FASHION 2026.08.20

interview:時代を超えて残り続けるもの 栗原道彦と紐解く、BRIEFINGの機能美

Photography_Cho Ongo,Edit&Text_Mizuki Kanno
EYESCREAM編集部

バッグ&ラゲッジブランド『BRIEFING』のアイコン的プロダクト『DAY TRIPPER』が誕生してから20年。誕生当時、世の中のショルダーバッグが横型主流だった時代に、あえてA4書類やドリンクボトルが縦のまま自然に収まる「縦型」としてデザインされたこのバッグは、仕様をほぼ変えることなく時代を超えて愛され続けてきた。今回話を訊いたのは、長年にわたり東京のストリートおよびヴィンテージシーンの審美眼を牽引してきた「Mr.Clean」オーナーの栗原道彦。自身で年に数回、何週間もかけてアメリカ本土を回る買い付けの現場を知り尽くした彼が感じ取った、BRIEFINGのプロダクトが持つ「時代を超えて残るクオリティ」と「ライフギアとしてのデザイン美」とは。

時代を超えて残る「ベーシック」とUSAならではの無骨さ

ー栗原さん自身のモノ選びや、ショップでのセレクトの基準はどんなところにありますか?

「ベースにあるのは『長く愛されるベーシックなアイテムを、一般的な価格帯で提供したい』という想いです。僕自身、90年代から続くベーシックなアメカジが好きで、ジーンズなどのデニムアイテムをはじめ、ミリタリーやワークウェア、あとはウエスタンや80〜90年代のスケート・サーフカルチャーといったものが、僕の中でのスタンダードなんです。流行り廃り関係なくずっと着られるような、ベーシックなものがやっぱり一番落ち着きますね」

ーお店にも米軍のヴィンテージギアなどが並んでいますが、そういったオリジナルのミリタリーと、BRIEFINGのような現代のアーバンミリタリーの魅力や相性についてはどう感じていますか?

「もともと僕自身、普段着る服は古着も新品も両方好きですし、ミリタリーに関しても2000年代以降の米軍のプロダクトなどを身につけたりしていたんです。だから今回のBRIEFINGの『DAY TRIPPER』なんかも、すごく古着との相性が良いなと感じます。ただの現行品というより、使い込んでいく中で「将来的にヴィンテージになり得るプロダクト」なんじゃないかなと思います」

ー今回、BRIEFINGの『DAY TRIPPER』を実際に触れてみて、どんな印象を受けましたか?

「実は最近まで、BRIEFINGをアメリカのブランドだと思っていたんです(笑)。アメリカのブランドでも、日本のライセンスでやっているところって、日本向けにキャッチーで分かりやすく整理されすぎちゃっている感じが多い印象です。でもBRIEFINGにはそれがない。変に媚びていないというか、向こう(アメリカ)の無骨な空気感がそのまま残っている。『良い意味で日本っぽさがない』というのは、本物感があってとても良いことだと思います」

ー今回のカモフラ柄も、大人が街でさらっと持つのにちょうどいい塩梅ですよね。

「服で全身ミリタリーにしちゃうとインパクトが強すぎますけど、バッグで取り入れるなら洒落て見えますよね。シンプルなモノトーンのスタイルにさらっと合わせるのが一番良さそうかな。パキッとしすぎない柔らかい迷彩だし、近代ミリタリーのディテールも詰まっていて、収納や使い勝手も抜群。普通に欲しくなりました」

アメリカ本土を巡るタフな旅の相棒バッグ

ー栗原さんは現在どれくらいのペースでアメリカに買い付けに行かれているんですか?

「 回数で言うと年に2回程度なんですけど、1回行くと8〜9週間くらいは現地に滞在します。アメリカ本土の左下4分の1くらい、カリフォルニアからネバダ、アリゾナ、テキサス、オクラホマあたりまでを、8週間かけて車でずっと回るんです」

ー2ヶ月近くも…! 東海岸(ニューヨーク等)には行かれないんですね。

「僕はアメリカに行き始めて30年になりますけど、ニューヨークは一度も行ったことがないんです。僕らが買い付けを始めた90年代って、古着のメッカといえばロサンゼルスを中心とした西海岸だった。逆に一世代、二世代上の先輩たちが東海岸に行っていたので、テリトリー的にも先輩たちが開拓した場所に行くのはなんか違うな、というのもあって西海岸を中心に回っています」

ーそうした長期間の買い付けや旅の現場において、「理想のバッグ」の条件って何でしょうか?

「アメリカに行くと、パスポートや国際免許、仕事の書類が一気に増えるし、たくさんの洋服を触るのでハンドクリームみたいなケア用品も必要になる。治安や防犯面を考えても、『口がちゃんとジッパーで閉まる』『両手が空く』というのは絶対条件です」

ーその点において、『DAY TRIPPER』のサイズ感や機能性はいかがですか?

「これはお世辞抜きで、本当に『DAY TRIPPER』はベストに近いです。特にアメリカって、万引き防止のために、大きいバッグは入店時にレジで預けなきゃいけないお店が多いんですよ。買い付けでキャッシュを持ち歩いているときに、バッグを人に預けるのはとてもリスクがある。でも、この『DAY TRIPPER』のサイズ感ならギリギリ持って店内に入れる大きさなんです」

ー買い付けの現場でバッグを人に預けるのは怖いですよね……!

「そうなんです。あとは、飛行機に乗ったときも機内の足元にすっぽり収まるし、中にも仕切りのポケットがたくさんあって整理しやすい。肩パッドが入っていて実用的なのにゴツくなりすぎない点も、海外に行くときのバッグとして、本当に理想的でとても便利だと思います」

時代が変化しても貫く、ストーリーとMADE IN USAの価値

ー約30年アメリカに通われている栗原さんから見て、最近の古着の現場やマーケットの変化って感じますか?

「コロナ前までは、現地で付き合いのあるディーラーって40代〜60代、上だと70代のベテランがメインだったんです。でも2010年代に90年代のビンテージTシャツブームが起きて、アメリカの若い子たちが一気に古着ビジネスに参入してきました。今はローズボウルみたいなフリマに行っても、20代の若いディーラーたちがすごく力を持っていて、お客さん側も投資目的で買っていく人たちも増えて、完全にビジネスの場所になりましたね」

ーそうした時代の変化の中でも、やはり現地で自分の目で見て買ってくる「ストーリー」を大切にされているんですね。

「やっぱりメルカリやヤフオクみたいな個人売買が増えた時代だからこそ、『現地のアメリカに行って買ってきたもの』というストーリーや背景を気にして買ってくださるお客さんはとても多いんですよね。僕自身も個人で買う分にはモノはモノとして割り切る部分もありますが、うちはお店として卸もやっていますし、お店で買ってくれるお客さんのためにも、そこは妥協したくない部分です」

ーそれは、20年間仕様を変えずに“MADE IN USA”を守り続けるBRIEFINGのモノづくりにも通じる部分がありますね。

「そうですね。昔は〈Patagonia〉や〈WILDTHINGS〉といった有名ブランドでもアメリカ国内に自社工場を持っていないため、米軍と契約した際も外部のメーカーに製造を委託しているような状況です。そんな時代に、いまだにアメリカ製(MADE IN USA)でモノを作り続けているというのは、本当に贅沢だし素晴らしいことだと思います。時代の変化に流されず、これからもずっと“MADE IN USA”を貫いてほしいですね」

栗原道彦

90年代より古着のキャリアを重ね、自らアメリカ本土を巡り買い付けを行うヴィンテージショップ「Mr.Clean」オーナー。USアメカジやミリタリー、80〜90sカルチャーへの深い造詣と確かな審美眼で、東京のヴィンテージ&ストリートシーンにおいて絶大な信頼を集める。

Instagram:https://www.instagram.com/michihikokurihara/
     https://www.instagram.com/mrcleantomigaya/

INFORMATION

BRIEFING「DAY TRIPPER」

MULTICAM / SNOW CAMO / MULTICAM BLACK
¥40,700-(tax included)

https://www.briefing-usa.com/feature/fw26_day_tripper_20th

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