ART 2022.08.09

千葉・勝浦にて「海岸線アートプロジェクト」が始動。オープニング作品は立石従寛の「Beach on Beach」

EYESCREAM編集部
EYESCREAM編集部

千葉・勝浦において「海岸線アートプロジェクト」がスタート。そのオープニング作品として、現在、美術家/音楽家の立石従寛による新作インスタレーション「Beach on Beach」が勝浦海中公園内において展示されている。

本作は、7月30日に勝浦海中公園内にオープンした、レストランとサーマルスプリングスパ(天然温泉スパ)を併設した複合施設、edénの指定管理者であるSalt Groupの協力のもと実現。edénの開発背景となる、勝浦市の観光産業衰退化などの課題解決に向けたプロジェクトのひとつとして「海岸線アートプロジェクト」は立ち上げられた。

勝浦の土地やユートピアをテーマに、浜辺に浜辺を積み上げることにより、人による浜辺=太古の記憶への影響を浮き彫りにする本作。高さ1.5m、広さ約70㎡の人工的な砂浜にはパラソルやビーチチェアが設置され、鑑賞者は実際に作品に上がってビーチのように過ごすことができる。

以下、作品ステートメントだ。

勝浦はリアス式海岸が続く断崖の地だ。砂岩が積み重なった層が荒波によって侵食され、忘れ去られた過去の記憶=地層がむき出しになっている。岩壁と海を見比べていると、海抜0メートルにあるこの浜辺が、地層の重なる以前の太古からあることを思い出す。

そんな勝浦の浜辺に、積み重なることのない浜辺を、人工的で切り取られたユートピアのように、あるいは地層のように、記憶の更新として重ねてみる。失楽園の以前、エデンの園の頃にもどりたいと強く想うノスタルジアが、「いまのここ」に「かつてのかなた」を思い出させる。

パラソルの下、ビーチチェアに座ってみると、足元の砂浜と下にある波打ち際が同時に見える。水平線は普段の目線より少し高くあり、もう一つの水平線がぼんやりと浮いて見えてくる。降りると足の裏でシーガラスやプラスチックが混ざる漂流物を感じる。こうして、浜辺が太古より変化し続けていることに改めて気付かされる。

この星を水平につなげる浜辺を、ほんの少しだけ切り取って垂直に重ねる。本作に上がって、まるくこの星を見下ろしていただきたい。




INFORMATION

「Beach on Beach」

会期:2022年7月30日(土) – 8月31日(水)
会場:千葉県勝浦市吉尾234 勝浦海中公園内
開廊時間:24時間 ※作品には一度に3名まで上がることが可能
閉場日:無休、ただし8月11日 – 16日は鑑賞のみ ※入場無料
出展作家:立石従寛
主催:edén 協力:Salt group、davo.、瀬戸山七海

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