世界各地の辺境地域やマイノリティーなコミュニティーに入り込み、寝食をともにしながら撮影を行う写真家、名越啓介による写真展「Familia 0565」が、4月12日より馬喰町KKAGにおいて開催される。
日系ブラジル人が多く住む愛知県豊田市の保見団地。2014年〜2016年の約3年間、名越は実際にこの団地に住み、4万枚以上の撮影をしてきた。その作品群は2016年に写真集『Familia 保見団地』にまとめられ、2023年に劇場公開された役所広司主演映画『ファミリア』は、この写真集をモチーフとして制作されたのは記憶に新しい。
本展では、同写真集に掲載された作品に加え、2021年より現地で撮影を再開した新作も合わせて展示。名越自身が、撮影した際の思いを文字にして作品に記載するという試みも行われるようだ。
以下、本展への作家の言葉だ。
2014年の初夏、保見団地に住む事を決めた。
2013年の大晦日の夜に初めて団地を訪れ、ポルトガル語を話す多国籍な顔つきの14.15歳の少年達を撮影した時に、懐かしさを感じた事を憶えている。あれから 8年の月日が流れた。
2016年に写真集の完成を境に団地から離れたがその後も団地に足を運んだ。2021年に団地に訪れた際に団地の仲間と再会した。
結婚した人、ラッパーになった人。子供を産んだ人。
ブラジルに帰った人、行方不明になった人。
新しく団地に来た人。久しぶりの再会に団地から離れた自分に対して、何もなかった様に彼等は明るく受け入れてくれた。
日本とブラジル、どちらにも帰属できなくとも保見で育った仲間達は
みんなこの団地が 家 である。自分もまた団地という大きな家族の一員である事に今も変わりはない。
今現在約4000人の南米系の移民がこの保見団地に暮らしている。
名越啓介
INFORMATION
名越啓介 写真展「Familia 0565」
会期:2023年4月12日(水) – 4月29日(土・祝)15:00 – 21:00
会場:Kiyoyuki Kuwabara Accounting Gallery(東京都千代田区東神田1-2-11 アガタ竹澤ビル405)
休廊:日・月・火 *入場無料 *最終日は18:00閉廊