CULTURE 2024.01.30

アーティスト市川孝典が個展「DELUSIONAL murmur (#003)」を開催

EYESCREAM編集部
EYESCREAM編集部

CHANELやTAKAHIROMIYASHITATheSoloist.など、トップブランドとの協業でも知られる市川孝典の展覧会「DELUSIONAL murmur (#003)」が、2月10日(土)よりGallery COMMONにて開催される。

温度や太さなどが異なる60種以上の線香を使い分け、下書き無しで和紙を焦がしながら描く「Scorch Paintings (線香画)」シリーズや、絵の具を重ね、色の積層を削り落とすことで、下層のイメージを浮かび上がらせる「Scrape Works」シリーズを発表する大規模な個展となる。

Untitled (woodland). 2023. Burnt paper. 170×110 cm. Photo by 木奥恵三. ©2024 Kosuke Ichikawa/Soni. & Co. All Rights Reserved.

Untitled #38. 2018. Ink, acrylic, watercolor and pastel on paper, mounted on white wood frame. 80 × 80 mm. Photo by 木奥恵三. ©2024 Kosuke Ichikawa/Soni. & Co. All Rights Reserved.

古城に忍び込み泊まることを繰り返していた数ヶ月、毎日のように見ていた懐中電灯で照らされたヨーロッパの森。
10代の不安や好奇心や葛藤を懐中電灯に照らされた森を通して描いている。

忍び込んだ手付かずの古城の中では、もう使われていないシャンデリアを無意識に寝そべりながら懐中電灯で照らしていた。

そして祖父のコレクションの時計を何度もバラして、何度も組み直した。
動かない時計を作り出すのが好きだった。

人の抜け殻のようなvintageのジャケット。
確かにそこにいた人の痕跡を辿って気配を感じて服を通して人を描いた。

標本箱の昆虫やドライフラワー。
永遠の美しさを手に入れた昆虫や花を作品に焼き付けて生を感じた。

子供の頃に住んでいたジャズクラブの屋根裏。
演奏が始まると、寝ている私の横の壁に踊るように照らされていた管楽器の影。

時が経って自分が経験した気になっている好きな音楽、映画、小説、漫画、写真、他者の作品、雑誌、ノイズの中に浮かび上がる映像などは私の偽りの記憶の体験として紙上に再現した。

展示されてるこれらのモチーフは全部バラバラで時間的な脈絡はない。

これらのモチーフのすべては、私が、そして鑑賞者の目の端でみていた何気ない日常に出会った私だけが忘れても良い事柄なんだ。

市川孝典

市川孝典(いちかわ こうすけ)

主に紙を素材とし、メディウムとイメージ、実験的な技法を駆使して記憶の脆さと儚さを浮き彫りにすることで、移り行く世界の中で存在することの不安の表現を探求している。
13歳のとき、ニューヨークに移住し、アメリカやヨーロッパを旅し、さまざまな建築、音楽、美術に出会ったことが、アーティスト・画家として独立するきっかけとなった。
帰国後も素材の研究と実験を続け、市川の代表作のひとつ、線香で和紙を焦がしてイメージを描く「Scorch Paintings (線香画)」シリーズを発表。
ソーシャルメディアの画像を模した「Scrape Works」シリーズでは、同様のコンセプトから派生しつつも、絵の具を使い、レイヤー/スクレイピングのプロセスを用いることで、抽象的で掴みどころのない記憶の本質を、素材を通して表現する方法を探求し続けている。

最近の展覧会は、VINTAGE BROWN(PURPLE、京都、2023年)、murmur(A/D Gallery、東京、2022年)、TV(NADiff Gallery、東京、2022年)など。

INFORMATION

市川孝典「DELUSIONAL murmur (#003)」

2024年2月10日(土)~3月10日(日)
オープニングレセプション_2024年2月9日(金)19:00-21:00
開廊時間_12:00-19:00 (水~日) *月、火 休廊
場所:Gallery COMMON
住所:東京都渋谷区神宮前5 39 6 B1F
contact@gallerycommon.com
www.gallerycommon.com

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