スケートフィルムは、今。
エーロン・ボンダロフに聞く、スケートシーンとストリートの今。ストリートを見続けるエーロンの私感とは。
It’s an artistic presentation and it tells each of
their stories through visuals.
―― アーティスティックなプレゼンテーションであり自らのストーリーを語るビジュアルだ
―― 今回はNYの新たなスケートシーンをフィルマー視点で紹介してほしくてキュレーターとしてお願いさせてもらいましたが、いかがでしたか?
「この企画のオファーがあったとき、まず最初に思ったことは、オレたちがいる業界が大きく変化しているということ。というのも、オレが若い頃はスケートブランドやムーブメントを作ることは困難なことだったし、SNSも存在しなかったわけだからチャンスも少なかったわけだ。でも、若い世代のスケーター達はSNSを使ってブランディングし、自分たちのアイデンティティを自ら創りあげている。それを観ていると本当に面白いと感じるよ。個性という点で、昔は数が少なかったけど、今では、個々が明確なアピールを打ち出していて、それぞれのストーリーがある。まったく、いつの時代も新しいムーブメントを発見していくのは新鮮なものだな」。
―― ピックアップしたスケートクルーやフィルマーが表現するフィルムは、どれもアナログなタッチが特徴だと思いますが、これは新たなムーブメントなのでしょうか?
「彼らが子供だった頃、90年代のシーンを見て成長していったんじゃないかな。90年代は東海岸のスケートシーンにとって、大きな変わり目だったからね。今は、実際に高いカメラを買って、HDで撮影することも可能な時代だけど、若い世代が、あえてアナログを選んでいるのは、恐らく当時のアプローチをまたリヴァイバルしようとしているんじゃないだろうか。アナログで撮影することはハードルが高いことだけど芸術性がある。オレに関して言えば、ビデオを通して彼らのトリックが鮮明に映し出された映像を観たいわけじゃない。ただ、新世代のキッズ達のアーティスティックな表現、誰が今、話題になっていて、エネルギーを持っているのか。映像や洋服を通してのアプローチの仕方、といった全体のアートフォームをエンジョイしてるんだ。NYに限って言えば、LES Skateparkの存在は新世代スケートカルチャーの発信源だな。オレは何もNYのスケートシーンだけをフォローしていこうと考えているわけじゃないけれどね」。
―― 全世界的にストリートのスケートシーンはアーティスティックな方向にシフトしていると感じますか?
「正直、オレも昔ほどスケートシーンにどっぷり浸っているわけじゃないからな。具体的に話す人間として適しているわけじゃないかもしれないが、インスタグラムのおかげでビデオクリップをチェックできたりすること自体がクールだと感じているよ。シーンにおけるアプローチが以前とはまったく違う、これは確かなことだな」。
―― こういった動向は2014年にリリースされたSupremeの『cherry』以降、顕著になってきたと感じます
「Supremeの影響はもちろんあるだろう。NYスケートカルチャーシーンの原動力だからな。Supremeのショップは1994年からNYに存在し、スケーターを店員に雇って、あらゆるチャンスをあげてサポートしたり、スモールスケートブランドを取り扱ってスケーターコミュニティをサポートしてるんだ。スモールブランドにとって素晴らしいプラットフォームだと思うよ」。
―― 今、ストリートにおいてスケートビデオは、どのような役割にあると思いますか?
「アーティスティックなプレゼンテーションであり、自分たちのストーリーをビジュアルを通して語る存在だと思う」。
―― これからスケートビデオはどのような進化を遂げていくと思いますか?
「これは若いフィルマー達に聞いてほしい質問だな。彼らのクリエイティビティがその答えだろう」。