ART 2024.04.19

NYを拠点とするアーティスト、西川裕子の個展『Mossy Mossy』が山梨・北杜のGASBON METABOLISMで開催

EYESCREAM編集部
EYESCREAM編集部

ニューヨーク在住のアーティスト/陶芸家、西川裕子の個展『Mossy Mossy』が山梨県北杜市の複合アート施設、GASBON METABOLISMにおいて4月26日より開催される。

西川は、さまざまな素材を用い空間を構成するアーティスト。近年は、紙とパルプ、数種類のスチールワイヤーを用い、ミニマルなオブジェクトが多数浮遊する空間を構成している。一昨年、昨年とGASBON METABOLISMの周辺に滞在しリサーチを行い、今回、新作の展示を行うこととなった。

展示タイトルの「Mossy Mossy」は、リサーチ時にGASBON METABOLISMで見つけた苔という生物の生命力と構造への関心から想起されたもの。本展では西川が積極的に取り組むモビール作品として組み上げ、空間インスタレーションとして展開。鑑賞者の動きが作品に反応をもたらし、干渉し合う無数のオブジェクトのバランス構造が、単なる視覚的体験だけでなく、気配を意識させる作品として立ち現れる。

以下、作家ステートメントだ。

Mossy Mossy(モシモシ) 2024
Mossy: 苔むした

苔 (moss) がこの建物の中を覆っているのに出くわす情景を想像した。苔は硬い石をふかふかにする。足元、側面、頭上を包んで広がって分厚く育つ。その中にまいり込んだ者に飲み込まれた恐怖、自己を忘れる悦び、どこからまいり込んだのか、いつから飲み込まれ始めたのか分からない不思議がやってくる。

中心から周囲に広がり育って増えていく。あるのではないかと想像できる育つシステムにそいながら次へ次へと変化しながら大きくなっていく形を作った。この今も増え続けていると思われる形だ。

針金と紙パルプの作品は天井から下がる一本の固定された線から繋がって重量のバランスで形成されている。形の全部が繋がって各部分の形、動きがたがいに依存しあっている。線、色、形、テクスチャー、量は、見るものが体をここに運んで体験する要素で作った。1つ1つの形は全て違う。遠くで見れば単色に見えるものも近くではたくさんの違う色の点々でできている。触ってみたくなるぼこぼこもあるしひらひらもある。人が動いて空気の流れが変わる反応で作品が動き形が変化する。

あんだ針金のみで構成された作品は、びんびんと硬い黒い線そのものだけではもたない透明感のある形だ。一点から見るのではなく、あらゆる方向から、体を動かして見て体験する時に形が変化する。

線が形になる、それがまた次の形の要素になる、この繰り返しと広がりがひとりの中のアイディアの育ち方と、人同士のアイディアの広がりと似ている。一本繋げるとそこからまた一本繋がって、その前の一本を繋げる前には想像できない形がその先に育っていく。それぞれの線が育ちを繰り返して環境になる。その中に迷い込む。飲み込まれる。

—西川裕子

INFORMATION

西川裕子『Mossy Mossy』

会期:2024年4月26日(金) – 5月27日(月)
会場:GASBON METABOLISM(山梨県北杜市明野町浅尾新田12)
時間:金〜月11:00 – 17:00 ※GW中の開館に関してはインスタグラムにて告知

https://www.instagram.com/gasbon_gasbook

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