INFORMATION
長谷川有里
http://yurihasegawaart.blogspot.com/
Instagram:@yurippe85
クリエイティブに携わる人々に、お気に入りのZINEをレコメンドしてもらう連載シリーズ『ZINEspiration』。今回登場するのは、ポピュラーなキャラクターや人物、ロゴマークなどを絶妙にデフォルメし、フェルト素材と手縫いによって、ゆるくてユーモラスな表情が魅力的なぬいぐるみを作り出している、長谷川有里。彼女が衝撃を受けてきたZINEを紹介してもらった。
ぬいぐるみを作り始める前は、平面の作品を中心に制作していた長谷川有里。何か新しいことをやりたいと感じ始めていた頃、アーティストの加賀美健と知り合ったのだそう。
「シンプソンズの偽物の絵の展示をSTRANGE STOREでやりたくて、健さんに話をしに行ったら、『人形も作ってみたら?』って言われたんです。自分でもぬいぐるみ作るのいいなって、なんとなく思っていたけど、健さんの言葉が後押ししてくれたというか。とはいえ、手芸なんて小学生以来一切やってなかったから、気軽に買える素材や自分の技術で作れる範囲を考えた結果、今みたいなぬいぐるみができあがりました。そこから、イベントで売ったりするうちに、ユトレヒトの人が『うちで販売しない?』と誘ってくれたこともあったりして、作り続けるようになりました」
自身の思いと出会いのタイミングが重なった結果生み出された、長谷川有里のぬいぐるみ。「とにかく自分が好きなものをモチーフに選んでいる」というぬいぐるみたちは、どのような制作過程を経て生まれているのだろうか。
「縫うより、切る方に時間がかかるんです。特に人間は色数が多いから大変。必ずコピー用紙に鉛筆で下書きをしてから作るんだけど、頑張って似せようとすると元のモチーフにすごく似ちゃうんですよ。つい、余計なものを足しちゃう。だからそうならないように、写真をパッと見て、それ以降は一切見ずに作っています。丸、三角、四角の要素で、なんとなくそのモチーフに見える感じになったらいいなと。最初のうちは試行錯誤しながら作っていたのがぬいぐるみにも出ていたけど、近頃は変にうまくなっちゃって、初々しいへなちょこ感がなくなってるかも(笑)。今よりうまくならないように意識して、『成長しないアーティスト』っていう新しいスタイルを目指そうかな(笑)」
そうして生まれたぬいぐるみに対しては、完成してしまうと「まったく執着がない」のだそう。制作したあと自身の手元に置いておくこともほとんどないという(唯一少しだけ手放すのがもったいないと思ったのは、ビースティ・ボーイズ『ハロー・ナスティ』のジャケットを再現した作品とのこと )。最後に、今後ぬいぐるみを通してやってみたいことを教えてくれた。
「映像を作りたいんです。ぬいぐるみのコマ撮りアニメとかも撮ってみたいけど、一番の野望は、自分の人形を爆破して、その映像を撮りたい! ここ2年くらい言い続けているんですけど、『仮面ライダー』みたいな、いわゆる特撮のオープニング的な感じで、そこそこ大きめサイズの人形を内側から爆破したい。弾けて綿が飛び散るようにしたいな。どうしようもないストーリーでいいから、コマ撮りと爆破をつなげて1本のストーリーがある映像にするのもいいですよね。いつか実現して、展示したいなと思っているんです」
INFORMATION
長谷川有里
http://yurihasegawaart.blogspot.com/
Instagram:@yurippe85