MUSIC 2025.09.26

Interview:THE BEAT GARDEN 原点回帰と新挑戦。 5人体制で迎える、5th Album『MADE IN DAMAGE』from EYESCREAM No.193

EYESCREAM編集部
Photography_Hiroki Asano、Text_Mizuki Kanno

このたび、新メンバーのKAIとkowta2を迎え、新たな一歩を踏み出したTHE BEAT GARDEN。5人体制で初めて制作したアルバム『MADE IN DAMAGE』は、オリコンデイリーアルバムランキングで1位を獲得するなど、大きな反響を呼んでいる。そして、グループの「原点回帰」と「新しいチャレンジ」がミックスされた意欲作を携え、現在、ワンマンライブツアー「OVER, ANDER, AROUND」が開催中だ。期待が高まる中、メンバー5人に話を聞いた。


自分たちが無意識に殻を作っていたことに気づきました。もっと自由でよかったんだな、と。

ーKAIさんとkowta2さんが加入されて、新体制になって初めてのアルバムだと思います。どのような変化がありましたか?

U:新体制になって一番変わったのは、自由度が高くなったことです。怜と昌斗と僕は結成当初から一緒で、THE BEAT GARDENとしての思い出や文脈をすべて共有してきました。でも、新メンバーのKAIとkowta2の新しい感性に触れたことで、僕らが逆に二人から感化された部分が大きかったんです。結成当初に僕らが持っていた「やりたいこと」が今再び明確になり、今回のアルバムでは特にメロディーや歌詞にその変化が現れていると思います。

ーKAIさんとの出会いは運命的だったそうですね。

U:KAIは僕がSNSで見つけたんです。まだ数本しか投稿されていない歌動画を見て、とてもいい声を持っているなと思ったんです。kowta2の加入が決まっていたタイミングだったこともあり、これも運命かなと思って、いきなりDMを送りました。

KAI:Uさんから急にDMがきたので、本当にびっくりしました。

U:2通目くらいには「今日会えますか?」って送って。そこから2カ月くらいで加入が決まりました。本当にあっという間でしたね。

ー原点回帰と新しいチャレンジが織り交ざった作品なんですね。アルバム制作のコンセプトはどのように決まったんですか?

U:アルバム制作前から、新体制のTHE BEAT GARDENとして、アー写やスタイリングに「フューチャーアーカイブ」や「平成レトロ」の方向性を取り入れていたんです。なので、音楽でも取り入れてみようと徐々に走り始めて、1曲目の「恋ってスタディ?」ができたときに、「これだ!」と確信して、そこからどんどん制作を進めていきました。

ー「恋ってスタディ?」は、キャッチーなタイトルとメロディーが印象的です。どんな思いが込められていますか?

U:僕たちはこれまで、ハイエースで全国を回ったり、ファンの皆さんと膝を突き合わせて話したりと、オフラインでの活動を大切にしてきました。でも、KAIはまだ19歳で、SNSが当たり前の世代。無理に僕らの価値観に合わせるのも違うと感じていたんです。そんな中で、世代関係なくみんなが楽しめるものとして、「踊れるような曲にしよう」と思ったことが一番最初のフックでした。

渡部怜:試聴会で初めて聴いたときは、歌詞もついてない状態だったんですけど、夏にぴったりの盛り上がる楽曲だなと思いました。いい意味でのけだるさがあって、ポップな歌詞を乗せても音楽性が保たれてる、すごくバランスのいい曲に仕上がったと思います。

藤掛昌斗:最初はここまで振り切ることに不安もありましたが、完成してみて、自分たちが無意識に殻を作っていたことに気づきました。もっと自由でよかったんだな、と。この曲で、僕たちの可能性がぐっと広がったように感じます。

ーしっとりしたラブソングから「恋ってスタディ?」のように、幅の広い作品になっていますね。意図的にそうしているのでしょうか?

U:5人それぞれがやりたいことを表現できるのは、アルバムだからこそだと思っています。今回、ノンタイアップの新曲を制作できたこともあって、メンバー5人それぞれのカラーを出していった結果、自然とこういった幅の広い作品になったのかもしれません。

傷ついた過去があるからこそ、それを乗り越えた今の自分がいる。

ー皆さんのカラーが反映されているとのことですが、それぞれの「推し曲」を教えてください。

KAI:僕は「ラベンダー」です。タイトルを「ラブエンダー」とかけてくれたUくんのアイデアをベースに、僕が歌詞を書きました。強がっている女の子の歌で、素直に悲しいと言うよりも、切なさを表現できたかなと。特にこだわったのが、サビの<あなたを残したままで枯れてく私はラベンダー>と<綺麗に飾られたカレンダー>という部分です。ラベンダーは色を残したまま枯れていくのですが、それが好きな気持ちが抜けきらない様子に似ているなと思って。そして<綺麗に飾られたカレンダー>は、本当はあなたとの予定で埋めたいカレンダーが真っ白なまま、というギャップを表現しています。

kowta2:僕は「世界線〜ラブ☆ピース〜」かな。僕の声が他の楽曲よりもたくさん入っていて、キャッチーな歌詞が耳に残る、本当に楽しい楽曲です。ライブでも絶対に盛り上がる楽曲だと思います。

渡部怜:僕は8曲目の「フレンズ」です。僕が編曲させてもらったこともあって、個人的に思い出深い作品です。友達に「いつもありがとう」ってなかなか言えない、そんなもどかしい思いを表現しています。学校のチャイムの音を入れたりもしていて、卒業された方には懐かしく、現役の学生さんには共感できる楽曲になったんじゃないかなと思います。

藤掛昌斗:僕は「ラブコメディ」が好きですね。最初はどういう顔で歌えばいいか悩んでいましたが、曲調や「青春やってます」みたいな感じが、陽キャな僕のキャラクター性にあっているなと思って。

U:僕は「1分の1のラブソング」です。今までは「愛」という言葉を直接使わずに歌ってきたんですけど、5人になって変な照れくささがなくなったんですよね。僕がずっと言っている「何十億分の一」論争。「何億人いる中のひとり」ではなく、あなたにとっての私(私にとってのあなた)は「1分の1」なんだと。数学的には正しくないかもしれないけど、面白いなと思って書いたんです。このアルバムを通して「夏休み」のような初々しいラブソングを、今のTHE BEAT GARDENとして、まっすぐに歌えたのがすごく嬉しいですね。

ー改めて、アルバムタイトル『MADE IN DAMAGE』に込められた意味を教えてください。

U:まず、字面から「エレクトリック、ダンスロック」というジャンルを感じてほしいという思いがありました。KAIの加入で声質もよりロックになったと感じたので、それが表現できるタイトルにしたくて。でも、それだけではなく、曲を作る根本にあるのは「傷」だと思っています。過去の傷があるからこそ、本当の心で歌える。新メンバーの2人も、明るいけれど、音楽でうまくいかない時期があったと話してくれたんです。楽しく歌えているのは、そうじゃない時期があったから。僕たち3人も、何か感じるものがあったからこそ、2人に出会うことができた。きっと彼らがTHE BEAT GARDENを選んでくれたのは、表面的な理由だけでなく、分かり合える過去があったからだと思います。傷ついた過去があるからこそ、それを乗り越えた今の自分がいる。そんな意味を込めて、「MADE IN DAMAGE」と名付けました。

ー最後に、ワンマンライブツアー「OVER, ANDER, AROUND」に足を運ぶお客さんへメッセージをお願いします。

藤掛昌斗:アルバムを聴き込んで、ライブを楽しみにしてきてほしいのはもちろん、今まで応援してくれていた人たちも、ここからまた一緒に進んでいきましょう、というツアーにしたいです。

渡部怜:どの曲も新曲なので、ゼロからみんなで一緒にライブを作り上げていけたら嬉しいです。

kowta2:僕自身、ライブは生きていることを感じる瞬間です。見に来てくれる人たちにも、ライブを通して生きていることを感じてもらえるような、生き生きとしたライブにしたいので、ぜひ来てください。

KAI:初めて行くライブハウスもあるので、今持っている曲たちをちゃんと知ってもらって、それを一緒に完成させるツアーになったらいいなと思います。結成の地である大阪でツアーが終わるのもすごくいいなと思っていて、1カ所1カ所、思い残すことのないようにパフォーマンスしたいです。

U:今まで応援してくれた方々には、リリースイベントで今回の変化を楽しんでくれて本当にありがとうと伝えたいです。そして、SNSで最近僕たちを知ってくれた子たちには、これまでの文脈も感じてもらえるようなライブにしたい。ライブは僕たちが歌うだけじゃなく、みんなの声が聞ける場所なので、たくさん一緒に歌って、このアルバムを完成させてください!

INFORMATION

THE BEAT GARDEN
new album『MADE IN DAMAGE』

On Sale

1 Universe
2 恋ってスタディ?
3 ラブコメディ
4 Happy Ender
5 present
6 ラベンダー
7 1分の1のラブソング
8 フレンズ
9 わたし
10 世界線〜ラブ☆ピース〜

Live Tour
「OVER,ANDER,AROUND」

9月13日(土)【熊本】B.9 V2
9月14日(日)【福岡】DRUM Be-1
9月27日(土)【宮城】仙台MACANA
9月28日(日)【福島】郡山 Hip Shot Japan
10月4日(土)【埼玉】HEAVEN’SROCKさいたま新都心
10月18日(土)【香川】高松DIME
10月19日(日)【岡山】岡山YEBISU YA PRO
11月2日(日)【長野】長野ライブハウスJ
11月22日(土)【滋賀】U☆STONE
11月23日(日)【愛知】Electric Lady Land
12月6日(土)【大阪】BIGCAT

ツアー特設HP:

https://thebeatgarden.com/over_ander_around/

Instagram:

https://www.instagram.com/the_beat_garden/

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