ストリートから生まれたアートや、ストリートからの影響を感じさせる表現の数々を広義のアウトサイダーアートとして紹介するこの企画。今回は、スペインのバルセロナを拠点に、ランボルギーニやロボットなどの特徴的な主題を、グラフィティー、タトゥー、キャンバスワークスなど様々なフォーマットに描き出すLAMBOに話を聞いた。昨年の夏にはBlackEyePatchの主催でSECT UNOとの合同Exhibitionを東京で行ない、局地的に注目度を高めている彼のバックグラウンドとは。
ー出身はどこ?
セビリアという、スペインの南の方の小さな町で生まれたんだ。とても美しい町で、最高に美しい建築があって、とてもゆったりとしたところで、食事も最高だよ。
ー今も地元に住んでるの?
2015年にバルセロナに引っ越したんだ。そこから僕の人生は完全に変わったよ。ここで今の自分というものを沢山見つけたと思う。良いバイブスの街だし、天候も完璧。それに、グラフィティーのシーンが最高だね。電車にも街にも描けるし、ペイントするには最高に良い場所なんだ。
ーグラフィティーとの出会いは?
学校に通ってた子供の頃、路地を通ったら学校の悪ガキたちがペイントしてたんだ。それから結局僕らは一緒に連み出すようになって、”共犯関係”になったっていう訳なんだ。
ーその頃、グラフィティーのことをどういう風に捉えていた?
みんなの注目を集める為にできる、最高にクールなことだと思ったよ。まぁ、その時の僕はグラフィティーのことを何も分かって無かったと思うよ。
ー初めてペイントしたのはいつ?
最初にペイントしたのは2006年だね。バカな子供が、とにかく何かしたい! って思って行動しちゃうみたいな感じで描いたんだ。
ー子供の頃から絵を描くのが好きだったりしたの?
そうだね!4歳とか5歳くらいからミッキーマウスを描いていたのを覚えてるよ。それから10歳とか11歳のときに初めて車の絵を描くようになったんだ。
ー当時から!
子供の頃から車について詳しかったし、凄い好きでさ。でも正直にいうと、子供の頃はFerrariが一番好きだったんだ。その後、初めてグラフィティーで車を描いたときに、その描いた車っていうのは、よくよく考えてみたらLamborghiniのカウンタックだったんだ。カウンタックは、車の造形が凄いアイコニックだし、自分にとって描くのがとても面白いものだったんだ。それにLamborghiniっていう会社の名前も凄い好きだし。そんな感じで、Lamborghini自体のこともどんどん好きになっていったんだ。
ーどんなカルチャーから影響を受けていると思う?
とりわけ改造車のカルチャーかな。日本の暴走族みたいに、改造車のカルチャーに見られる、車をどう変化させるか、どれだけクレイジーな仕上げにするか! っていうようなスタンスから影響を受けているよ。
ー車だけでなく、ロボットも沢山描いてるよね。
そうだね、ガンダムが大好きなんだ! トランスフォーマーには、僕の作品と共通するようなところが沢山あるし。だから、昨年東京で展示をしたときに、ロボットをモチーフにした作品を描くのは良いアイデアだと思ったんだよね。それが切っ掛けで、ロボットをテーマに描くのが更に好きになったよ。
photography_Shunsuke Shiga
ースペインのグラフィティーカルチャーについて教えて貰えるかな?
ここのグラフィティーカルチャーはとても楽しいよ。グラフィティーにおいて、世界的にに見ても、グラフィティーがとても熱い街だと思うよ。クレイジーな奴らが凄い楽しんでるって感じだね。いつも、ビールを飲んで街をぶらつきながらペイントしてるんだ。
ー僕には、ヨーロッパのグラフィティーのカルチャーは伝統的なグラフィティーのスタイルと比べて、より自由なもののように見えるんだ。どう思う? 同じように感じたりする?
そうだね。僕が見ている限りでもヨーロッパのスタイルはとても自由だなって思うよ。ヨーロッパの人たちと話していると、皆どんなルールにも従わないっていう感じがするからね、だからなんだろうね。
ークルーには入ってる?
どこにも入ってないよ。
ーグラフィティーはアートだと思う?
ある面においてはそうだと思うよ。自分がやりたいことをやりたい場所で行うアートだよね。警官に見つかっちゃいけないアート。ヴァンダリズムのアートだよね
ーグラフィティーのときと、キャンバス作品を製作するときではスタンスは変わってくる?
それは変わってくるね。というのも、グラフィティーっていうのはほとんどの場合、自分が描きたいことをやり切る時間が無いだろ? それに、僕はキャンバスでグラフィティーとは異なるスタイルやテクニックを使うのが好きだからね。正直に言って、どちらも結局は自分の為に描いてるんだけど、ときどきは皆が自分のアートを好きでいてくれたらって思うよ。だけど、自分のグラフィティーを他人がどう思うかっていうのは全く気にしないんだ。
photo_ Shunsuke Shiga
ーグラフィティーをしてきて、一番ヤバかったことは?
フランスで友達とペイントしてる時に逮捕されたことかな。冬なのに山に走って行ってしばらく隠れていたんだけど、警官や警察犬が僕らのことを必死に探してる音が聞こえてさ。結局捕まっちゃった。結局3日間、クソみたいな留置所に入れられてさ。クレイジーな冒険だね。携帯電話もお金も持たずに家に帰ることになって、おまけに車は2時間くらい離れた場所に置きっ放しで。けどもっとヤバいのが、友達の一人はそのときトイレをしに森の中に行ってて、僕らが追いかけられているのを隠れて見ていたんだ。で、結局彼はそのとき描いたピースの写真をしっかり撮って、一人でバルセロナまで帰って来たんだ(笑)。クレイジーな夜だったよ!
ー何がグラフィティーのモチベーションになってる?
友達と良い時間を過ごせるっていうことかな。
ータトゥーはいつから彫ってるの?
タトゥーを入れ始めたのは17歳のときで、18歳のときにはもう沢山入れてたね。タトゥーを自分でも彫り始めたのは、当時周りにタトゥーを彫る友達が沢山いたからだね。彼等が僕のことをタトゥーという小さな秘密の世界(当時はね)に招待してくれたんだ。
ータトゥーとペインティングの間に何か繋がりはあると思う?
勿論さ! 僕にとってその二つは親友みたいなもんだよ。世界中で沢山のヤバいタトゥーアーティストを見て来たけど、皆元々はペインティングの世界にいた人ばかりだしね。ペイントするのが嫌いで、ただお金を稼ぎたいからタトゥーをやってるんだとしたら、普通の仕事をしてるべきだよ!
ー昨年東京に来たけど、どうだった?
最高な体験だったよ。皆にこの旅のことを伝えたいくらいだし、これまでで一番のお気に入りの街になったよ。実現してくれた皆に本当に感謝してるし、また行く日が待ちきれないよ!
ー沢山旅をしていると思うけど、引っ越しても良いなと思う国はある?
アメリカとデンマークかな。アメリカには2回行ったんだけど、雰囲気も最高だし、色々やって大きなことを成し遂げるにはとても良い国だと思ったんだ。デンマークのコペンハーゲンは人々のメンタリティーが良いよね。自分の人生を変えるのにとても良い街だと思ったんだ。
ー将来はどうやって生きたい?
ペイントと共に生きていきたいね。あとは、自分のアイテムを売るお店を開けたいかな :-)
REPORTER PROFILE
From the Every Outside
From the Every Outside Vol. 2:REMIO by Maruro Yamashita
From the Every Outside Vol. 1:SECT UNO by Maruro Yamashita
Interview&Text_Maruro Yamashita