10月1日発売のEYESCREAM NO.168から、多方面で活躍するガールズクリエイターにフォーカスした“DIVIDUAL GIRL”をお届けする。
WEBでは、紗倉まな(えろ屋/小説家)、小川紗良(女優/映画監督)、西村理佐(写真家/映像作家/アートディレクター)の3名をピックアップ。時代の多様性に寄り添い生きる彼女たちの心の内を覗いた。
RISA NISHIMURA
(写真家/映像作家/アートディレクター)
人間は本来矛盾する生き物なのに、資本主義社会においては論理思考とそれに基づくルールが大上段にあって、本能や曖昧さは後回しにされる。芸術とは、社会の中で窮屈に整列させられた心身の叫びなのかもしれない。
「私はすべて五感で判断しちゃうんですよね」と話す西村理佐は、そんな社会から0.5センチ浮いた、独特の存在だ。「今年、俳優の佐藤健さんのカレンダーのアートディレクションを担当させてもらいました。これまで7年以上続いてきたコンセプトを大きく変えるということで、自分にとっては大役だったのですが、なんとか納得のいく仕事ができたと思っています。キャリアじゃなく偶然や縁、人として選んでもらった気がして、それがすごく嬉しかったですね」。
さまざまな映像制作を軸に、新たに取り組んだアートディレクションの仕事に対しても真摯に向き合う。決めつけないやわらかさと強い芯を併せ持ち、自分のペースで表現に携わる。そんな中でも、写真に対する思いは特別だ。
「東日本大震災の津波で流されてしまった写真を洗浄するという活動があって、SDカードとかHDDとかiPhoneじゃ残すことはできなかったよなと思いました。インスタグラムは便利だしよく使うけれど、ちょっと怖い。写真という表現がないがしろにされている気がしていて、だからこそ写真は自分のものとして向き合っていきたいです。誰かに宣言したいわけじゃなく、自分の中で大事にしていることです」。