Interview:muque
時代をデザインする無垢な音楽

Photography_Takaki Iwata
Text_Mizuki Kanno

Interview:muque
時代をデザインする無垢な音楽

Photography_Takaki Iwata
Text_Mizuki Kanno

福岡在住の4ピースバンドmuqueをご存知だろうか?昨年5月の結成からわずか1ヶ月でシングル「escape」を発表し、その後も精力的に楽曲を世に残し続け、早くも次世代の音楽シーンをリードする存在として注目を集めている。そして11月22日(水)にEP『Design』をリリースした。疾走感溢れるドラムンベースに、鮮やかなギミックが随所に散りばめられたリード曲「456」をはじめ、「いまmuqueが表現したい音楽」が詰め込まれた意欲作だ。何色にも染まらない4人が奏でる音楽は、いま時代を色付けはじめる。

L to R→Lenon(Ba)、Asakura(Vo&Gt)、takachi(Dr)、Kenichi(Gt)

「今までにない新しい音楽、muqueだから成立するサウンドを追求したい」

ーまずはmuque結成の経緯を教えてください。もともとは皆さん違うバンドで活動されていたんですよね?

Lenon:それぞれのバンドで脱退や解散があり、自分が声をかけたんです。メンバーとは同世代のバンド仲間として繋がっていたり、対バンをしたことがあったので。

takachi:Asakuraと僕は同じ大学の同級生で、Kenichiは前のバンドが一緒だったので僕が誘いました。

ーひとつずつピースがハマっていった感じなんですね。結成から1ヶ月後には1stシングル「escape」をリリースしていますが、どのようにmuqueのサウンドを詰めていったんですか?

takachi:いまは僕がmuqueの骨組みとなるトラックコンセプトを作って、Asakuraにトップラインと歌詞を乗せてもらい、みんなで話し合いながらギターやベースを肉付けしていくといった流れで楽曲制作を行っているのですが、ここに行き着くまでに、試行錯誤を繰り返しました。これまでにないような新しい音楽、muqueだから成立するサウンドを追求したいという思いはベースにあるものの、その答えが見つけられずにいたんです。そんなときに、自分が他のプロジェクトでヒップホップのようなトラックを作っていたのでそのストックに、Asakuraにトップラインを乗せてもらったんです。それを聞いたときに「いけるかもしれない」と思いました。muqueのサウンドが生まれた瞬間です。

Asakura(Vo&Gt)

Lenon(Ba)

ーバンドだけど自然と体が揺れるダンスミュージックのようでもあって、どこか懐かしさも感じるような印象を受けました。皆さんの音楽的なルーツも教えてください。

Lenon:僕はもともと、muqueとはジャンルの異なる3ピースバンドをやっていたんです。Age FactoryやASIAN KUNG-FU GENERATIONなどの邦ロックが好きだったし、父が福岡のバンドでギターボーカルとして活動している影響もあって、昔からバンドへの憧れはありました。ギタリストのように前に出て見せるよりも、縁の下から支えるベースに惹かれたんですよね。

Asakura:私はELLEGARDENやONE OK ROCKの影響が大きいです。徐々に、マイ・ケミカル・ロマンスやイエローカードなど海外のアーティストも聞くようになって、高校に入ってからはトロイ・シヴァンとかThe 1975とか、もっともっと洋楽にのめり込んでいきました。

ーAsakuraさんは前のバンドでも曲作りはしていたんですか?

Asakura:はい、前のバンドで、作曲の経験があったのが自分だけで、そこから、本格的に弾き語りで曲と詞を作るようになりました。聞いてくれる人が主人公だと思えるような歌詞を書きたいと思って、自分ごとでありつつ、客観的な視点も入れるようにして作っています。でも、muqueが去年リリースした「pas seul」では、珍しく素直に自分の気持ちを書きました。ちょっと恥ずかしいな(笑)。

takachi:トラックにAsakuraのトップラインと詞が乗ることで、曲に感情が生まれるんですよね。それにいつも良い意味で裏切られています。そうきたか、みたいな。その感覚がすごく面白くて新鮮です。

ーtakachiさんはいつも、どうやってトラックを作っているんですか?

takachi:僕は街並みや季節だったり、その曲の情景を想像してトラックを作っています。自分は、小学生のときにドラムレッスンに通いはじめたことがきっかけで音楽にはまって、ラウドロックからポップスまで幅広く聞いているうちに、トラック制作やサウンドデザインもするようになりました。リズムをパズルのように組み合わせていくことが好きなんです。

Lenon:takachiが作る音楽にわくわくして、そこにAsakuraの歌詞が乗っかるとこんなに印象が変わるんだと、同じメンバーながら2人のことはとてもリスペクトしています。

Kenichi:僕もmuqueをはじめてから、歌詞の奥深さを学びました。自分のルーツ的に演奏へ意識を向けがちでしたが、今はライブ中に歌詞を口ずさむことが習慣です。僕は、父親の影響で幼少期からディープ・パープルやAC/DCなど、ハードロックばかり聞いてました。ギターを始めたのが高2の頃なんですけど、そのときもメタルやラウドミュージック系をやっていて、前のバンドでもチューニングも低かったし、めっちゃ歪ませてました。一番好きなのが、システム・オブ・ア・ダウンです。

takachi:最新のEPでは、ちょっとだけ歪ませていますよね。

Kenichi:塩梅を探りながら、色を出しています(笑)

takachi(Dr)

Kenichi(Gt)

「いまのmuqueが純粋にやりたいと思うサウンドを詰め込みました」

ー11月22日にEP『Design』がリリースされますね。タイトルに込めた想いやコンセプトを教えてください。

Asakura:muqueの由来が“無垢”であることから、自分たちが何かに影響されて色づくのではなく、muqueの音楽が時代を染めていけたらいいなと思っています。

Kenichi:muqueの色に”デザインしていきたい”と言う意味を込めて、タイトルも『Design』にしました。

ー去年12月にリリースしたEP『tape』と比較して、皆さんの中で変わった点や挑戦したことなどあれば教えてください。

takechi:意識的に変えたというよりは、いまやったら面白いことをそのときどきで表現しているので、『tape』のときは4つ打ちの印象が強いダンサンブルな曲を作っていましたが、今回のEPでは疾走感のある楽曲だったり、ギターもカッティングではなく歪ませることで、ロックっぽさもだしたり。そのタイミングでmuqueが純粋にやりたいことを詰め込んでいます。

ー今のmuqueの記録のようであり、ここからさらに広がりを見せていく予感も秘めたEPなんですね。muqueの世界観をヴィジュアルで表現する上で、シティポップがひとつテーマとしてあるのかなと思っていて。その上で、今作の先行シングル「456」はまた異なる印象ですよね。

takechi:僕の中ではジャケ選びもサウンド選びと同じで、この曲の雰囲気にはこういうサウンドを選ぶし、この楽曲だったらこの色のヴィジュアルが合うな、みたいな感覚で選んでいたら、自然と統一感が生まれていて。なので、自分が次にやってみたい音楽に合う色を考えたら、意図せず「456」のようなジャケを選んでいました。

Kenichi:ビジュアル面での打ち出し方は、みんなでアイディアを出し合いながら進めてきて、muqueのロゴはCGクリエイターの友達が作ってくれました。今はブランド感を持たせたようなマーチのデザインを、みんなで考え中です。

ー最後に、皆さんの個人的な野望含め、muqueとしての目標を教えてください。

Lenon:バンドの規模感が徐々に大きくなりはじめて、自分の意識もどんどん変わってきました。もっと練習を重ねて演奏スキルを高めたいし、takachiが聴いている音楽を自分も取り入れて、ニュアンスでセッションできるようになりたい。今はとにかく日々勉強です。

Asakura:海外も視野に入れた活動をしていきたいので、語学力を高めたい。海外のアーティストとコラボとかもできるようになったら嬉しいので、英語でコミュニケーションが取れるようになっておきたいです。

takechi:個人的に頑張りたいのは筋トレ。自分が憧れているドラマーは袖なしの服を着たマッチョな感じなので(笑)。僕もmuqueとして海外でライブをすることが目標です。

Kenici:僕は趣味で絵を書いていて、一時期は漫画家をめざしていたこともあって。ギタリストとしてはもちろん、そういった自分の一面も発信していきたいなと思います。そしてmuqueとしてはたくさんの楽曲を世の中に残すことはもちろん、一つ一つを大切にステップアップしていきたい。信念を持って、活動を続けていきたいです。

INFORMATION

muque(ムク)

Asakura(Vo&Gt)、Lenon(Ba)、takachi(Dr)、Kenichi(Gt)による福岡在住4ピースバンド。

muqueの楽曲はドラマーでありながらトラックメイク/アレンジを手がけるtakachiとトップライン/作詞を担当するAsakuraを中心として制作される。US、UKに止まらずASIANも含むワールドワイドな音楽を好むtakachiの同時代性の高いトラック、Asakuraが紡ぐ抒情的な詞世界とどこか和を漂わせるメロディーラインがその最大の魅力。そんな楽曲がAsakuraによるエモーショナルなヴォーカリゼーションにより独特の世界観を作り出している。
バンド名のmuqueはフランス語で“音楽”を表す「musique」と、日本語の「無垢」をかけた造語で、「穢れのない音楽(muque)=周りに影響されず、自分たちのやりたい音楽を作り続けたい」という意味が込められている。2023年11月に新作EP「Design」をリリース。12月15日には初の自主企画イベント「muque presents PLAYPARK」を東京・下北沢ADRIFTで行う。

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新作EP『Design』
収録曲
1. 456
2. Charming
3. “Later”
4. Dear, my friends
https://asab.lnk.to/muque-design

muque presents PLAYPARK
2023年12月15日(金)東京都 下北沢ADRIFT
<出演者>
muque / クボタカイ / Mega Shinnosuke
チケット:
https://eplus.jp/muque/

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