[ZINEspiration]Vol.18 TOMASON

photography_Kayoko Yamamoto, text_Yuri Matsui, 撮影協力_白い立体

[ZINEspiration]Vol.18 TOMASON

photography_Kayoko Yamamoto, text_Yuri Matsui, 撮影協力_白い立体

クリエイティブに携わる人々に、お気に入りのZINEをレコメンドしてもらう連載シリーズ『ZINEspiration』。今回インタビューしたのは、ポップさとキッチュさが同居したオリジナルなモンスターを描き続けるアーティストのTOMASON。お気に入りのZINEと、現在絶賛準備中だというイベント『TOMASON LAND』について話を聞いた。

かの赤瀬川原平が提唱する概念「超芸術トマソン」からその名前をつけたというTOMASON(とはいえ、「高校の授業で習ったから」という軽いノリで名付けたのだそう)。小学生の頃から、自宅の壁一面に自身が描いたモンスターの絵を貼り、絵を描くことから離れた時期もあったものの、次第にまたモンスターを描き始め、現在まで8年ほど毎日新たなモンスターを生み出している。

「子供の頃から、特撮とかを見ていても、ヒーローより敵キャラが好きで。ウルトラマンも仮面ライダーも、ヒーローって見た目が『つるん』としてるじゃないですか。でも怪獣や怪人はそうじゃない。特に当時の特撮ものは、ゴリラとトカゲとワニをくっつけました、みたいな安直な感じがよかった。そういうものに、ずっと造形的な魅力を感じているんです。芸術大学のデザイン学科に通っていたんですけど、最初の授業で、丸や四角の図形から発想したものを描くという課題があって、周りを見たら、丸を車のタイヤにしたりCDにしたりしているなかで、僕だけがモンスターを描いていたんですよ。そのときに『入るところを間違えたな』と思ったんですけど(笑)。その出来事をきっかけに、自分が描きたいものを描き続けようと思って、SNSでも作品を発表するようになったんです」

これまでにTOMASONが描いたモンスターは総勢2000体以上。それぞれに名前や性格があり、それらすベての設定が頭の中にあるのだそう。取材当日も、6月に刊行予定だというTOMASONのモンスター図鑑に収録される予定の原画を見ながら、1体1体、すらすらとモンスターの名前や設定が出てくる。

「モンスターは日常生活のなかで目についたものや、会った人からインスピレーションを得ています。僕にとってモンスターは、人とあまり変わらない存在というか……。人と同じリアルな世界に共存しているような感覚でいます。最近は、僕の伯母さんが覚醒して。ビニール紐を編んで、僕が描くモンスターを立体化してくれるんですよ。最初はシンプルな形のモンスターを作ってくれることから始まったんですけど、だんだんスキルが上がってきて。もはや『どうやって作ってるの⁉︎』みたいなものがたくさんあります」

そんなTOMASONが現在計画しているのが、壮大なテーマパーク的イベント『TOMASON LAND』。2月17日にTOMASONの地元である岐阜県可児市のお寺を会場にしてプレオープンしたあと、2ヶ月後の4月17日に半蔵門ANAGRAで本オープンを迎える。

「『TOMASON LAND』は、これまで僕が描いてきたモンスターの世界を体験できるテーマパークです。モンスターと人間が共存できる世界を作るために貢献してきた『TOMASON』という架空の人物が作ったという設定なんですけど、会場内を回っていくと、『TOMASON LAND』の真相を知ることができる謎解き要素もあって。テーマパークなので、アトラクション的な要素もあったり、『キャスト』もいます。その着ぐるみも伯母さんが編み物で作ってくれました! プレオープンの岐阜の方では、会場のお寺が広いのでフェスのような体裁で、書院で『TOMASON LAND』をやりつつ、本堂でライブをやったり、伯母さんの編み物のワークショップや名古屋のLIVERARY Extraの出店、映画の上映会など盛り沢山になる予定です。今は東京と地元を行ったり来たりしながら準備を進めていて、今年はこれに命をかけてますね」

【TOMASONがレコメンドするZINE5冊】

Takuhito Yamaguchi(IG:@whyareyouwearingsupreme
『Why are you wearing Supreme?』

「Supremeって、もはや誰もが知っているブランドですよね。新しい商品が発売されると行列ができたりして、すごく特殊なブランドだと思います。このZINEはタイトルの通り、なぜその人がSupremeを着ているか、Supremeとの出会いや思い入れなどについてインタビューしているZINE。第1弾は中目黒のOHKA THE BESTDAYSのオーナーさんで、第2弾はMIN-NANOの(中津川)吾郎さん、第3弾はBLANKMAGの方と、毎号ストリートに精通している方に取材しているから、僕が知らないSupremeの深みみたいなものを知ることができて。年1回くらいのペースで新しい号が出ているので、気長に次を待っています」

RYOHEI KAZUMI(IG:@ryoheikazumi
『RRW』

「地元に帰省したときに、名古屋のハンバーガー屋さんのKAKUOZAN LARDERに行ってお店の方と話していたら、KAZUMIさんの存在を教えてもらって。KAZUMIさんはLARDERのグッズに作品を提供したりもしているんですけど、LARDERの人いわく、KAZUMIさんは『ネクスト・五木田智央』らしいんです。僕ら岐阜県民からすると、名古屋はめちゃくちゃいけてる場所なんですよ。その名古屋のなかでもいけてるLARDERの人がそう言うからには間違いないはず! と思って、すぐに買いました(笑)。確かにキャッチーだし、ポップで毒っ気がある感じで、すごくかっこいいんです」

柳 宙見(IG:@soramiyanagi
『my own』

「宙見さんは、シャムキャッツ『カリフラワー』の7インチ版のジャケットに使われているアルパカの写真を撮っていて、その写真がこのZINEにも収められています。このZINEはパーカーがセットになっているところが面白いなと思って買いました。宙見さんの前回の作品集も見ていて、人間を撮る人という印象があったけど、今回はほぼ全部が風景なんですよ。本人に聞いたところによると、宙見さんは自分のお父さんに向けてこの写真集を作ったらしくて。お父さんも写真が好きな人で、だからこそ自分の写真を見せるのに気合がいる。その話を聞いて、僕の想像ですけど、このZINEではあえてそのままの瞬間を切り取るような写真を撮ったのかなと思いました」

JULIA GORTON(IG:@julia_gorton_nowave
『DOWNTOWN GIRLS』

「実は昨日買ったばかりのZINEです(笑)。原宿のBOOKMARCに定期的に行ってるんですけど、昨日はちょうどJULIAさんの展示をやっていて。僕は知らなかったけど、70年代のNYでパンクとかニューウェーブの主要人物やそのシーンを撮っている人だって、お店の人が教えてくれて。その日に本人がお店でサイン会をやるということだったので、参加して買いました。70年代の写真だけど古さを感じないし、デザインも銀の紙にモノクロの印刷でかっこいい。サイン会のときに話しかけたら写真の雰囲気はツンとしてる感じなのに、めちゃくちゃ気さくな人でしたね」

吉田昌平(IG:@heiyoshida
『12』

「吉田さんは今、僕のモンスターの図鑑を作ってくれています。ふらっと行った飲み会で知り合って、僕が毎日モンスターを描いていることや、叔母さんが僕のモンスターを編み物で立体にしてくれている話を何となくしたら、後日『図鑑を一緒に作りませんか』って誘ってくださって。吉田さんが手がけた森山大道の作品をコラージュした『新宿(コラージュ)』や、吉田さんの事務所『白い立体』から発行されている濱田晋さんの作品集を見ていたから、超嬉しくて。吉田さんのオフィスで打ち合わせをしたときに、学生の頃に吉田さんが作ったこのZINEをいただいたんです。拾って来た本やいらなくなった本をちぎってコラージュしているそうなんですが、『新宿(コラージュ)』のスタイルを学生の頃からやっていたのはやばいなって。コラージュで作品を作っている人ってたくさんいますけど、吉田さんみたいなスタイルって見たことがない。わら半紙みたいな紙も素敵ですし。そんなすごい人と図鑑を作れているっていう喜びを噛み締めながら今作っています」

INFORMATION

TOMASON LAND
◆ZERO-OPEN(岐阜)
2019年2月17日(日)
OPEN 12:30 / START 13:00
光蓮寺
岐阜県可児市瀬田 718
入場料:1,000 円(予約者先着 100 名ステッカープレゼント)
※18歳以下は入場無料

TOMASON LAND SPECIAL LIVE:
江本祐介(ENJOY MUSIC CLUB) / mountain mountains / ファミコン地獄 / Kaseo / nabatea / 裂固 / 他、随時発表

EXIBITION & WORK SHOP:
ELECTRO GRAVE / TOUGIGAKUEN / Makiko Yamamoto / Bambi 山本 / RYOTA DAIMON / KIMIE TAKANO / Kaseo / LIVERARY Extra 他、随時発表

映画上映会:
Verce 1(第9回映像グランプリ『若獅子賞』受賞)

https://in-tera-ction.jimdofree.com/

◆OPEN(ANAGRA)
日程:2019年4月17日(水) – 4月24日(水)
平日 15:00-22:00 / 土日祝 14:00-21:00
会場:ANAGRA(東京都千代田区平河町 1-8-9 地下一階)
入場チケット:1000円
・オープニングパーティー:4月17日(水)18:00〜

https://www.anagra-tokyo.com

TOMASON LAND
http://tomason.jp/tomasonland/

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