アーティストのコムアイとビジュアルアーティスト、村田実莉が2020年に開始したアーティビズム・コレクティブ、Hype Free Waterによる体験型アートイベント「おかしなおかね」の第2回が、中目黒JUST ANOTHER SPACEにおいて6月21日、22日に開催される。

本イベントでは、入場料に対してオリジナル通貨「ぺ～ら」がランダムな数量、大きさ、形式で発行されるが、この「ぺ～ら」には一定の価値は存在せず、来場者が自身で価値を決めることとなる。会場では河野未彩、最後の手段、JACKSON kaki、Hiromu Oka、ぼく脳、ミナミリョウヘイ、YAGI EXHIBITIONなどなど約35組の住人（＝出店者）がマーケットを展開しており、それら含めてコミュニケーションを中心にした体験型のイベントとなる。詳しくは以下にある主催のステートメントを参考にしてほしい。

昨年10月に第一回目を約400人の来場者とともに盛況のうちに終え、待望の第二回目開催となった本イベント。参加条件は、入場料から換金した禁断の通貨「ぺ～ら」のみ。通貨と言っても、ルールも金額は決められておらず、価値は来場者と住人（出店者）のコミュニケーションによって決められるといった非日常的な体験を堪能できます。主催者側から決めた台本やルールはなく、どんなものを作って売るのかは住人次第です。

第一回目は、自身の作品を販売する住人から、ナンチャッテ賭博場、情報屋、両替屋、相談局など多種多様な50名ほどの住人による異様な熱気が会場一体を包み込みました。住人たちは、2日間で刻一刻と変化する状況を瞬時にかぎ取り、新たな売買やパフォーマンスを積極的に試みました。
そんな常に躍動し続ける本イベントは、一見ただ単なるおままごとをしているように見えるかもしれません。しかし、そこで生まれたのは、数字で価値が成りたつ現実世界から自由になることで、活発的に豊かなコミュニケーションを楽しむ人が増え、対話を通して感じた自身の感覚や信頼感でものごとが進む現象でした。これは逆説的に見ると、参加者全員がいかに現代社会で生きる上でお金に突き動かされて行動していたかを表すことでもあります。前回のイベント終了後、現実に戻った瞬間、参加者のほとんどが幸せを感じながらも、「無意識にお金を使うこと、稼ぐことを考えていた」と唖然としたといいます。主催者側が「労働」を強いたわけではないのに、全員が無意識に通貨「ぺ～ら」で売買することに注力していたさまは、まさに資本主義のなかで生きる私たちを演技していたかのようでした。

日常的に、金額が決まった通貨を使うわたしたちは、普段コミュニケーションなく、モノを買うことができています。昨今、無人レジやオンライン販売の登場によりコミュニケーションを介さずに購入できるほか、AIの登場で質問に対してより速く回答が得られる世界に突入しています。世界が経済困窮するなか、わたしたちはお金でしか価値を見出せないのでしょうか？ルールがないと生きれないのでしょうか？数字やアルゴリズムがないと評価できないのでしょうか？

自由に破ったり、デコったり、偽造できる禁断の通貨「ぺ～ら」。「おかしな」お金で遊ぶカオスな空間で、唯一信じれるものは、自分自身で感じる価値や信用。そんなある種、自分たちが生きる資本主義をおちょくりながら再演する社会実験をぜひお楽しみください。

ー おかしなおかね実行委員

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また、開催に先立ち、6月4日には原宿bar bonoboにおいて、コムアイと食品まつり a.k.a FOODMANによる新作EP「おかしなおかね」のリリースパーティーが行われるほか、6月10日には、DOMMUNEにおいてコムアイと村田実莉がトーク出演予定となっている。