ART 2019.11.30

山谷佑介が9月に敢行したEUツアーの軌跡を辿る帰国報告展覧会”I came back home”が12月7日から開催

EYESCREAM編集部
EYESCREAM編集部

かねてより紹介してきた写真家・山谷佑介の9月のEUツアーが完了してから早くも2ヶ月。その帰国報告展覧会“I came back home”が開催されることになった。場所は作品のコンセプトに合った空間での展示を目的とした自主企画・ギャラリー山谷。ギャラリー山谷での展示は1年半ぶりとなり、今回は、現在の山谷のホームタウンである杉並区和泉での開催となる。

2019年9月、山谷は必要な機材をバンに詰め込み、ヨーロッパ6カ国を巡るパフォーマンスツアーを敢行した。走行距離4,980km、全8回のパフォーマンスで撮影された写真は3,563枚にのぼる。今回の帰国報告展覧会では、その全ての写真がプリンターから出力され、会場内に積み上げられており、来場者はそのプリントを自由に自宅へと持ち帰ることが可能だ。

EUツアーで披露されたのは“Doors”と名付けられた写真とドラムパフォーマンスが融合したセルフポートレート撮影。ドラムセットの周囲に3台のカメラを設置し、ドラムを叩いた振動をセンサーが感知すると強烈なストロボ光を放って山谷自身や観客、会場の様子が撮影されるというものだ。撮影された写真はパソコンを経由して、複数台のプリンターから絶えずプリントアウトされ、場内にはその写真が時間の経過によって溢れていく。不規則に切られるシャッターと暗闇に放たれるフラッシュは、山谷の姿を残像として観客の瞼に焼き付け、プリンターから大量に出力された写真はそれとは違うイメージを生み出すなど、パフォーマンスから写真の生産に至るまでの一連の流れは、人間の意識や物事をみる眼差しの歪みや複雑さを浮かび上がらせる。

今回の旅を振り返り山谷は「俺はずっと剥ぎ取ろうとしてきた。でも、取ろうとしないで、こちら側を剥ぎ取った。そしたらそこには優しい世界がありました」。と述べている。SNSなどを通して日々多くの写真や情報を目にし、常に何者かからの視線の中を生きる相互監視的な社会の中で、自らの身を持って、アナログな方法で写真という行為に飛び込んだ写真家の軌跡を五感で体験して欲しい。

INFORMATION

I came back home

会期:2019年12月7日(土)-12月15日(日)
時間:13:00〜18:00 ※土曜のみ13:00〜20:00 
会場:ギャラリー山谷
住所:東京都杉並区和泉1-10-7 (京王線代田橋駅・沖縄タウン奥)
詳細:http://www.yusukeyamatani.com

※ギャラリー山谷とは、作品のコンセプトにあった空間での展示を目的とした、神出鬼没なギャラリーのこと。

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