[Report & Interview] GREENROOM × Marshall |
長岡亮介、おとぼけビ〜バ〜、GEZAN。アーティストたちの音楽の核

Text_Shoichi Miyake , Photography_Daikichi Kawazumi , Edit_Rio Osugi

[Report & Interview] GREENROOM × Marshall |
長岡亮介、おとぼけビ〜バ〜、GEZAN。アーティストたちの音楽の核

Text_Shoichi Miyake , Photography_Daikichi Kawazumi , Edit_Rio Osugi

横浜赤レンガ倉庫を舞台に開催されたGREENROOM FESTIVAL 2026。音楽、アート、ビーチカルチャーを背景にした会場には多くの来場者が集まり、海風の抜けるロケーションの中で、それぞれのスタイルでフェスの一日を楽しんでいた。
EYESCREAMでは今回、長年にわたり音楽カルチャーと深く結びついてきたMarshallとともに、RED BRICK STAGEに出演した長岡亮介おとぼけビ〜バ〜GEZANにインタビューを実施。あわせて、会場内に展開されたMarshallブースでの来場者スナップも行った。

60年前、Jimi HendrixがJim Marshallにアンプをオーダーしたことをきっかけに、Marshallは音楽シーンのみならず、カルチャーそのものにも大きな影響を与えてきた。常に日本のカルチャーからもインスピレーションを受けてきたMarshallが今回、長岡亮介、おとぼけビ〜バ〜、GEZANをフィーチャーする背景には、日本の音楽シーンとカルチャーとともに歩み、その表現を支えていきたいという思いがあるようだ。

本記事は、出演アーティストへのインタビューを中心としたPART1と、Marshallブースでの来場者スナップを中心としたPART2の二部構成でお届けする。まずはPART1として、長岡亮介、おとぼけビ〜バ〜、GEZANの言葉から、フェスという場所で音を鳴らすこと、そしてそれぞれの音楽が持つ力を見ていく。

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Interview with 長岡亮介

©GREENROOM FESTIVALʼ26

この日は、カバー曲が多めの弾き語りを披露した長岡亮介。ジミ・ヘンドリックスも、Suedeも、スタンダードのカントリーソングも、自然と彼のオリジナル楽曲群と融和する気持ちよさに満ちていた。ライブ直後に行ったインタビューからも、唯一無比の音楽家がより軽やかに更新され始めている気配が滲んでいた。ギタリストとしての原体験、年輪による変化、そして「もっと軽やかに音楽を作っていきたい」と語る、長岡亮介の現在地。

──今日のステージを終えて、率直な感想を聞かせてください。

長岡:いつも通りですけど、ちょっと緊張した気がしますね。

──セットリストはカントリーのスタンダード(「Miss the Mississippi and You」)、Suedeの曲(「My Insatiable One」)、そしてジミ・ヘンドリックスの楽曲2曲(「The Wind Cries Mary」、「Manic Depression」)と、カバーが多めのメニューでしたね。どういうテーマを持って組んでいったんですか?

長岡:自分の曲と、自分のルーツにある音楽を混ぜていく感じで。カントリーはルーツ、Marshallとジミ・ヘンドリックスのコラボということで、ジミの曲から2曲。それと、Marshallはロンドンで生まれた音響機器ブランドなのでイギリスのバンドの曲をやろうかなと思ってSuedeの曲を1曲演奏してみました。

──セットリストにカバー曲を混ぜると浮いてしまうこともあるけど、オリジナル曲とどこまでもナチュラルに融和していて。それがとても長岡亮介らしい手つきでありスタイルだなと思いました。

長岡:ありがとうございます。そうなんですよね。カバーの立ち位置って難しいところがありますよね。でも、カントリーのスタンダードって知らない人も多いと思うし、ジミ・ヘンドリックスの曲も、Suedeの曲も、あくまで僕が好きな曲という視点で選曲したので。そうすると、自分のオリジナルとあまり変わらない感触で演奏できるし、お客さんにも聴こえるのかなと思ったりします。

──最後に披露した「Manic Depression」のアウトロでは「Purple Haze」のフレーズも混ぜつつ、ジミ・ヘンドリックスへのオマージュを感じさせる背面弾きも披露して。お客さんも盛り上がってました。

長岡:今日はせっかくMarshallコラボモデルのファズのペダルを踏んでいたし、やってみようかなと(笑)。

──あらためて、ご自身のオリジナル曲とカバー曲を紡ぐのはどのような感触がありますか?

長岡:最近はちょっと、カバーも自分の歌のように歌えるようになったかもしれない、ってちょっとだけ思います。

──それは年輪を重ねた影響もあるんですかね?

長岡:なぜかわからないんですけど、気持ちが楽になってるんですよね。でも、年輪かもしれないですね。構えずに演奏できるようになった。で、その楽になった感じが、自分の曲を歌う時にも反映されてきてる気がします。自分の歌を歌う時も前より楽なんですよね。

──長岡亮介とジミ・ヘンドリックスの組み合わせを意外に思う人も少なくないかもしれません。ジミ・ヘンドリックスはどのように触れてきたんですか?

長岡:実家に60年代から70年代のオムニバスCD4枚組みたいなものがあったんです。Hollies、Zombies、Kinks、THE ROLLING STONES、Doorsとか、いろんなアーティストの曲が見境なく入ってるみたいな(笑)。そのCDの中にジミの曲も入っていて無意識に聴いていたんです。中学生の頃にギターを弾き始めていろんな曲をチェックしている中で、「あ、この曲はジミ・ヘンドリックスの『Purple Haze』というんだ」って気づいて。大人っぽいというか、危険な感じがいいなと思って、それで能動的にジミの曲を聴くようになったんです。高校の時にずっとコピーして弾いてましたね。だから、今日最後に演奏した「Manic Depression」のフレーズは頭に入ってるから練習しなくても弾ける感じです。カントリーやブルーグラスのギターを弾く前に、実はジミの曲を弾いていたんですよね。

──ジミ・ヘンドリックスはギタリストとしての原体験に近いと。

長岡:そうですね。そう考えると面白いですよね。ロックに触れた最初の体験みたいな感じですね。

──ステージでジミ・ヘンドリックスの曲をカバーしたのは今日が初めてですか?

長岡:そうです。友だちが歌っている後ろで「Purple Haze」を弾いたりしたことはありますけど、感覚的にジミの曲は自分では歌えないとずっと思ってたんです。でも、今回Marshallさんから「ジミの曲を演奏してください」というリクエストをいただいた時に自然と歌ってみたいなと思えて。

──いい機会でしたね。

長岡:そうですね。今後のレパートリーにも入れたいと思いました。もしかしたら次の弾き語りのライブは全曲ジミのカバーかもしれない(笑)。

──野外シチュエーションにも映えてました。

長岡:気持ちよかったですね。天気も暑くもなく、雨も降らずちょうどよくて。でも、「雨」(ペトロールズ名義の楽曲)を歌うと、不思議と実際に雨が降り始めたりすることがあるんですよ。今日は降らなかったのでよかったです(笑)。

──「GREENROOM FESTIVAL」の印象についてどうですか?

長岡:過去にも何度か出演させてもらいましたけど、「GREENROOM」は気持ちのいい抜け感があるじゃないですか。それがいいですね。ライブのステージ以外でも楽しめるところが会場にあるし、日常の楽しみの延長に音楽が存在しているような感じで。お客さんもリラックスして音楽を楽しんでる人が多くていいなと思います。

──最後に今後の活動についても聞かせてください。

長岡:去年はちょっとゆっくりしていたんですけど、今は自分の活動のための曲を作ってます。実際に手を動かして作り始めると、作りたいもののイメージが浮かんでくるんですよね。どんどん作って、それを発表していけたらいいなと思います。

──このインタビューテキストがアップされる頃には終了していますが、5月29日、30日に福岡で開催されるSuchmosの対バンツアーでは、バンド編成のライブで臨むんですよね?

長岡:そうです。見た目はバンドですけど、新しいバンドを組むとか、そういうことではなくて。編成はバンド編成だけど、あくまでソロの表現の一環という感じです。練習でスタジオに入っていると、参加してくれているメンバーがいろんな提案をしてくれるのが新鮮で。そこは一人ではありえない楽しさがありますね。

──今後もいろんなミュージシャンと演奏していきたいという思いがありますか?

長岡:そうですね。いろんな人とセッションしていく可能性もあると思います。長岡亮介名義だけど、メンバーが10人いるとかもあり得るかもしれない(笑)。

──1人でもいいし、10人でもいい(笑)。

長岡:そう。弾き語りも楽しんでいきたいし、いろんな可能性があると思うし、それを発見できたらうれしいですね。あとは、もっと軽はずみに音源を作って出すとか、そういうことをすべきだなと思っていて。もうちょっと軽やかな感じでいこうかなと思います(笑)。

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Interview with よよよしえ(from おとぼけビ〜バ〜)

©GREENROOM FESTIVALʼ26

おとぼけビ~バ~のライブには、ジャンルを説明する言葉より先に“事件”のような熱量がある。この日、『GREENROOM FESTIVAL』のステージでも、演奏が始まった瞬間に空気を変えてしまった。関西のアンダーグラウンドシーンで培われた爆発力は、今や国境も世代も軽々と飛び越えていく。そのすさまじいライブ直後、ギタリスト・よよよしえにインタビューを実施。なぜ、おとぼけビ~バ~の音楽は、世界各地の観客を熱狂させ続けるのか。その源泉について話を聞いた。

──MCで「『GREENROOM』とは縁もゆかりもない」と言ってましたけど(笑)、でも、今のおとぼけビ~バ~にとってホームとかアウェーみたいな感覚は、世界中のどのステージでもないんじゃないかと。

よよよしえ:そうですね。もちろん、大切に思ってるライブハウスはいっぱいあるんですけど、そこがホームかって言うとそのライブハウスにも失礼だなって感じがして。どちらかというと神出鬼没的にやってるタイプのバンドなんで。

──おとぼけビ~バ~のライブが始まった瞬間、有料エリアと無料エリアのゲートが解放されて、一気にお客さんがステージのほうに駆け寄っていってましたね。

よよよしえ:嬉しかったですね。うちらを観に来たお客さんが、チケットを買わずに(無料エリアから)観ていたというのが若干恥ずかしいんですけど(笑)。でも、「GREENROOM」の気前のよさがすごく嬉しかったです。うちらってアップダウンの激しい音楽性なんで、最初はだいぶ心配だったんですよ。「こんなオシャレなフェスに出て大丈夫かな?」って。

──でも、歌もサウンドも全部パンチラインのような音楽を浴びて初見のお客さんも「かまされた!」と感じたはずです。

よよよしえ:作詞作曲は全部あっこちゃん(あっこりんりん)が作ってるんですけど、各フレーズにすごいパンチがあって。そのフレーズを1個言うだけで、あの空気感に持っていけるというのは本当に彼女のすごいところで。

──目まぐるしいギターリフもそうですけどね。

よよよしえ:ありがとうございます(笑)。今回、ジミヘンとのコラボステージということで、正直、私はジミヘンのフレーズは弾けないし、積極的に聴いたこともなかったのでそれについても「大丈夫かな?」って思ってたんですね。でも、自分が無意識にやってるパフォーマンスが「ジミヘンと通ずるものがある」と言ってもらえて、こういう機会をいただけて、嬉しかったです。

──おとぼけビ~バ~のライブを観ていて思うのは、関西由来のヴァイブの性急な爆発力が国境や言語、ジャンルも全部飛び越えて刺さってるのかなって。

よよよしえ:ああ、昔は「関西の音楽シーンに影響受けてるでしょ」って言われた時に「受けてないです」って言ってる時期もありました。

──いわゆる“関西ゼロ世代”とか(笑)。

よよよしえ:そうそう。そこに影響は受けてないって言ってたけど、でも実質めちゃくちゃ受けてると思います。この前、京都で『バクト』っていうとんでもないイベントに出たんですけど。そこで、私が初めてライブハウスに行って観たようなバンドが10年越しに集合してるのを目の当たりにした時に、「いまだに変な人たちが変なことをやってる」っていうことに感動して。生身でぶつかる音楽を体感した時に、やっぱり関西の音楽には影響を受けたな、って思いました。

──今だからそう思える。

よよよしえ:そうですね。昔はパフォーマンス的にも絶対に影響を受けていたからこそ言いたくないというのもあったのかもしれない(笑)。でも、どう考えてもそこに影響を受けてるわけで。海外に行った時も、現地の音楽好きの人たちから「あのバンド知ってる?」って名前が出てくるのが関西のバンドばっかりで。あふりらんぽだったり、オシリペンペンズだったり。

──もっと遡れば、少年ナイフもそうだろうし。

よよよしえ:そう! 少年ナイフも海外のレコード屋さんに行ったら普通にかかってますから。

──やっぱり日本と海外ではお客さんのノリは全然違いますか?

よよよしえ:違いますね。日本はなんというか、美術作品を鑑賞してるような感じというか。海外のお客さんは自由に踊ってる人が多いですね。イギリスでライブをした時にびっくりしたのが、70、80歳ぐらいの車椅子に乗ったおばあちゃんが最前列でずっとヘドバンしていて。それをステージから見た時にめちゃくちゃ感動しました。日本だと自分たちのおじいちゃんおばあちゃんが聴いてる音楽って、だいたい演歌とか歌謡曲じゃないですか。でも「向こうはずっとロックがあるんだ!」みたいな。それがめっちゃ嬉しかった。

──ものすごくいい話。今日のライブでは子どもたちも盛り上がってましたね。先ほどよしえさんは「10年後に食いつなぐために今の子供にロックンロールを教えておく」って言ってましたよね(笑)。

よよよしえ:一時期、腕を組んで「いっちょ見といたるか」みたいな感じの年配のお客さんが多くて。「この人たちがライブに来られなくなったら、うちらどういう客層になるねん?」って思ってたんですよ。

──あはははは!

よよよしえ:それで、若い子たちが盛り上がってるのを見てると、未来があるなっていう気持ちになりました。こういうフェスって子どもが来やすいからすごくいい機会ですよね。子どもがめちゃくちゃ盛り上がってるの見るとやっぱり嬉しい。でも、子どもが「アイドンビリーブマイ母性」とかの歌詞の意味をわかった時に怖くて泣いちゃうんじゃないかと思うんですけど(笑)。

──でも、最初に浴びるロックンロールとかパンクの原体験って、ちょっと触れてはいけないものに触れたかもしれない、みたいな衝撃だったりしますしね。

よよよしえ:そうかも。自分のことを振り返っても、ジャケットがかわいいからという理由だけでTSUTAYAで借りてみたCDの一発目の出音がデカすぎて「何これ!?」って衝撃を受けて、「お母さんにバレませんように」って思ったのが、中学1年生の時に聴いた銀杏BOYZだったので。そこから「ダメかも、でも、聴きたい」ってなりながら銀杏BOYZのCDを再生していました。

──今後のライブやレコーディングについて聞かせてください。

よよよしえ:6月の頭からヨーロッパツアーに行くんですけど、Foo Fightersのスタジアム・アリーナツアーのオープニングアクトとして呼んでいただいて。それを1ヶ月ぐらい回って帰ってきた後、7月に少し休んでカナダでまたフェスがあって。それはIggy Popとかが出るフェスで。8月には日本でライブを何本かやって、9月からレコーディングしようかなという感じです。でも、うちらはちゃんと締め切りがあっても、なかなかそこまでうまくできるバンドではないので。楽しくやっていけたらいいなと思っています。もともとずっと変わってないのが、求められたところで演奏したいということで。たまたま火がついたのが日本ではなく海外でしたけど、これからも求められる場所であればどこでもライブしたいですね。

──ニューアルバムについては──。

よよよしえ:4月に「ニューアルバムはまだですか?」っていうシングルを出したばかりなので(笑)、まずはそれを聴いてほしいですね。

──ニューアルバムについて訊くのは愚問すぎましたね(笑)

よよよしえ:曲の宣伝ができるのでよかったです(笑)。「ニューアルバムはまだですか?」は4インチのレコードも作ったんですよ。

──7インチではなく4インチ!

よよよしえ:そうなんですよ(笑)。ジャケットがすごくて。おそ松さんや最近だとエヴァンゲリオンを手がけたアニメーターの浅野直之さんという方に描いていただきました。白亜紀に火山が噴火しているみたいな、世界観の大きなジャケットを浅野さんが描いてくれたんですよ。でも、4インチでいいのかという(笑)。

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Interview with イーグル・タカ(from GEZAN)

©GREENROOM FESTIVALʼ26

GEZANの音楽とライブは、人と人がぶつかり合う“場”そのものを更新していく。3月に開催した初の日本武道館公演「独炎」を終えたGEZANは、その熱量を途切れさせることなくヨーロッパへ向かった。GEZANのギタリスト、イーグル・タカは、各地でライブを重ねるなかで、あらためて音楽がコミュニケーションそのものであることを実感していたという。ギターだけにとどまらず、バグパイプや各国の民族楽器にも惹かれていく現在のモードについて、ヨーロッパツアー後、最初のライブとなった「GREENROOM FESTIVAL」のステージを終えたタカが語ってくれた。

──ヨーロッパツアーから帰国直後のステージでしたが、ツアーはどんな行程だったんですか?

タカ:去年、初めてドイツ「Fusion Festival」に1本だけ出たんですが、今年はがっつり初のヨーロッパツアーを組むことができて。前半がベルギーのブリュッセルとオランダのデン・ハーグ。一旦帰国して京都と仙台でライブをやってからまた渡航して、後半がフランスのリヨン、イタリアのファエンツァとサヴォーナ、セルビアのベオグラード、そしてルーマニアという行程でした。昨日の朝にルーマニアから帰国して。初めてのヨーロッパツアーだったんですけど、今までのツアーで一番ハードでしたね。みんな一言も喋らないぐらいの疲労で(笑)。でも今日「GREENROOM」で帰国一発目の演奏を、心機一転いい感じでできて、本当によかったです。

──疲労感も抜けていないなかだったと思いますが、それをまったく感じさせない、GEZANにしか鳴らせない音と歌の塊がダイレクトに響いたライブでした。3月14日に開催したGEZANにとって初の武道館公演「独炎」から今回のヨーロッパツアーまで、マインドの熱量が地続きで高まっているんだなと今日のライブを観ても思いました。

タカ:地続きですね。武道館は、僕らやお客さんの人間の集中力だったり、そこにいる人たちのいろんな力の方向がバーッって広がった時に「不思議なことが起こるんやな」って思ったんですよね。それが続いてる感じというか。人間ってみんな完璧じゃないし、失くしものもするし、調子が悪い時もあるし、いろんなことにムカついたりもする。でも、ライブになったらそういうことも全部関係なくいろんな力を感じることができるなって思います。

──ヨーロッパツアーを振り返って、印象的な出来事は枚挙にいとまがないと思いますが、今パッと思い出すのはどんなことですか?

タカ:本当にいろいろあったんですけど、今パッと思い出したのは、セルビアのベオグラードに前日入りできて。そのハコ(ライブ会場)にテーブルフットボール──卓上サッカーゲームですね、あの懐かしいやつ──があって。ラキヤ(果物を発酵して作られるセルビアの蒸留酒)を飲みたいなと思って頼んだら、なんか「こいついけるな」ってなったっぽくて(笑)。「おまえもサッカーゲームやれ!」みたいになって、セルビア語なんて全然しゃべられへんけど俺も加わって、6人ぐらいとテーブルフットボールをやってたら、一緒に遊んでいたメンバーの中に現地のライブスタッフもいて。次の日、設営から撤収まで一緒にできてすごくよかったですね。そこのハコはインディペンデントなやり方で、コミュニティスペースとしての機能も大事にしてるところで。ちょうどその時、ランゲージデーのようなイベントをやっていたタイミングだったんですよ。それは、いろんな国の、言語が違う人が英語で話す集まりなんですよ。もともとモンゴル出身で今はロシア国籍の人とか、ほんまにいろんな国の人が来ていて。僕らは機材を取りに行っただけだったんですけど、たまたまそこで酒を飲んでテーブルフットボールに参加して翌日のライブのことを話してたら、そういう出会いもあって。

──音楽の旅はいろんなボーダーを超えますね。

タカ:そうですね。もっとコミュニケーションとしての音楽の可能性を掘り下げたいなと思ってます。あと言語もいろんな国の言葉を覚えたいです。やっぱり挨拶って、超大事で。相手の言語で挨拶したら、それだけで距離が一気に縮まるんですよ。あとは日本語でしゃべったとしても、最初の挨拶だけできたらけっこういけるんで。英語もコミュニケーションのための1言語として使えばいいわけで。流暢にしゃべられなくてもいいけど、最低限でもいろんな国の言語を覚えたら、そこからコミュニケーションが広がっていくから。その可能性がすごく面白いなと感じていて。その上で、いい相棒のギターと長く生きていけたらいいな、と(笑)。

──タカさんは曲によってバグパイプや打楽器も演奏するし、ギタリストとしてもパンクやハードコアはもちろん、ダブやトライバル、シューゲイザー的なアプローチのプレイもする。タカさん自身もGEZANというバンドのギタリストとして、いろんなボーダーをどんどん超えていってると思います。

タカ:そうですね。そこはライブの空間の中でどうやったら心地よくなるか、気持ちいいかを考えながら、無意識でやってるような感覚で。「この空間でどういう鳴りがいいのか」っていうのはありますよね。自分にとっての憧れのギタリストのような誰かの影だけを追っていたら、自分の中身の声が音として出てこない気がして。僕ももともとアイドル(崇拝する対象)を作りやすいんですよ。「この人、ヤバい!」ってなったらガーってハマるんですけど、それが行きすぎると危ないなと思っていて。模倣もすごくいいと思うんですけど、そこだけで終わらないことが重要というか。

──それは音からも感じるし、GEZANというバンドそのものが、完全にオリジナルな音楽の生き物になっていると思います。

タカ:だから楽しいですよね。ギター以外でも、まだまだやれることって全然あるなと思います。例えばバグパイプも、もっと広げられる可能性があるなと頭の中で考えているし、今回セルビアでフルーテという笛を買ってたんですよ。同時に2つの音が出る笛が1000円ぐらいで売っていて。これもいつかライブで使えたらいいなと思って。それも言語と一緒で、どの国にもそこにしかない楽器がいっぱいあるし、いろんな国に行けば行くだけ音楽の可能性があるなと思ってますね。

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フェスのステージは、アーティストの音楽性を短い時間で浮かび上がらせる場所でもある。ワンマンライブのようにじっくりと文脈を共有するのではなく、偶然その場に居合わせた人にも音楽が届いていく。その状況にどう向き合うかは、アーティストごとに違う。今回のインタビューでは、その違いこそがGREENROOM FESTIVAL 2026の面白さとして見えてきた。

6月17日公開のPart2では視点をステージから会場へ移し、Marshallブースで出会った表現者たちをEYESCREAM的視点で紹介する。“聴く側”のスタイルとリスニングのあり方を、スナップを通して楽しんでほしい。