[ZINEspiration]Vol.06 face

photography_Kayoko Yamamoto, text_Yuri Matsui

[ZINEspiration]Vol.06 face

photography_Kayoko Yamamoto, text_Yuri Matsui

クリエイティブに携わる人々に、お気に入りのZINEをレコメンドしてもらう連載シリーズ『ZINEspiration』。
ポップかつ、どこかコミカルな表情のイラストレーションが特徴のアーティスト・face。先日EYESCREAMでも紹介した〈INN〉とのコラボも記憶に新しい彼に、フェイバリットなZINEを見せてもらった。
セカンドウェーブ世代へ愛を込めて。faceとタッグを組んだINNの2周年グッズ。

グラフィックデザイナーとして仕事をしながら、Instagramをきっかけにイラストレーターとしての活動を始めたというface。特徴的な顔の描写と、ムダのないソリッドな構成の作品の原点にあるのはストリートアートだ。

「子どもの頃、実家にキース・ヘリングのカレンダーがあったんです。当時はそれが誰の作品なのかもわからなかったんですけど、小中学校の美術で教わるような作品とは全然違って、『これもアートとして成り立つんだ』って衝撃を受けて。そこが入口になって、ポップアートとかストリートアートに興味を持っていきました。僕はKAWSがすごく好きなんですけど、自分でもイラストを描くなかで、一目見てインパクトが残るような特徴的なものを産み出したいとずっと思っていて。そんななか絵を描き続けていくうちに、あの顔ができたんです。仕事上、必要に応じて手書きとパソコン、どちらでも描くんですけど、好きなのは圧倒的に手書きですね。ここにあるのも、全部手書きでコピー用紙にラフを書いた束で。最初はまとめてたんですけど、途中からあきらめました(笑)」

自身では、イラストレーターとしてのポートフォリオ代わりにZINEを作りはじめたとのこと。アーティストの作品を気軽に手にすることができるところに魅力を感じるという彼が、つい欲しくなってしまうZINEとは?

「イラストのZINEを買うことが多いんですけど、僕の場合、好きなアーティストのZINEを買うときは、とにかくたくさん絵が載ってるものが欲しいんです。だから自分で作るときも、配置がめちゃくちゃでも、ページのなかに入れられるだけ絵を入れようと思ってZINEを作ってますね。最初にZINEを作り始めた頃は、結構立派な紙に、ちゃんとトンボもつけて印刷したのをカットして作ってたんですけど、めちゃくちゃ大変で。ちゃんと作りすぎることで、逆に素人感も出ちゃったりして。最近はなるべく薄い紙を使ってるし、キンコーズのホチキス留めができるプリンターの使い方がやっとわかったから、ボタンさえ押せば作れる(笑)。なので自分で最近作っているZINEは、ものによってページの順番がバラバラだったり、たまに空白のページがあったり、結構適当ですね」

2017年は名古屋でのSHINKNOWNSUKEとの二人展や、HIDDEN CHAMPION監修の「pop & street」展、アディダスの「The Wall: by Creators」への参加など、活発な活動が続いたface。最後に今後の展望について聞いてみた。

「海外で何かやりたいっていう気持ちがずっとあるんです。最近、海外の友達が増えてきて、コラボの予定もいくつか控えていたりするので、そういうこともやりつつ、展示をやりたいですね。近い予定でいうと、名古屋で展示をやったときにお世話になった方が〈BLANKMAG〉を主催してるんですけど、彼が持ってるラリー・クラークのアーカイブに僕が絵を描いて、それを少部数の本にするっていうプロジェクトが動きはじめていて、楽しみです」

【faceがレコメンドするZINE5冊】

SHINKNOWNSUKE+MY NAME IS MR LAZY+face
『TOBY&BOOTCAT&PICABIA SHIT ON MY WORLD』

「これは僕と、SHINKNOWNSUKEさんと、カイル(MY NAME IS MR LAZY)の3人のアーティストで作ったZINEです。もともと、3人で作ろうって言ってたのに、実はなぜか先に勝手に2人が作って印刷しちゃって(笑)。なので、10部作ったうちの全ページに手描きでイラストを描き足したんですよ。ページ数も意外に多いから、めちゃくちゃ大変でした(笑)。SHINKNOWNSUKEさんもカイルも、ノリでわーっと描くタイプなんですけど、僕は構成を決めてから描くタイプなので、その違いが大変だけど逆におもしろかったですね」

Jye Barclay(DOOMSDAY STAFF)『SHINKANZINE』 

「2016年に、オーストラリアの〈DOOMSDAY〉っていうセレクトショップで展示をさせてもらったときに仲良くなったスタッフが、写真を撮っている人で。その後、彼が日本に来て一緒に遊んだんですけど、そのときに撮った写真をZINEとしてまとめて、一緒に遊んだメンバーだけに、6部限定でくれたんですよ。だからすごく思い出が詰まっていて。それに、日本人にはない視点の写真なので、このZINEを見て、意外に日本っておもしろいところがあるんだなって思いましたね」

R.MAURICE HORFEE (IG:@haunted_horfee)『PATHETiC BUBBLE』

「これまた2016年にオーストラリアへ行ったとき、〈DOOMSDAY〉にいたら、英語を喋れる日本人がみんな出払っちゃったタイミングがあって。英語がまったく喋れない僕と、〈DOOMSDAY〉のスタッフだけになっちゃったんですけど、そのときになぜか突然このZINEをくれたんですよね。当時はホーフィーのことを知らなかったんですけど、僕自身は形があるものを描いていくタイプなので、彼の作品の形がないけど形になってる感じが衝撃で。このZINEがきっかけで、ホーフィーにはまって作品を買ったりしました」

Ryosuke Numano(IG:@ryosukenumano)『Without Text』

「沼野くんとはゲーム仲間なんですけど(笑)、もともと彼のインスタを見ていて、彼の写真が好きだったから、展示とかやらないのって本人にも言ってたんですよ。前は、やらないって言ってたんですけど、最近になって突然ZINEを作ったので、僕のなかですごくテンションが上がった。インスタで〈いいね〉を押した写真もあったりして。写真の入れ方とか、切り取り方がうまいんですよね。なにげにすごく有名なスケーターが写ってたりするし。代々木上原の〈BACKDOOR〉さんで購入しました」

Raymond Pettibon『Selected Works From 1982 to 2011』

「昔からペティボンの作品がすごく好きで。でも、作品集が高くて買えなかったので、代わりにユトレヒトでZINEを買いました。買ったのは結構前なんですけど、いまだに気に入ってますね。世界的なアーティストなのに、こんなコピー用紙で作ったような簡易なZINEを作るのがいいなと思って。とにかく載ってる絵の数が多いところもいいんですよね」

INFORMATION

「face meets OFS tokyo」

会期:開催中(2018年1月14日現在) ※終了日未定
会場:adidas Originals Flagship Store Tokyo(東京都渋谷区神宮前5-17-4 神宮前トーラス)

[ZINEspiration]
・Vol.01 ヒロ杉山
・Vol.02 Colliu
・Vol.03 酒井いぶき
・Vol.04 安野谷昌穂
・SUMIRE meets TOKYO ART BOOK FAIR
・Vol.05 小磯竜也
・Vol.06 face
・Vol.07 丸目龍介
・Vol.08 篠宮由香利
・Vol.09 吉本綱彦
・Vol.10 山ちゃん(どついたるねん)
Vol.11 歌代ニーナ
Vol.12 TOWN BOY(君)
Vol.13 ユンボム
Vol.14 沖真秀