CULTURE 2021.09.29

tokyovitaminとJägermeisterがコラボ
現代東京のナイトシーンについて考える

EYESCREAM編集部
EYESCREAM編集部
Text_Ryo Tajima[DMRT]

現在、Jägermeisterは東京のナイトカルチャーをサポートするべく、”SAVE THE NIGHT JAPAN 2021″というプロジェクトを遂行中。昨年から世界中で #SAVETHENIGHT というイニシアチブを発足し、すでに60ヶ国1500名以上のアーティスト支援を行ってきた。
そんなJägermeisterが、音楽レーベル・クリエイティブコレクティブのtokyovitaminとコラボレーションする。東京を拠点にナイトライフを大切にする彼らにとって、今のナイトシーンとはどのようなものか。そして、なぜナイトライフが自分たちに必要なのかを聞く。インタビューに参加してくれたのはtokyovitaminからVickとKenchan、Duke of Harajukuの3人。

L to R_Kenchan, Vick, Duke of Harajuku

夜の時間は先に繋がる何かが起きる場所

ー今回、Jägermeisterによるローカルプロジェクト”SAVE THE NIGHT JAPAN 2021″とタッグを組んだアクションをtokyovitaminとして行いますが、どういった経緯で、どんなことを行うんですか?

Vick:僕らも、このコロナ禍で海外での活動ができなくなっている状況で、どのようなアクションを起こしていけばいいか考えていたところだったんですが、”SAVE THE NIGHT JAPAN 2021″のコンセプトなどを聞いて、一緒にクリエイションしたいと思ったんです。しかも、このプロジェクトは東京だけにフォーカスしたものではなく、全世界に向けて発信されるものなので、その点も僕らにとって魅力的でした。

―そこでJägermeisterと共作したいと考えた理由は?

Vick:プロジェクトを通してナイトシーンをキープし続けようとしているし、僕らを含む多くのアーティストをサポートしようとしてくれる姿勢や考え方に共感が持てるからですね。

Kenchan:やっぱり僕らは好きなんですよね、夜の、あの空間が。クラブの中では、その場にいる人全員が平等だと思っていて。肩書きとか年齢が関係ない場所としての夜の時間。そういうところで、色んな人とフラットに話すことで先に繋がったことも多いし、新たなクリエイションのきっかけになったことが多々あるんで。でも、クラブやパーティで何を話したのかは重要じゃなくて。その先に繋がる何か、そのためのステップ、それが起きる場所としてのクラブが好きですね。その現場やカルチャーをサポートするJägermeisterの動向に、僕らとしても賛同したんです。それで、具体的に何をするかを考えているとき、ナイトカルチャーに関わるアーティストと共に何かできないかなってことを話し合っていて。最終的には3つのMVとZINEを共作したうえで、一緒にイベントを開催しようということになって。

ー順番に教えてください。まず、3つのMVというのは?

Vick:現在、僕らはtokyovitamin名義の2ndコンピレーションアルバム『Vitamin Yellow』を制作中なんですが、この作品に収録されている楽曲のMVから3つ、Jägermeisterのサポートで制作しようと考えているんです。その第1弾がMIYACHIの「WHAT HAPPENED」で9月29日にリリースします。その他2本についても順次お伝えできればと考えています。

ーMIYACHIとtokyovitaminはもともと繋がりがあったんですか?

Vick:そうですね。それこそナイトライフ、遊びの現場で出会ったんですが、音楽以外の活動も色々と面白い発信をしていて、今回のMVにはMIYACHIが考えたストーリーやアイディアを反映させているんですよ。彼らしいユニークな部分が伝わる映像になっていると思います。

ー他2本のMVも気になるところですが、アルバム『Vitamin Yellow』の内容とリンクしてきそうですね。どんな作品になりそうですか?

Vick:前作の『Vitamin Blue』発表以降、ここ1年ほど各々が活動している中で繋がりがあるコミュニティも広がり、そこから多くのアーティストに参加してもらっています。もちろん、もともと関係性があって仲が良いアーティストも多いんですけどね。そういったtokyovitaminが持っているコミュニティで作品を作り出すことをコンセプトに、制作は僕とKenchan、Duke of Harajukuの3人が中心となってやっています。

Duke of Harajuku(以下、Duke):僕ら3人が各々関係を持つアーティストを呼んできて、楽曲ごとに様々なアーティストが参加してくれているんで、僕自身『Vitamin Yellow』が楽しみなんですよ。普段、関わっていないアーティストともコラボできる場所なので。

ー今作には、皆さんが東京でのナイトライフや日々を送る中で出会ってきたアーティストやクリエイターが数多く参加されることになると思います。この1年を振り返ると、ざっくりどのような活動をされていたんですか?

Kenchan:これまで通りVJが多いですね。これまではパーティやクラブイベントでやることが中心でしたが、最近ではバンドのVJもやらせてもらっています。例えば、Age Factoryの東名阪ワンマンツアー Sleep under starに帯同したりとか。FUJI ROCK FESTIVAL ’21では、ミレパ(millennium parade)のライブVJの一部を担当させてもらったんですよ。やっぱり、バンドとなると、トラックに合わせたVJと違って、そのライブごとの生感があるのでいいんですよね。セッション的なことが映像と音楽でできるので楽しいんです。

Duke:ここ最近は新しい知識や価値観を吸収する時期だったかもしれないですね。というのも、自分の名義でアルバム『RAZZLE DAZZLE』を2020年の9月にリリースして以降、何もリリースしていないんです。相変わらず音楽を作ってはいるし、自分のことを音楽のオタクだと思っているんですけど、ちゃんと周囲の音楽が自分の中に入っていなかったんじゃないかなと感じて。それで、自分を1回リフレッシュしようと思ったんです。今年で日本に来て10年目なんですけど、ちょっと疲れちゃってたのかも。1人で頑張ってずっと何者かになろうとしてきたので、今はリラックスした気持ちになっていますね。もちろん、tokyovitaminに限らず、仲間がイベントやポップアップをやるときは顔を出してサポートしに行って、ということはやっていますけど。今月、次にリリースするプロジェクトのMVを撮影するんですけど、それが『RAZZELE DAZZLE』以降、初めて出す曲になりますね。新鮮な気持ちで制作した楽曲なので、これまでの自分とちょっと違う、新しい表現になっていると思います。

Vick:僕はtokyovitaminをレーベルとして活動させていく中で『Vitamin Yellow』の制作に没頭していましたね。その流れで、今回のJägermeisterとの共同制作にも行き着いたし。

ーわかりました。ではZINEについて。これはどんな内容になるんですか?

Vick:パンデミック前の2017から2020年にフォーカスして、自分たちが出演したりホストとして開催してきたイベントやパーティのフライヤーを集めた内容にしようと思っています。それを見返せば、自分たちがのコミュニティがわかるようなものになるんじゃないかと思っていますし、僕らのナイトライフが伝わるんじゃないかなって。

Kenchan:フライヤーと繋がっている記憶って絶対あると思うんですよ。それがいいですよね。スマホの画面上で見るのとプリントされたのでは全然違くて。WREP(渋谷のクラブ)でやっていた頃、紙のフライヤーを作っていなくて、Tシャツに刷ったりしていましたけど、今回はプリントされたものの集合体として表現できるので、オレらとしてはすごく意味があるZINEなんです。

Vick:フライヤーを見ると、その日にあった出来事が思い起こされますからね。忘れていたことが絵として浮かび上がってくる。僕らにとってそういうものになると思います。


※Union Tokyo、Portration、Bloody Angle Dougen Tong、Beat Cafeにて。1ヶ所につき10冊無料配布。無くなり次第終了。

ー3つ目、イベントがどんなものになるか。今段階で考えていることを教えてください。

Vick:そもそも僕らがこれまでパーティを開催してきたコンセプトとしてあるのが自分たちで自分たちの遊び場を作るってことだったんですよ。そこに人が集まったら楽しいし、新たな繋がりが出来るのが嬉しくて。そのコンセプトは今も変わらず根底にあって、Jägermeisterとのイベントでも、そこに重きを置いた展開になると思っています。

Kenchan:僕らは今、27歳なんですけど、上も下も含めて色んな世代をブッキングしていて。それによって様々な年代の人が集まってくれたら楽しい空間になるんじゃないかなと考えているんですよ。この1つの空間の中で、僕らが思いもよらないような世代を超えた出会いがあって、それが今後の何かに繋がっていけばいいし、そういう場所を作れればと。

Vick:今までは自分たちが1番年下の世代だったんですけど、昔、先輩がやっていたことの役目が自然と自分たちに回ってきたという感覚でもありますね。本当に下の世代も面白いヤツらが大勢いるんで。

ーやはり、tokyovitaminが活動の根底に置く意思がイベントにも反映されているんですね。

Vick:はい。年齢が変わってアウトプットする形に変化や進化があっても、考え方自体は変わらないし、今も昔も自分たちで場所を作っていこうとする姿勢は同じです。作品もイベントもそうですが、やっぱり友達と何かを作ることがフレッシュな気分になるし楽しいんですよ。

ーナイトライフにおけるコミュニティを重視するtokyovitaminならではの考え方ですね。

Vick:こういうご時勢でイベントも減っていますけど、Dukeが言ったように仲間がやっているパーティやイベントはサポートしに行っていますからね。時代が変わっても、ナイトライフが持っている魅力は変わらないし、僕らが作るイベントが、最初にKenchanが話していたように、誰かと誰かが繋がって次に繋がっていくような空間になればいいと考えています。

ー最後に。今後、tokyovitaminがやりたいことは?

Kenchan:やっぱり、みんなで海外に行きたいですね、パンデミック前と同じくらいの頻度で。

Duke:いいね。でも海外に限らず、何でもやりたいよ。「これじゃなきゃやりたくない」とか、そういうのはない。とにかくアクティブに活動していたいよね。

Vick:そうだね。日本で出来た僕らのコミュニティにいるアーティストを海外のコミュニティにもシェアしていきたいね。

Kenchan:そしたら、向こうからもシェアしてもらえるからね。そうやって夜の時間が繋いでくれて互いのカルチャーがミックスされる。その混ざり合いが楽しいんですよ。

本インタビューにあるように、MVからZINE、イベントと、多角的なアクションを起こすJägermeister とtokyovitaminのコラボレーションプロジェクト。tokyovitaminにとっても、東京から世界へ向けて自らが属するナイトライフのカルチャーを伝えるきっかけになっている。その展開にご期待いただき、是非イベントという現場に足を運んでいただきたい。

INFORMATION

tokyovitamin×Jägermeister

tokyovitamin Profile
東京を拠点とするインデペンデント・レーベル。2016年よりイベントやミックスのラジオを始め、現在はレーベルとしてコンピレーションアルバムをリリースするとともにアパレルや映像などでも活動中。昨年リリースしたアルバム”VITAMIN BLUE”に続き、tokyovitaminのコミュニティ周りのアーティストを含むニューアルバム”VITAMIN YELLOW”を2021年10月にリリース予定。海外での活動を自粛する上で、今年交流が多かった国内拠点のアーティストが揃った作品となり、前作とはまた新たなテイストが集まるアルバムを制作中。

tokyovitamin x #savethenight
at womb
2021年10月1日(金)
23:00-4:30 | DOOR: ¥2500 U23: ¥1000

1ST FLOOR BAND-AID (Early 2000’s HIP HOP, R&B, and Reggae Party )
DJ KAORI, MAGARA, LONO3, YUKIBEB, VICK OKADA, FA SHO FA SHO

MAIN FLOOR
TARO IMAI, KOTSU, FOOLISH MAN and SPECIAL GUEST, RAVE RACERS, GLIIICO
VJ: KENCHAN
https://www.womb.co.jp/event/2021/10/01/tokyovitamin-x-savethenight/

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