FASHION 2022.09.28

NIKO NIKO TAN TAN×Vans “Classic Since Forever”のキャンペーンをめぐって

EYESCREAM編集部
EYESCREAM編集部
Photograph_Yuta Kato, Edit&Text_Ryo Tajima[DMRT]

原宿のとんちゃん通りをポスタージャックしたVansのキャンペーン『Classic Since Forever』。その1つに出演しているのが昨今、音楽シーンで大いに話題を集めているクリエイティブミクスチャーユニットNIKO NIKO TAN TANだ。ここでは自身が映ったボードの前で、永遠のクラシックスニーカーSK8-HIを履いて撮影を敢行。合わせて、NIKO NIKO TAN TANがどんな表現を行っているのか。彼らにとってのVansとはどんな存在なのかのインタビューに交えてご紹介したい。

毎日のように履いているVansとの繋がり

 

ーどこからVansと繋がりを持つようになったんですか?

 
Ochan:2020年12月にVans主催の『Vans MUSICIANS WANTED』に出場してアジアのトップ5に選んでいたことがあって、そこから仲良くなっていきました。その流れで今日撮影した(キャンペーン『Classic Since Forever』の)ボードの話をいただいたんですけど、あんなに大きな看板になっているとは思わなくてビックリしちゃいました(笑)。
 

ーその『Vans MUSICIANS WANTED』での思い出と言えば?

 
Ochan:審査員の1人にアンダーソン・パーク(Anderson .Paak)がいたんですけど、僕らのことを「ケミカル・ブラザーズ(The Chemical Brothers)みたいだね」ってコメントをくれたんですけど、それは嬉しかったですね。大好きだしルーツにあるアーティストだったんで、そんな風にアンダーソン・パークが言ってくれるなんて! って感動しました。誰もが知るアーティストに少しは認めてもらえたような気がして。


 
Anabebe:それに、そういうキャリアをプロフィールとして記載できるのは単純に嬉しかったですね。知らない人にも伝わりやすいですし。
 

ー今日はNIKO NIKO TAN TANが出演しているキャンペーン『Classic Since Forever』にちなんで、SK8-HIを履いていただきましたが、Vansのシューズにはどんな印象がありますか?

 
Ochan:本当に毎日のように履いていますね。スニーカーはVansしか持っていないくらいなんですよ。AUTHENTICやOLD SKOOLは特にたくさん持っていますね。どんなコーディネートにも合わせやすいし、カラバリも豊富なんで気分によって履くモデルを変えて楽しんでいます
 
Anabebe:小学生の頃にドラムを教えてくれていた兄の友達がSK8-HIのネイビーを履いていたんですよ。それで「ドラムをやるならコレを履け」って言われていて。その人が引っ越すときに、履いていたSK8-HIを譲り受けて、ドラムの練習のときに履いていた思い出があります。


 

ー2人とも足元には常にVansがあると。では、NIKO NIKO TAN TANについて教えてください。今年、『FUJI ROCK FESTIVAL ’22』と『SUMMER SONIC 2022』に出演するなど、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いでシーンを駆け上っていますが、その辺りの実感は自分たちにもありますか?

 
Ochan:うーん、どうでしょう。NIKO NIKO TAN TANは2019年にスタートして、本腰を入れて活動し始めたのは去年の9月頃なんですよ。そこからワンマンライブを経て、今年はフジにサマソニと。周りから見ると破竹の勢いで広まっているように見えると思うんですけど、いろいろな経験をしてきた過去があるので、あんまり浮き足立っている感じもないし、結構冷静な気持ちです。それに、現状に満足している気はまったくないですからね。まだまだやりたいことは山ほどあるし、フジやサマソニにしても来年はより大きなステージを狙っていきたいと思っていますから。

映像と音楽で作り上げるNIKO NIKO TAN TANのステージ

 

ーNIKO NIKO TAN TANは普通のバンドではなく、クリエイティブミクスチャーユニットを掲げ、4人中2人は主に映像を担当する形で活動しています。そもそもの話ですが、こういうユニークな形になった経緯を教えてもらえますか?

 
Ochan:Anabebeとは10代の頃から一緒にバンド活動をやっていたんですけど、前のバンドを辞めた時に何をしようか考えていて、通常編成のバンドはもうやりたくないと思ったんですよ。それで、僕が映像チームの1人と何か面白いことをやろうと思ったのがスタートなんです。制作していくうちに音の幅が広がって「やっぱり生ドラムを入れたい」となってAnabebeを呼び、いつのまにか演奏隊2人と映像チーム2人という形態になっていったんです。


 

ーどのような感じで映像チームの2人と制作しているんですか?

 
Ochan:音楽を僕らで作って、映像チームがインスピレーションを膨らませていく感じです。そういう意味では半々で作っているような感じですね。しっかりと映像チームと話をしながら、僕らもアートワークにも意見をして。逆に映像チームのアイディアを受けて演奏にアレンジを加えることもあります。
 
Anabebe:ライブでVJが入ってくるときに、映像の長さに合わせて尺を伸ばしてほしいとかですね。そういうときは間奏を伸ばして広げていきながら調整してバランスを取っています。
 

ー映像やアートワークにも、演奏隊の好みが反映される部分があると思うんですが、その辺りのルーツと言えば何でしょう?

 
Ochan:僕の場合は中高生辺りから好きなホラー/スプラッター映画ですね。代表的なところだと『悪魔のいけにえ』や『蝋人形の館』だとか。キューブリック作品も好きです。『シャイニング』だとか、ああいう世界観が好きですね。それが明確にNIKO NIKO TAN TANの映像やアートワークに反映されているわけではないんでしょうけど、判断基準の1つとしてあると思うので、どこか今に繋がっている部分はあると思っています。
 

まずは日本で より多くの人に届く作品とライブを

 

ーなるほど。アートワークでは、サイバーパンク的なデザインにも惹かれますし、どこかアジアンテイストな風合いも感じるのですが、そういうアジア感というのは意識しますか?

 
Ochan:日本らしさという意味だと、久石譲さんの音楽やジブリ作品だとかサブカルチャーから影響を意受ける前に体験してきたものはベースにありますね。そこに、自分で見つけたホラーなどの要素がミックスされているんじゃないかと思います。

 

ー音楽的な面ではいかがでしょう? NIKO NIKO TAN TANに繋がる初期衝動的な部分は、どういう音楽にありますか?

 
Ochan:高校生の頃に聴いていたのは洋楽ばかりなんですよね。例えば、Sigur RósやRadiohead、björkにBeck、レッチリ(Red Hot Chili Peppers)もそうですね。誰もが通ってきたものだと思うんですけど、メロディだけではなくサウンドやビートを追う楽しさは、その辺りの音楽から受けた衝撃がベースにあると思います。
 
Anabebe:僕の場合、音楽を始めた頃はプログレやハードロックなどのドラムしか聴いていなかったんですよ。いかにすごいドラムを耳コピしてやるかっていう、ちょっと1人よがりなところがあって、洋楽ばかり聴いていました。ルーツはそこですね。高校生になってコピーバンドをやるようになり、超絶技巧のドライミングだけではなくグルーヴ感あるドラムのカッコよさを知っていった流れです。Ochanと出会った頃はThe Mars Voltaを聴いていたんですけど、あれこそテクニックとグルーヴが両立されているドラムで「これだ!」と。そこを今も目指しています。だから、NIKO NIKO TAN TANでもアグレッシブなパートも入れつつ、しっかりとビートを聴かせるようにも叩きつつ、という感じなんです。
 

ー直近では6月リリースのEP『?』がありますが、非常に現代の音楽シーンにマッチするサウンドだと思いました。その辺りの時代感を考えたりもしますか?

 
Ochan:トレンドみたいなものは意識していないんですよ。そもそも、NIKO NIKO TAN TANは何も考えずに始めて、その音楽が何かしら時代にハマったところがあるから、去年11月に開催した初ワンマン(渋谷WWWで開催)もソールドさせることができたっていうのがあるんでしょうし。もちろんポップではありたいんですけど、変にトレンドに染まり過ぎないように意識しています。もっと人を躍らせるビートをどう作っていけばいいんだろう? とか。そんな根源的な部分についてはよく考えていますね。

 

ー今後、NIKO NIKO TAN TANがどうなっていきたいか。何か目標とするものがあるのかについて教えてください。

 
Anabebe:めっちゃ具体的ですけど、SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト。アメリカで開催されている音楽フェス)に出たいですね。
 
Ochan:いいね、来年狙っていきたいよね。
 
Anabebe:もちろんアジアにも行きたいし、海外での活動は目標の1つとしてあるよね。
 
Ochan:そうだね。海外に憧れて日本を離れたいなんて思っていた時期もあるんですけど、まずは自国の日本でもっと認められるにはどうしたらいいのかってことも考えていて。自分の魂を削らない、方向性を曲げない状態で日本のシーンに(自分たちの音楽を)響かせていくっていう。そこが1番難しいところではあるんですけど、今後も音楽でやっていくためには絶対的に必要なことだと理解しているので日々研究ですね。同じ国に住むみんなに聴かせる作品とライブをやっていくことが最初の目標になります。今度、11月3日に渋谷WWW Xで、11月13日に梅田Shangri-laで初ワンマンツアー『SMILE?』を開催するので是非。また、年内には新曲をリリースするのでチェックしてもらえたら嬉しいです。

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