日々新しいアート/カルチャーが生まれる街、東京。EYESCREAMでは、そんな東京のアート/カルチャーのムードを探る特集を3回に分けてお届けする。
そのセレクトを信頼できる場所に足を運んで、身を委ねてみることは楽しい———。ということで今回は、EYESCREAM選の東京のギャラリー、ブックストア紹介の後編をお届けする。書は捨てずに街へ出て、今芽生えつつあるカルチャーの息づかいを感じよう。
SALT AND PEPPER
スパイスの効いたセレクトで小気味よく
VAINL ARCHIVEを主宰する大北幸平さんによるSALT AND PEPPER(以下、S&P)は、今年2月にオープンしたばかり。これまではVAINL ARCHIVEのルックのアートディレクションなどもすべて自身で手がけてきた大北さんだが、S&Pについてはブランドとは異なる見せ方にするため、「なるべく外の力を借りている」と話す。店名も大北さんの髪の毛の色合いを見た友人のカメラマンの言葉から名付け、店内で販売しているZINEのセレクトも自身では行わず任せているそう。ギャラリーのロゴデザインを手がけたステファン・マルクスによる靴下など、オリジナルアイテムも魅力的だ。
INFORMATION
SALT AND PEPPER
東京都渋谷区恵比寿西2-5-2 今村ビル2階
営業時間:12:00 – 18:00 / 水曜定休
https://www.instagram.com/saltandpepper223/
SNOW SHOVELING
読書をアップデートする“出会い系本屋”
駒沢大学、桜新町、等々力の3駅の、ちょうど中間あたりに位置する、世田谷のブックストアSNOW SHOVELING。一時期は“出会い系本屋”を標榜していたその心には、「パブリックであることを重要視しているんです」と店主の中村さんが語るように、SNOW SHOVELINGに並ぶ本たちを媒介として、議論が発生するような場所を目指していることがある。この場所で出会った人同士で会話が生まれ、ときには仕事や恋愛、結婚まで発展したこともあったのだそう。読書という行為をアクティブにアップデートしていくブックストアだ。
INFORMATION
SNOW SHOVELING
東京都世田谷区深沢4-35-7 2F-C
営業時間:13:00 – 19:00 / 火・水曜日定休
http://snow-shoveling.jp/
kit gallery
若手アーティストのありか
「keep in touch」(=連絡をとり続けよう)という言葉から名付けられたkit galleryは、ミュージシャンの松田“CHABE”岳二さんが運営している。KYNEやVERDYの個展を東京でいち早く開催するなど、この場所での展示を機にさまざまなシーンへ羽ばたいていくアーティストが数多くいる。ギャラリーには珍しく、ソファーが置かれていたりと、松田さんの個人的なスペースに招かれたような居心地のよさも、若いアーティストを惹きつけるポイントなのかもしれない。これまでkit galleryを訪れたアーティストたちが残していった作品がぎゅっと飾られたトイレスペースも隠れた注目ポイント。
nostos books
生活に溶け込みながら日本のアートを発信する
昔ながらの商店とニューカマーなショップが入り混じる、活気に満ちた松陰神社前の商店街。そんな立地に位置するnostos booksは、もともとフリーでデザイナーをしていたオーナーと店長の「実際の消費者の顔が見られる場を作りたい」という思いから始まった、人との近さが魅力的な書店だ。すこし不思議な店名の「nostos」は、「nostalgia」の語源で、ギリシャ語の「懐かしい」「家に帰る」という言葉を意味しているそう。運がよければ、撮影のときは隠れてしまった、看板犬のモグくんにも会えるかもしれない。
INFORMATION
nostos books
東京都世田谷区世田谷4-2-12
営業時間:12:00 – 19:00 / 水曜定休
《開催中》
上村一夫原画展「血とエレジー」
2018年6月12日(火)- 7月1日(日)
[SEARCH TOKYO]
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