Interview & Report:
New Balance × eyeron(ソナーポケット)
走ることで見えた“繋がり”を体現した一足

Photography_Obama Ryohei
Text&Edit_Maho Takahashi

Interview & Report:
New Balance × eyeron(ソナーポケット)
走ることで見えた“繋がり”を体現した一足

Photography_Obama Ryohei
Text&Edit_Maho Takahashi

日本アーティストにおいてランニング最速記録(2時間34分59秒)を保持するeyeron(ソナーポケット)New Balanceと再びタッグを組み、オリジナルデザインシューズ「Fresh Foam X 1080 v12」と、オリジナルデザインソックス「グラフィック ランニングミッドソックス」を発表した。これに伴い去る9月11日(月)に、今作のコンセプト“繋がり”を体現するローンチイベントが開催。気持ちのいい秋晴れが広がる中、eyeronをはじめ彼とゆかりのあるランナーが同モデルを着用し、隅田川沿いの景色や会話を楽しみながら軽快な走りを楽しんだ。ここでは、イベントの模様と合わせてグラフィックデザインを手がけたeyeronにランニングとの向き合いについて話を聞いてみた。

Report

グループランニングの前に、eyeronがシューズデザインやコンセプトについて紹介。ストイックに走り続けてきた彼だから見えてきた繋がりの大切さや、グラフィックに落とし込んだ色やデザインの意味を伝えた。

その後、和気藹々とストレッチを終えると、スタート地点となる隅田川沿いへ。軽やかにスタートを切った。

この日は1km5分ほどのペースで約6kmを走行。余裕の笑顔で戻ってきた一行は、一息つくと用意された軽食とドリンクを片手に談笑を楽しんだ。

Interview

ー今日は皆さんで隅田川沿いを5kmほど走られましたが、すごく気持ち良さそうでしたね。

eyeron:思ったより暑かったですけど、みんなでトークをしながらコミュニケーションを取れたので、純粋に良い思い出になったなと思います。今回のイベント自体、仲間との繋がり的なことをコンセプトにしていたのも、自分のランニングに対する向き合い方が変わった部分が影響しているんですよね。今までは速さに向き合うストイックな走り方をしてきたんですけど、今はランニングの本質や走ることで得られる楽しさにもフォーカスしていて。今日走ったくらいのスピード感で、その街の景色や一緒に走っている人との会話、自分が走る音なども味わうようになってきましたね。

ーそもそも走るようになった経緯は何だったんですか。

eyeron:僕らソナーポケットは今年の9月で15周年を迎えたんですけど、7周年のタイミングでチーム内で7つの挑戦をするという企画をして、僕はマラソン大会に出場することにしたんです。元々はサッカーをやっていて、どちらかというと走ることは修行に近い退屈なイメージがあったんですけど、ラジオのパーソナリティを務めているFM802の方にゲストランナーとしての出走をお声がけいただいて。結局その大会自体にはツアーと被って出られなかったんですけど、後日別のマラソン大会に出たのが最初ですね。

ーそこからストイックに走るようになったのは?

eyeron:ランニングって結果が出やすいというか、他のスポーツよりも積み重ねた実力が明確なので、自分の成長を感じるスピードが早くて楽しいんですよね。前回よりも1秒早く走ることができたとか、自分が決めた目標を達成していく感じが第二の青春に近感覚でのめり込んで行きましたね。あと、一概に走ると言っても、ランニングやマラソンだったり、今日みたいにみんなで一緒に走ったり、いろんな楽しみ方があるのも他のスポーツにはない魅力かなって思います。

ー先ほど走ることへの向き合い方が変わったとお話していましたが、何かきっかけはあったんですか。

eyeron:ゲストランナーやアンバサダーとして各所のランニング大会に出場したときに、スピードを目的として走っていた時期もあったし、当初はストイックになることはクールだと思っていたんですけど。そうやっていると、他のランナーに抜かされることはないけど、会話や繋がりが生まれないんですね。アンバサダーとして出ているのに、遠い存在になってしまっていたというか。それに気づいて大会でもゆっくり走るようにしたら、『〇〇まで来てくれて嬉しいです』『(マラソン大会オフィシャルTシャツ)素敵なデザインをしてくれてありがとうございます』と走りながら声をかけてもらえるようになって。やっとマラソン大会に対して自分ができることをやれた気がしたんですよね。

ー素敵ですね。そういう気付きを経て、今回のデザインのコンセプトも生まれたのでしょうか。

eyeron:そうですね。やっぱり東京という大都会で忙しなく過ごしていると、繋がりが多いようで深い関係性を築けていなかったり、どこか寂しさを抱くことがあるなと思っていて。自分もランニングというコミュニティに出会ったからこそ、ランナー同士との繋がりを感じることができたので、それをより強く感じたいし、みんなにもそれをもっと知ってほしいと思って“繋がり”をデザインに落とし込みましたね。

ーなるほど。カラフルなグラフィックが印象的ですが、改めてこだわりやポイントを教えてください。

eyeron:赤や青、黄色という派手なカラーを白や黒でまとめているんですけど。カラーリングで多様性やダイバーシティを表現しつつ、ランニングを通してボーダレスに繋がりたいって想いを込めてました。グラフィック面でいうと、ノイズやバグを表すグリッチを採用していて、日常における人には言えないモヤモヤや人間関係におけるちょっとした溝を表現してみました。このデザインも一見繋がって見えるんですけど、近くでよく見ると繋がっていないという、現代社会そのものを象徴したものになっていますね。結構細かいデザインだったので、どこまで再現できるか不安はありましたが、満足するものに仕上がったので、チーム一丸とやれたからこそできたものだなと思いました。

ー走ることで創作活動へのインプットを得ることは多いですか。

eyeron:ゆっくり走ることによって、イマジネーションが湧いたりはしますね。マインドリセットというか、自分の頭の中でのイノベーションを起こすために必要な時間になっています。禅に近い感覚かもしれません。頭をシンプルにすることで、心もリセットされて豊かになるし、脳や身体にとってのデトックスになっていると感じています。

ーちなみに、今後やってみたいデザインやアイデアはありますか。

eyeron:まだ分かりませんが、そのロゴやカラーを見るだけで連想できるものを作りたいと思っています。例えば僕のイメージカラーがピンクなので、そういったイメージを定着させられるようなデザインやアイデアを考えられたら面白いんじゃないかなと考えています。

ー楽しみです。では、ランニングを始めたばかりの人やこれから始めようと思っている人にアドバイスをするなら、どんなことを伝えたいですか。

eyeron:ランニング単体をやろうと思わないで、まずは近くのカフェまで走って行ってみようとか、何か別の目的と合わせて走った方が負荷もなく長く続けられるんじゃないかなと思います。ランニングって何かと掛け合わせることができるスポーツだと思うんですよ。それこそ僕は趣味としてプロギングというゴミ拾いをしながら走っているんですけど。走るだけが目的でもゴールでもないので、その人なりの楽しみと掛け合わせて始めてみてほしいですね。

ー最後に、ランニングを通じてこれからやってみたいことはありますか。

eyeron:趣味で始めたプロギングですが、ゴミを拾いながら走ることで、その街や地域を綺麗にする活動にも繋がると感じたんですよ。なので地域貢献という意味で、いつかハザードマップを作りたいと考えています。案外みんな住んでいる街の避難場所って知らない人も多いと思うので、走りながら災害が起きたときに使える道や集合場所などを確認して、それを記したマップを作れば防災にも繋がると思っています。

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