ロックシーンで沸々と話題を集める福岡県久留米市発の青春ロックバンド、ジ・エンプティ。彼らのロックは単純な青春ロックとは異なっていて、情緒があってメロディが美しく、リスナーの心に深く刺さる。
8月6日リリースの3rd EP『覚醒少女 e.p.』は、バンドの最先端を表現した内容であり、メンバー全員が1曲ずつ作詞・作曲を手掛けているというのも面白い。さて、自分たちにとってはどんなEPになったのか聞いてみよう。

偶然にも“大人”がキーワードになったEP
ー3rd EP『覚醒少女 e.p.』ですが、実にジ・エンプティらしいと感じました。自身にとってはどんな作品になったと思いますか?
ハルモトヒナ:メンバー各々が制作した楽曲が1曲ずつ収録されているというのは、自分たちにとって新しい試みでした。楽曲自体は自分たちがやりたいことを表現しているので、今の自分たちを詰め込んだ作品になったんじゃないかと思います。
トクナガシンノスケ:常に新しいものを取り入れたいという気持ちは毎作あるので、今回のEPにも新たな要素を加えることができたんじゃないかと感じています。
クガケンノスケ:自分自身すごく気に入っていますね。家でも車でもずっと聴いているし、自分が作った曲が初めてEPに入ったという意味でも大切な作品になりました。曲順も含めてめっちゃいいと思います。
カワカミタイキ:今までのジ・エンプティらしさもありつつ、演奏面においては今までやってこなかったようなフレーズも表現することができて、ちょっとずつ進化していることが自分たちにもわかるような作品になったんじゃないかと思います。
ーハルモトさんが仰る通り、今作はメンバーが各々で制作した楽曲が入っているのがポイントだと思います。曲を作るにあたってコンセプトなどを共有したりはしたんですか?
ハルモトヒナ:あえて共有し合うようなことはなかったんですけど、スタジオで合わせながら編曲していくので、自然と無駄なものが削ぎ落とされて統一感が出てきたような感じがします。だから、けっこうデモの段階から変化した曲もあったんですよ。
クガケンノスケ:例えば、自分が作詞作曲した「とまらない愛を」は2ビートの疾走感がある曲調だったんですけど、EPの全体像が見えていくにつれてミドルテンポな曲がないからってことでビート感を調整したりしたんです。
ーEPの全体像が見えた段階で細かなアレンジなども決めていったと思うのですが、軸になる楽曲はどれだったんですか?
トクナガシンノスケ:タイトル曲の「覚醒少女」ですね。この曲を軸にEPの構成を考えていきました。全体を通して一貫性が明確にあるわけではないんですけど、どの楽曲もたまたま“大人”というところに着目しているのが共通点になっているような気がします。
ーたしか、タイトルや歌詞に“大人”という言葉が散見されますね。各々で制作したのに、それが偶然一致するというのは面白いと思います。
カワカミタイキ:たしかに自分が制作した2曲目「曖昧」も自分の理想としてる大人像を歌詞で表現したので、“大人”というところに注目した内容になっていますね。
ーそこでいくと、他の楽曲はどんな内容でしょう?
トクナガシンノスケ:1曲目の「覚醒少女」は10代の感覚から見上げた大人という感じかもしれないですね。成長していくということを覚醒という言葉になぞらえて表現している内容でもあり、大人と少女という対比的な存在を描いた楽曲でもあります。
クガケンノスケ:3曲目「とまらない愛を」は、ストレートに人を愛せる大人になりたいっていう思いを描いています。普段は口にしにくいような内容でも、大切なことなのであればちゃんと伝えることができるカッコいい大人、そんな人に自分もなりたいんで。
ハルモトヒナ:4曲目「俺たち大人になれるかな」は、タイトルからして“大人”というワードが入っていますからね。今24歳で、自分たちは大人になれているのか? って自問する時があるんですよ。大学を卒業して年金の払い方を覚えて奨学金の引き落とし口座を変更して。そんな自分の今を踏まえつつ、小学校や中学校、過去のいろんな自分のシーンに飛びながら歌詞を描いています。ちょうど大人と子供の挟間に挟まれた今、大人目線で少しは考えられる僕らの視点、という感じがします。
ーCDのみ収録となる5曲目「BE FINE」はいかがですか?
ハルモトヒナ:これは“大人”という内容とはちょっと離れているんです。前作のEP『革命 e.p.』に「笑っておくれよ」って曲を入れているんですが、当初はもっと長い楽曲だったんですよね。その曲に収まりきれなかった部分をCDだけに収録することにしました。
ーCDだけにしたのは何か理由はありますか?
ハルモトヒナ:ライブハウスに来てくれるファンにちゃんと届けたいから、という理由がありますね。というのも、今年の5月に「輝き」という曲を配信リリースしたんですけど、この曲はライブハウスでしかやっていなかった曲なんですよ。そしたら、ライブハウスに通ってくれていた子たちが、配信で公開されたことに残念がっていたりしたところもあったので、そういう人たちにとって、自分だけの宝物になるんじゃないかと考えてフィジカルのみで聴ける曲にしようと思ったんです。会場やレコードショップに行って買わないと聴けないっていうのは不便だと思うんですけど、そういう風にCDを取ってジャケットを眺めながら買うかどうか悩むみたいな、そんな面倒だけど楽しいことをしてほしいって思うんですよね。

『覚醒少女 e.p.』の遊び方を一緒に考えていくツアーにしたい
ーありがとうございます。EYESCREAMでは初インタビューなので、みなさんの音楽的なルーツを教えてください。
ハルモトヒナ:僕はミスチルなんですよ。バンドを始めてから色々と聴くようになったんですけど、それまではミスチル1本でした。高校の頃にナインス(THE NINTH APOLLO、大阪のインディーズ音楽レーベル)を知ってパンクを聴くようになり、ハルカミライやエバヤン(THE FOREVER YOUNG)に出会ってどんどん広がっていったような感じです。
トクナガシンノスケ:僕はOASISとかが好きなんですけど、音楽として表現するうえでは歌謡曲から影響を受けていると思います。筒美京平さんの曲とか、吉田拓郎さんだとか。そういう昭和歌謡が根底にありますね。
クガケンノスケ:兄の影響でバンプ(BUMP OF CHICKEN)を知って、そこからバンドに興味を持つようになっていきましたね。その後は何か固定のバンドを聴き込むということはなく、本当にいろんなものを聴いてきました。ベーシストという意味だとティム・コマーフォード(Rage Against the Machineのベーシスト)とか、イケイケでカッコいいですよね。
カワカミタイキ:僕は昔からパンク系が好きでした。Green Dayから入ってスケートパンク系を聴くようになったので、ルーツは海外パンク勢ですね。
ーでは、音楽を作るうえで、良いインスピレーションを与えられるのは何からですか?
ハルモトヒナ:僕は自分の身の回りに起こったことや、そこに気づきを感じた時に曲を書いていると思います。中には、仲の良い友人が落ち込んでいて話をした時、何かアドバイスをしてあげたいと思っても説教くさくなるのがイヤだなとか思うじゃないですか。それで、密かに曲で表現したりすることもありますね。
トクナガシンノスケ:自分はやっぱり音楽から良いインスピレーションをもらいます。ただ、今ハマって聴き込んでいるのが、BUDDHA BRANDの『人間発電所』なんですよ。なかなかバンドに落とし込みにくいという(笑)。
ーいやぁ、HIPHOPの要素をジ・エンプティに入れるのもいいと思います。映画やドラマとかはどうですか?
クガケンノスケ:映画、好きですね。特に90年代後半から00年代初頭の質感が好きです。ファッション的にもそうですね。あの時代の映画から感じ取れる雰囲気が好きです。
カワカミタイキ:僕はけっこう恋愛映画を観るんですよ。作中のフレーズやストーリーがいいなと思って曲に落とし込んだりしています。『エターナル・サンシャイン』や『あと1センチの恋』とかはおすすめです。
ーありがとうございます! さて、8月からは『覚醒少女ツアー2025』が始まりますね。
ハルモトヒナ:全国21ヶ所ですが、こんなに多くの場所をツアーして回るのは初めてなので、各地どんな風になるのかが楽しみですね。松本や群馬は初ですし、行ったことがある県でも初めてのライブハウスがあるのでワクワクしています。
ー『覚醒少女 e.p.』はそのまま収録曲の順番に演奏しても盛り上がりそうな内容なので、そういった意味でも楽しみですね。
ハルモトヒナ:そうですね! ツアーのセトリを考えていて、このままでも楽しそうだと思いました。まだ僕らも『覚醒少女 e.p.』の曲の遊び方がわかっていないので、ツアーをしながら一緒に考えていけたらいいなって思っていますね。そんなツアーにしてきたいと思います!
INFORMATION
ジ・エンプティ 覚醒少女 e.p.
RELEASE
『覚醒少女 e.p.』
NBDL-0115
¥1,000(tax in)
No Big Deal Records
8月6日 ON SALE
覚醒少女ツアー2025
8月17日(日) 久留米ウエポン
8月20日(水) 宮崎LAZARUS
8月21日(木) 山口 LIVE rise SHUNAN
8月30日(土) 広島 ALMIGHTY
8月31日(日) 高松TOONICE
9月2日(火) 神戸太陽と虎
9月5日(金) 千葉LOOK
9月6日(土) 仙台LIVE HOUSE enn 3rd
9月8日(月) F.A.D YOKOHAMA
9月14日(日) 熊本Django
9月15日(月祝) 鹿児島SR HALL
9月20日(土) 松本ALECX
9月21日(日) 新潟 GOLDEN PIGS BLACK
9月24日(水) 群馬SUNBURST
9月26日(金) 静岡UMBER
10月9日(木) 金沢vanvanV4
10月21日(火) 札幌KLUB COUNTER ACTION
10月24日(金) 小倉FUSE
10月27日(月) 心斎橋BRONZE
10月28日(火) 名古屋CLUB UPSET
10月31日(金) 新代田FEVER
チケット発売中
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PROFILE
2019年に中学の友達同士で結成し、福岡県久留米市を拠点に精力的に活動を行っている。2022年に1stシングル『テイクミーアウト』、2ndシングル『青春』をリリース。2023年12月に『神様からの贈物 e.p.』をリリースし、東名阪福でリリースツアーを敢行。2024年4月に配信シングル『ウルトラロマンティック』をリリース。9月には福岡にて『宴 -EN-』を開催した。10月に2nd EP『革命 e.p.』をリリースし、全国12ヶ所にて『革命ツアー2024』を敢行。2025年3月に九州3箇所で『SAN』を開催。5月に配信シングル『輝き』をリリースし、東名阪福で『シャイニングツアー2025』を開催。8月6日にEP『覚醒少女 e.p.』をリリースし、全国21ヶ所にて『覚醒少女ツアー2025』を開催する。ありのままを綴ったまっすぐな歌詞と、圧倒的なライブパフォーマンスで未来を明るく照らし出してくれる。若者たちの心を掴む、新世代の青春応援歌。
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