CULTURE 2025.09.13

WWWを”実験”で埋め尽くしたパーティ「OPENDOOR by Thir(s)ty One」 新たな文化の融点へ

EYESCREAM編集部

2025年8月31日、31日がある月の31日きっかりに開催されるクローズドな音楽イベント”Thir(s)ty One”が手掛ける”誰でも入れる”パブリックイベント”OPEN DOOR by Thir(s)ty One”が行われた。今年2回目となる開催で、会場は渋谷のWWW・WWWβ。テーマは、『1日限りの公開実験』とし、空間や演出、アーティストのコラボレーションなどさまざまな実験が行われた。チケットはソールドアウトとなり、多くのメディアやアーティストがその日への期待を語る中、熱量が最高潮となり幕が上がった。EYESCREAMでは、そんな”Thir(s)ty One”メンバーによるこだわりの詰まったイベントの演出も含めた当日の様子をレポートする。

Photo by SAI

空間テーマは『POP THE FRAME』。既存の枠からはみ出せ

”Thir(s)ty One”の通常のパーティに参加するためのルールはたった一つ。このパーティに来ている人のだれかの友達であること。毎回異なるロケーションで神出鬼没にイベントを開催しており、クリエイターたちの新しい関係をもたらし、ゆるやかに人と人とが繋がっていく場所となっている。”OPEN DOOR by Thir(s)ty One”は、これまでパーティーに関わってきたアーティストやクリエイターを中心に声をかけ、これまで培ってきたコミュニティがオープンになるからこそできる表現に挑戦を行った。

Photo by Miyu Matsumoto

Photo by Hide Watanabe

空間全体は、『POP THE FRAME』をテーマに、枠をはみ出て飛び出していく様子を表現。メインステージでは巨大な枠に挟まれたバルーンを設置。そのバルーンを用いて、会場ではさまざまな演出の実験が行われた。

photo by Hide Watanabe

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さらに、βでは”ドアから漏れ出る光”を表現した、さまざまな形で光るアクリルフレームが空間を彩り、DJ・アーティストらを演出。ラウンジでは大きな”Thir(s)ty One”のキャラクターがステージへと続く道の天井に見守るように登場したり、会話を楽しむ人々を映し出すミラーの装飾があったりと、遊び心溢れる演出で会場を彩った。

photo by Hide Watanabe

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アーティストとクリエイターによる個性溢れる実験

トップバッターは、3人のMCをフロントに据えた、 クロスオーバーサウンドを生み出す6人組バンド、asobi。メンバーとも親交が深いVJ、Hyodo Tomoyaとasobiがコラボレーションし、球体に映し出されたステージの360°カメラの全天球映像を中心に、様々なルックで世界とわちゃわちゃと遊ぶasobiメンバーを演出する”全天游球 quán tiān yóu qiú”という企画を実施。観客席までステージとして活用し、観客と一体となって演出を楽しみ、最初からボルテージをあげた一幕となった。

Photo by Miyu Matsumoto

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次に続いたのはクリエイティブディレクターであり映像監督として活躍するsuzkikenta。日々編集で活用するFinal Cut Proを活用し、映し出す映像・音楽ともに自ら編集して持ち込んでプレイ。suzkikentaならではの、畳み掛けるような展開に目が離せない観客が続出した。

photo by Miyu Matsumoto

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ダブルダッチ、落語と枠を飛び出すパフォーマンスも

三番手はダブルダッチシーンで活躍するイワネスインセインが率いるチームが、シューズアーティスト・Kenta Todaとコラボレーションしたパフォーマンス”SOLE JAM”を披露。イワネスインセインによるストリートなグルーブに、Kenta Todaの鋭いカスタムスニーカーがあいまって、会場は技を決める度に沸き立った。

photo by Miyu Matsumoto

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さらに続いたのは、Forbesによる”世界を変える「30歳未満の30人」”にも選ばれた落語家・桂枝之進。AIを介したコミュニケーションの研究を行うクリエイター・Bluemoとコラボレーションし、”AI落語「三遍稽古」”を披露。バルーンをAIの師匠に見立て、古典落語の稽古をつけてもらう中で、師匠がさまざまなシーンのコンプライアンスを指摘する展開に会場は惹きつけられ、会場は笑いで溢れた。

Photo by Miyu Matsumoto

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熱や水など自然の力を使った新しすぎる実験も

独特な脱力感とユーモア、日常感のあるリリックでフロアを沸かせる気鋭のラッパー徳利と不可視の力を可視化するアート作品を制作し国内外で発表する都淳朗(AAAQ)によるコラボレーションでは、サーモグラフィーカメラを利用した”満員温冷交互浴LIVE”を披露。半被姿で登場した徳利は、バルーンに投影されたサーモグラフィーで観客の熱量をあげたり、巨大なうちわとアイスで会場を冷ましたりとこれまでにないライブ表現で、まるでお祭りのような熱気に。

Photo by Miyu Matsumoto

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昨年のOPEN DOORでは参加予定だったものの台風により無念の出演キャンセルとなった諭吉佳作/menがカムバック!心を動かす作品創りを理念とし、広告映像を中心に各種コンテンツのプロデュースを行う「GMO ENGIE」の中の、最高レベルのAI動画を提供する社内UNIT「GMO ENGINE AI Creative Unit」がコラボし、AI と実写による“言葉”を可視化する実験企画を実施。諭吉佳作/menの世界観がつぶさに表現された唯一無二の演出と熱量の高いパフォーマンスに会場を沸かせた。

Photo by Miyu Matsumoto

アーティスト・河原太朗のソロ・プロジェクトTENDREが公の場では滅多にしないDJを、クリエイティブユニット「PDLS」の演出で披露。「PDLS」は、VJ席に水を貼ったアクリルの箱を持ち込み、音に揺らされた水面が、像の輪郭を変容させる独自のシステムを構築し、波紋による物理的な視覚効果に、デジタルエフェクトを重ねた独特な映像演出で会場を盛り上げた。さらに、TENDREの呼び込みで、ダンサーのyurinasiaが弟子のjaponicaとともに登場!TENDREのコラボ曲をはじめ、その日限りのグルーヴ感の高いダンスパフォーマンスに会場の熱気が高まり、終了後には大きな歓声があがった。

Photo by Miyu Matsumoto

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Photo by Miyu Matsumoto

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Photo by Miyu Matsumoto

独自の世界観やDJコラボで熱気溢れるWWWβ会場

WWWβでは、thonghtとQPLOがライブパフォーマンスを披露。オルタナティブな世界観で歌い上げるthonght、多幸感溢れるサウンドで会場を盛り上げるQPLOと、それぞれが密な会場を一体にして盛り上げた。

photo by Hide Watanabe

photo by Hide Watanabe

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さらに、βではDJのミックス企画「Thir(s)ty One Mived DJs」として、BtoB縛りによるDJを実施。普段はないコラボレーションも見られ、踊りたい人たちが集まる場として多くの人がサウンドに酔いしれる様子を見せた。

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全員で音を止めたパーティーの終焉。31日

メインステージのラストは、Thir(s)ty Oneメンバーとも親交が深いパソコン音楽クラブ。日頃からタッグを組み続けているクリエイティブユニットtsuchifumazu(watakemi × kairi sato)とのコラボレーションは、リアルタイムカメラエフェクトやライブ映像処理の手法を実験的に再構築し、映像と音楽の相互作用を探るパソコン”映像”クラブを披露。直近ではフジロックの会場で”伝説”と言われたパソコン音楽クラブによるパッション高いステージに、会場の熱量は最高潮に。

photo by Miyu Matsumoto

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最後に、Thir(s)ty One CREWメンバー3人によるDJパフォーマンスで会場は最後まで踊ったり話したり楽しむコミュニケーションが生まれ、ラストは全員で音を止め、惜しまれつつも1日の幕を閉じた。ラウンジは、パーティー終了後も残った熱気で話を続ける人々で溢れていた。

Photo by Miyu Matsumoto

「31回目となる2026年7月31日にパーティーを終える」と断言しているThir(s)ty One CREW。3年以上、場を作り続けてきたチームだからこそできる、新たな文化の萌芽が生まれる光景をクリエイションしたように感じる。次のOPEN DOORは未定だという。31回目まで、どんなパーティーを生み出し続けるのか。公式Instagramをフォローしてチェックしよう。

次回の31は、10月31日を予定している。今回のイベントに参加した方はもちろん、まだ参加したことがない方もぜひ足を運んでみてはいかがだろうか。詳しくはオフィシャルInstagramアカウント(@31.thirstyone)をチェック!

INFORMATION

OPEN DOOR by Thir(s)ty One

日時:8月31日(土)|OPEN/START 14:00 CLOSE 21:00
会場:WWW / WWW β
料金:第3弾Ticket (8/30まで)¥4,500、Door ¥5,000 (税込、ドリンク代別途)
チケット:THANK YOU SOLD OUT!

出演 :
Artist
パソコン音楽クラブ、TENDRE (DJ)、yurinasia×japonica、諭吉佳作/men、徳利、asobi、QPLO、thonght (Club Set)、桂枝之進 (落語)、イワネスインセイン (ダブルダッチ)
Creator
tsuchifumazu、PDLS、Bluemo、Kenta Toda、AAAQ(Atsuro Miyako)、Hyodo Tomoya
DJ
suzkikenta、Nwung Nwung、asami × HSP99、Ta93 × Ren Takahashi、Tsuyoshi Otabe × Yudai Ishii (SpaceJamz)、CHEZ MOI × kaodakebiglight、Thir(s)ty One Crew
SPACE
shallows、kihi

<Thir(s)ty One>
Instagram:@31.thirstyone

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