N.O:やっぱりonomono名義でテクノをやってる影響もあるのかな。エレクトロニックなトラックはソロで表現できているのもあるし。あとはO.N.O名義でDJをする現場も多くなっていて、そこでブレイクビーツが面白いと改めて思うようになったのもある。そういう新しい曲を探すとあまりなかったりするから。ブレイクビーツ的なビートをちゃんと作ってる人が減ってるのかもしれないなと思って。そこは意識したね。

─BOSSはO.N.Oさんのビートをどう受け止めましたか?

BOSS:こういうビートを求めてたね。ライブのことを考えるとシンプルなビートを求める傾向になってきていたから。それは言葉をちゃんと聴かせたいという意味でもあって。そういう意味でもベストなビートが揃ったと思う。今まではライブをやっていくうちに、曲によってはビートを差し替えることもやってきていて、俺にはヒップホップ的な楽しみでもあるわけ。でも、これからはトラックはできるだけオリジナルのままでいこうと思っている。だから、今回は今まで以上になるべく音源の段階で完璧なビートを求めたよね。ほんとに、O.N.Oは根気強く最高のビートを作ってくれたね。

O.N.O:やっぱりお互いそういうふうに考えてたんだって感じだよね。作っているときは特にそういう話をしたりしないからさ。

システムに組み込まれず、本当に戦いたいやつと戦う

─ラップに関してはDISC 1とDISC 2でトピックの線引きを意識したところはありましたか?

BOSS:いや、そのラインは引いてない。DISC 1の1曲目からDISC 2の最後の曲までどうやって1つの流れで聴いてもらうかということだけを考えて曲を並べた。それはライブの構成を考えるのに近い感覚で。このアルバムのトータルタイムは2時間半。俺らのライブは2時間超えもざらにあるんだけど、それだけの時間を付き合ってもらったあとに徒労感だけを残しちゃダメじゃん。やっぱり、ある種のカタルシスなりポジティブな気持ちを感じてもらいたいから。笑って別れたいからね。そのためにはどういう曲の並びがベストなのかということを考えたよね。

─なるほど。個人的にはDISC 1は外に向かっていく力が強く、DISC 2は自分自身の内なるものと対峙し、それを経て未来に向かっていくような感触が強いなと思ったんですね。

BOSS:批判精神も含めてわりとDISC 1のほうがダークだし、重いと思う。そこからリカバーする時間がどれだけ必要なのかということを考えると、やっぱり重い曲は前に置かざるを得なかったよね。ダークな曲はとことんダークだし、重たい曲は重たいから。そこから立ち上がってポジティブなところにもっていくにはそれなりの時間がかかる。

─DISC 1ではハッキリとMCバトルシーンに対する違和感を表明していますよね。

BOSS:やっぱりバトルシーンだけじゃなく、世の中のことも含めて「それ、ちょっと違くね?」と思うことに対してストレートに言うのが俺のヒップホップの原点だから。バトルシーンのことを全否定しているわけではないし、そこに出ているプレイヤーたちに対してリスペクトしていることもちゃんと伝えてはいる。でも、やっぱりなぜ俺らがアルバムを出しているか、なぜ今回は2枚組で出すかということもすべてそこにたどり着くんだけど──今はバトルも含めてどれくらい早く生み出して、どれくらい早くそれを届けて、どれくらい早くそれを消費させ、どれくらい早く回転させていくかということがトレンドになってる。でも、俺らの22年間のキャリアで言うと、そんなトレンドなんてここ2、3年の話なわけ。確かにそれもヒップホップかもしれねえけど、俺はそれがヒップホップの核心だとは思えないから。俺自身もこの20年、いろんな人間を削って札幌から上がってきた人間よ。でも、当時は人を削らなきゃシーンにエントリーできなかったからやった。だから今、バトルをやってる彼らの気持ちもすごく理解できるけど、一つ言えるのは俺たちはそれだけじゃここまで来れなかった。いろんな人間と会って、いろんな価値観を知って、そこで自分の意見を鍛えて、そうやって成長してきた。だから、そういうことを伝えたかったんだよね。それは、自分の過去の行いとの対話でもある。

─DISC 2の2曲目「TRAINING DAYS」に引用されているフレーズとかですね。BOSS に向けられていると噂されていたフレーズの内容や、THA BLUE HERBとの長らく緊張感のあった関係性を踏まえると、高揚せざるを得ない。ヤバいですよね。

BOSS:そうなんだよ。バトルで「殺す」とか「死ね」とか簡単に言うけど──俺も20年前は誰かのことを削っていたけど──その言葉一つ、同じ人間として向き合って清算するのに、たとえば「TRAINING DAYS」でのあのワードの引用が物語っている通り20年かかってる。人を言葉でディスるということはそれくらいのことなんだよ。本来だったらあの曲が発表された段階(1996年リリース)で引用することもできたわけで。それがヒップホップじゃん。でも、俺の受け止め方が幼くて、俺自身がそれをご破産にするような空気を作ってしまって、俺らと彼らの関係性がよくなくなってしまった。でも、お互いヒップホップをやり続けて、だんだん距離が近くなって、理解し合って。今では俺は彼らに対して親しみしか持ってないから。同世代としてこうやって生き残ってさ。やっとできたんだよ。だから、バトルだなんだって日々いろんな人間と言い争いをしているラッパーの言葉と、俺たちの戦ってる言葉は種類が違うんだよね。そういうこともすべて曲で表したかった。

─あとはアーティストとして作品を作ることの重みですよね。

BOSS:ほんとにそう。俺たちがどれくらいの時間をかけてアルバムを作って、どれくらい長いあいだ聴かれることを目指して作っているかという。最近のありふれた、短いスパンで消費されていくものとの戦いだよね。

─しかし、ほんとにあの引用はぶち上がりましたね。2016年の福岡のフェス「Sunset Live」ですよね。THA BLUE HERBと彼らが同じ現場で顔を揃えて、しかも出順もTHA BLUE HERBのあとが彼らという。そして、その打ち上げで一緒にクラブを3軒もハシゴしたとラジオで語っていて。

BOSS:そうそう。俺のほうから仕掛けたから俺から行くべきだったんだけど、なかなかタイミングが合わなくて。すべてあのタイミングでよかったと思う。戦いもヒップホップだけど、こうやって過去の自分が吐いた言葉に責任を持って、それを清算するという長い話。そのためにかかる時間がいかに長いか。バトルに出ているラッパーでもわかってる人間はきっといっぱいいるんだよ。だから俺はそのムーブメント、それを動かしているシステムに中指を立てる。「おまえら、そのシステムにいいように組み込まれるなよ」って感じ。「戦わされてるんじゃなくて、本当に戦いたいやつと戦えよ」って。それがヒップホップだよ。

─その覚悟を持って日米外交のあり方や東京オリンピックにもモノを言っている。

BOSS:俺は言葉の人間だからSNSとかでもいくらでも問題提起できるし、バズらせられるし、俺が何者であるかということを提示できるわけ。でも、そんなのラッパーのやることとは思えない。じゃあ、何で提示するのかって? 俺はラッパーだから、作品でちゃんと表現する。いろんな生き様に対する意見をこの何年間も蓄えていたから。それを全方位にちゃんと残したかったよね。

─仲間の死もそうだし。

BOSS:そう。

─あとご自身の家族についても……DISC 2の4曲目の「HEARTBREAK TRAIN (PAPA’S BUMP)」なんかはここまであらわに書くんだと思ったんですけど。

BOSS:あ、でもあの曲での登場人物は俺のことじゃないよ(笑)。あれはストーリーテリング。

──安心した(笑)。

BOSS:でも、めっちゃリアルでしょ? 想像とは思えないよね。仲間の死の曲は実話だけどね。

─DISC1の13曲目「TWILIGHT」ですね。

BOSS:この曲のリリックも、昔だったら悲しいトラックに乗せてたんだよね。でも、今回は挑戦として一番力強いトラックに乗せようと思った。

─威風堂々としたブラスのループが印象的なトラックで。

BOSS:そう。そこにあえて一番悲しいリリックを乗せた。それによって乗り越えていくという力強さを暗示している。それは今回俺たちが見出した新基軸だよね。

─「TWILIGHT」の1曲前の「HIGHER ON THE STONE」はレイドバックしたビートで旅情を歌っていて。

BOSS:メロウないい曲だよね。2枚組だとトピックも広いところにいけるからいいよね。

O.N.O:旅も俺らには外せないテーマだしね。

─チルなトラックでいえばDISC 2の7曲目、「一切空」のビートもいいですね。

BOSS:あれも美しいよね。

─そして、DISC 2のラスト手前を飾る「MAKE IT LAST FOR…」、このメロウかつアーバンとも表現できるソウルフルなトラックも新境地ですよね。

BOSS:この曲、俺も超好きで。この曲が最後にできたんだよね?

O.N.O:そうだね。このビートはBOSSが絶対好きだろうなと思って。今までと違う手法を試せて、制作も楽しかったね。

─この曲があるからこそ、大ラスの「LANDING」の緊張感が引き立つというか。

BOSS:そうだね。終わりがあって、またここから新たなストーリーが始まるということをすごく落ち着いて表現できている。

─アルバム全体をループできる構成ですよね。「一切空」のリリックに〈いつもパートナーには多くを求める 俺はあいつがいるから言葉を残せる〉というフレーズがあってグッときたんですけど、最後に改めて、BOSSにとってのO.N.Oさんのビート、O.N.OさんにとってのBOSSのラップはどういう存在かを語っていただけたらありがたいです。

BOSS:2人で2枚組のアルバムを作れたからね。しかもフィーチャリングもコーラスもなしで。俺ら2人とも音楽の教育を受けた人間ではないし、札幌の路上で遊んでた2人だから。そこから27、8年経ってもこうやって音楽をやれているということ。それはほんとに奇跡みたいなもんだと思う。ずっと健康でいてほしいなって思うよ。ILLな人だから(笑)。

─最高ですね。

BOSS:遊び方を見ていると心配になるよ。

─O.N.Oさんはどうですか?

O.N.O:BOSSのラップは間違いないでしょ。トラックのリクエストとかもすごい抽象的な言い方でくるんだよ(笑)。「エモいなかにも寂しさがあり、それがだんだん開けていくような」みたいな。そんなリクエストに対応できるの俺しかいねえよ! って思ってるから。

BOSS:そうだね(笑)。

O.N.O:BOSSのリクエストに応えることで俺のスキルもまた上がっていくしね。俺も健康でいてほしいと思うよ(笑)。

─そして、ここからTHA BLUE HERBはこのセルフタイトルアルバムを引っさげてライブモードに突入していくと。

BOSS:そう。楽しみだね。制作モードだったから、正直まだライブに関しては越えなきゃならないことが多い。でも、きっとできる。これまでもずっとそうだったから。

INFORMATION

THA BLUE HERB『THA BLUE HERB』

now on sale / THA BLUE HERB RECORDINGS
・通常盤
フォーマット:2CD(初回限定デジパック仕様、歌詞カード付属)
品番 : TBHR-CD-031
税抜価格 : 4,500円

・生産限定盤(インスト・ディスク付属4CD仕様)
フォーマット:4CD(インスト・ディスク付属、特製三方背ケース付属デジパック仕様、歌詞カード付属)
品番 : TBHR-CD-030
税抜価格 : 6,000円

・収録曲
[DISC 1]
01. RETURNING
02. EASTER
03. WE WANT IT TO BE REAL
04. 介錯
05. AGED BEEF
06. A TRIBE CALLED RAPPER
07. 凶兆序曲
08. THERE’S NO PLACE LIKE JAPAN TODAY
09. REQUIEM
10. GETAWAY
11. SUVARNABHUMI TRANSIT
12. HIGHER ON THE STONE
13. TWILIGHT
14. KEEP ON AND YOU DON’T STOP
15. THE BEST IS YET TO COME

[DISC 2]
01. DETERMINATION
02. TRAINING DAYS
03. 阿吽
04. HEARTBREAK TRAIN (PAPA’S BUMP)
05. UP THAT HILL (MAMA’S RUN)
06. COLD CHILLIN’
07. 一切空
08. LOYALTY
09. LIKE THE DEAD END KIDS
10. スーパーヒーロー
11. SMALL TOWN, BIG HEART
12. LOSER AND STILL CHAMPION
13. 今日無事
14. MAKE IT LAST FOR…
15. LANDING

THA BLUE HERB
5th ALBUM「THA BLUE HERB」RELEASE TOUR

8月17日(土)RISING SUN ROCK FESTIVAL 2019 in EZO
8月23日(金)町田CLASSIX
8月24日(土)中野heavysick ZERO
8月26日(月)名古屋CLUB QUATTRO
8月27日(火)京都MUSE
8月29日(木)広島CLUB QUATTRO
8月31日(土)福岡DRUM Be-1
9月01日(日)那覇Output
9月03日(火)大阪CLUB QUATTRO
9月04日(水)金沢AZ
9月06日(金)新潟GOLDEN PIGS RED STAGE
9月07日(土)熊谷HEAVEN’S ROCK (VJ-1)
9月10日(火)東京LIQUIDROOM
9月13日(金)郡山PEAK ACTION
9月14日(土)水戸CLUB MURZ
9月15日(日)川崎BAYCAMP 2019
9月18日(水)仙台enn 2nd
9月20日(金)山形Sandinista
9月22日(日)宇都宮HEAVEN’S ROCK 2/3 (VJ-4)
9月23日(月)つくばOctBaSS
9月28日(土)夏の魔物 2019
9月29日(日)江ノ島OPPA-LA
10月2日(水)札幌KRAPS HALL
10月4日(金)北見UNDERSTAND